コージェネレーションシステムとは?目的と仕組み・メリットを紹介

bannar

コージェネレーションシステムとは、天然ガス、石油、LPガス等を燃料に燃やすことで発電し、その際に発生する熱も回収する省エネシステムを指します。一次エネルギーを使用することで安定的に電力供給を可能にし、排熱を利用する点で比較的エコな発電システムだと言われています。本記事では、コージェネレーションシステムとは何か、導入目的や仕組み、メリット・デメリットを紹介します。

目次

コージェネレーションシステム(コージェネ)とは?

コージェネレーションシステム(コージェネ)とは、天然ガス、石油、LPガス等を燃料として発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収するシステムのことを指します。一つのエネルギーから電気と熱を作るため、co(一緒に)+generation(生成)という意味で、コージェネレーションと呼ばれています。

コージェネレーションシステムの導入目的

コージェネレーションシステム導入の目的として、有事の際の電力確保と省エネ対策が挙げられます。発電に使う燃料(ガスなど)があれば、停電時にも利用することができ、生産ロスや機会損失を防ぎます。電力の安定した供給は、ステークホルダーからの信頼性向上に繋がります。また、廃熱を有効活用することで、省エネ対策にも高い効果を発揮します。

コージェネレーションシステムの導入状況

日本では、第二次オイルショック後の省エネ意識の高まりにより、コージェネの導入が始まりました。1980年代から普及が進み、2013年には全電源の5%程度を占めています。しかし、ヒートポンプの普及や、火力発電の効率向上などにより、コージェネの導入は2004年をピークに足踏み状態が続いています(下図参照)。政府は、コージェネの導入目標について、「長期エネルギー受給見通し(エネルギーミックス)」(2015年7月)の中で、2030年に1,190億kWhとしています。

>>年度別導入状況(2021年3月末)

コージェネレーションシステム年度別導入状況

画像引用:コージェネ財団「累積・年度別導入概況」

コージェネレーションシステムの種類

コージェネレーションシステムには、大きく分けて3つの種類があります。本章では、その種類について詳しく説明していきます。

内燃機関を使ったコージェネレーションシステム

日本で最も利用されているのが、内燃機関を使った方法です。燃焼器で生成したガスにより発電機を回し、発電します。ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジンなど様々な種類が存在するのが特徴です。いずれも発電の際に熱が発生するため、その熱を活用します。

蒸気タービンを使ったコージェネレーションシステム

ボイラーで蒸気を作り、蒸気によりタービンを回すことで発電します。この方法もまた、発電の際に発生した廃熱(蒸気や温水)を利用します。加熱や加湿、滅菌など蒸気を使用する機会が多い工場では、コージェネレーションを活用することでエネルギーを効率よく使うことができます。

燃料電池を使ったコージェネレーションシステム

燃料電池は、燃料の化学エネルギーを直接電気に変換して発電する装置です。発電効率が高く、騒音や振動も少ないため、家庭用のコージェネレーションシステムに多く用いられています。燃料電池による発電の際に発生する熱を給湯に利用する家庭用コージェネレーションシステムが、「エネファーム」と呼ばれます。

コージェネレーションシステムのメリット

コージェネレーションは、環境にやさしく、普及が望まれているシステムです。本章では、コージェネレーションシステムのメリットを詳しく説明していきます。

CO2を排出するが比較的省エネ

最大のメリットは、エネルギーコストを削減できるため比較的省エネであるということです。本来捨てられてしまう廃熱を回収し、冷暖房や給湯、蒸気などに利用することによって、工場や事業所でのCO2削減・省エネルギーを図ることができます。また、廃熱を利用するため、エネルギー効率が高いのも特徴です。従来の発電システムでは、燃料が元々持っているエネルギーの約40%程度しか使うことができません。残りの多くは不要な熱として捨ててしまうためです。一方でコージェネでは、燃料が元々持っているエネルギーの約80%程度を利用することができます。

非常時の電力供給源

コージェネは「発電機」と「熱源」を一体化した設備であり、停電時には非常用電源として電源利用が可能になります。そのため、BCP(事業継続計画)の一環として、コージェネを導入する会社も増えています。非常時に電力の安定した供給を行えることは、信頼性の高いエネルギー供給システムを構築することにも繋がります。

コージェネレーションシステムのデメリット

コージェネレーションシステムは、主にコスト面でのデメリットがいくつか存在します。本章では、コージェネレーションシステムのデメリットについて詳しく説明していきます。

発電機の初期投資が高い

最大のデメリットは、発電機の初期費用が高いということです。そのため、コージェネを始める際には多額の予算を確保しておく必要があります。一般家庭用のエコウィルで60〜80万円、エネファームで200〜300万円とかなり高価で、商業目的の設備となると数千万円もの費用が必要な場合もあります。しかし、政府による技術開発によって、このようなコストは克服できるという見立てもあります。

消防法など関連法規が複雑

発電機を設置する場合、消防法など関連法規に定められた基準を満たさなければなりません。届出が必要なものもあるため、そのような手続きに煩わしさを感じる人もいるかもしれません。具体的には、回転部分に容易に触れられないような安全対策が講じられていることや、設置したことを所轄消防に届け出し、定期点検を行わなければならないなどが挙げられます。

ガス市場価格にコストが左右される

コージェネは、ガスなどを燃やすことによって発電するシステムです。しかし、ガスの輸入先で内戦や政権闘争などが起こるとガス価格に影響を及ぼすことがあります。ガス市場価格によって、コージェネの稼働そのもののコストが左右される可能性があるのです。

まとめ|コージェネレーションシステムを利用して省エネの実現へ

コージェネレーションシステムは、工場や商業施設などだけではなく、一般家庭でも多く利用されるようになってきました。ぜひこの機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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