脱炭素ビジネスとは?脱炭素社会に取り組む企業、ファンド事例

bannar

日本政府の「グリーン成長政略」宣言や、アメリカのバイデン大統領が2050年までにカーボンニュートラルを達成する宣言など、国際社会は脱炭素社会への転換を急速に進めています。その中で耳にし始めた「脱炭素ビジネス」という言葉。本記事では脱炭素ビジネスのメリットや実際の取り組み事例、また脱炭素ビジネスへの投資についても触れていきます。

「ゼロカーボン」と「カーボンニュートラル」は同じ意味を持ちます。

日本政府の「グリーン成長戦略」については、こちらを参照してください。

>>2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を策定しました (meti.go.jp)

目次

脱炭素ビジネスとは

本章では、「脱炭素社会」と「脱炭素ビジネス」という言葉について解説していきます。


脱炭素社会

「脱炭素社会」とは、「炭素社会を脱する」という名前の通り、CO2排出量をゼロにした社会のことを指します。

炭素社会」という言葉もありますが、これは炭素社会への移行を目指し始める1つ前の目標です。当時はCO2排出量を「減らす」炭素社会の実現が目指されていましたが、これではパリ協定で決まった「世界平均気温の上昇を1.5℃~2℃に抑える」という目標が達成できないとされたため、CO2排出量を「ゼロにする」炭素社会が目指されるようになりました。


脱炭素ビジネス

「脱炭素ビジネス」とは、脱炭素社会に向けた取り組みをビジネスチャンスにすることを指します。「脱炭素」が持つ意味は幅広く、再生可能エネルギーへの転換や資源の再活用、また脱炭素技術の進化など、さまざまな分野・場面でのビジネスチャンスが想定されます。

企業が脱炭素ビジネスに取り組むメリット

企業が脱炭素ビジネスに取り組むことには、以下の2つのメリットがあります。

資金調達に有利

環境に配慮した経営をおこなっている企業へ優先的に投資をおこなう「ESG投資」が、近年急速に普及しています。環境経営をしている企業は、していない企業と違ってESG投資のようなサステナビリティ関連の資金の調達を受けることができるため、資金調達が有利になります。


光熱費・燃料費の削減

脱炭素ビジネスの1つである「再生可能エネルギー」を活用することによって、光熱費や燃料費の削減が期待できます。自社の古くなった設備を見直し、再生可能エネルギーに置き換えることで劇的に光熱費や燃料費の負担を軽減できます。

企業の脱炭素ビジネス取り組み事例

本章では、環境省が提供している資料をもとに、各企業がおこなっている具体的な脱炭素ビジネスを紹介していきます。


竹中工務店 東関東支店

竹中工務店東関東支店では、一次エネルギーを約7割削減したのち、残りの約3割を太陽光発電でまかなうシステムを導入しています。このシステムにより、エネルギー消費量が創エネルギー量を上回り、脱炭素ビジネスを成功させています。

詳しくはこちらを参照してください。

>>https://www.takenaka.co.jp/enviro/es_report/pdf/2016/p15_16.pdf


鈴廣蒲鉾

鈴廣蒲鉾では、太陽光パネルの設置と地中熱や地下水による空調システムを取り入れ、省エネと創エネを同時におこなっています。この取り組みにより、同規模の建物と比較した場合50%以上のエネルギーを削減させることに成功しました。

詳しくはこちらを参照してください。

>>https://www.kamaboko.com/future/renewable/


参考:脱炭素化の方向性を持った 具体的な取組事例集 (env.go.jp)

脱炭素ビジネスへの投資

本章では、投資家の視点から見た脱炭素ビジネスへの投資について、ESG投資・国際イニシアチブ・ファンドの観点から解説していきます。


ESG投資

近年重要視され始めているのが「ESG投資」と呼ばれる投資手法です。これはEnvironment・Social・Governanceの頭文字を取った言葉であり、環境に配慮した経営をおこなっている企業に、優先的に投資をおこないます。ESG投資が活発となることで、企業は環境に配慮した経営をおこなおうと努力します。しかし企業だけの力では不十分なため、投資家がESG投資をすることで企業の取り組みを支えることが可能です。

重視される国際イニシアチブ

国際イニシアチブも脱炭素ビジネスに深く関わってきます。

RE100

「RE100」とはRenewable Energy 100%の略であり、2050年までに自社の事業運営を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指した国際イニシアチブです。RE100に加盟するには11個の条件をクリアしていることが必須です。その条件の中に「影響力がある企業であること」や「すべての企業活動において再エネ100%を達成している/する予定があること」などが含まれており、RE100に加盟しているすべての企業やそのサプライチェーンの企業が持続可能な経営をおこなっていることがわかります。そのため、RE100の加盟企業は長期的に利益を生み出す可能性が非常に高いのではないでしょうか。

SBT

「SBT」とはScience Based Targetsの略であり、温室効果ガス削減目標の設定を求める国際イニシアチブです。加盟企業は年に1回、自社の削減状況を事務局に報告し、情報を開示する義務があります。それに加え、毎年温室効果ガスを最低でも2.5%削減することが求められています。このように、SBTの参加企業は、RE100の加盟企業と同じく持続可能な経営に取り組んでいるため、未来のある企業であると考えられます。

脱炭素関連のファンド

脱炭素関連のファンドにも、さまざまな種類があります。

脱炭素関連 世界株式戦略ファンド

「脱炭素関連 世界株式戦略ファンド」とは、脱炭素ビジネスに取り組んでいる世界の企業を対象としたファンドです。このファンドの対象は上場企業/上場予定の企業のみとなっており、企業の成長性と株価の割安度を査定した上で銘柄選定となります。このファンドは三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用しています。

詳しくはこちらを参照してください。

>>脱炭素関連 世界株式戦略ファンド(資産成長型)/(予想分配金提示型) (smtam.jp)

脱炭素ジャパン

「脱炭素ジャパン」とは、主に日本の企業を対象としたファンドです。野村アセットマネジメントが運用しています。脱炭素ビジネスをおこなっている企業に投資をしますが、それだけではなく、各企業の取り組みの現状をモニタリングし、ファンド全体の貢献度の見える化にも取り組んでいます。

詳しくはこちらを参照してください。

>>脱炭素ジャパン|投資信託情報|野村アセットマネジメント (nomura-am.co.jp)

脱炭素テクノロジー株式ファンド

「脱炭素テクノロジー株式ファンド」とは、日本や世界の株式から、脱炭素マネジメントをおこなっている企業に向けた投資を実施しているファンドです。大和アセットマネジメントが運用しています。

詳しくはこちらを参照してください。

>>脱炭素テクノロジー株式ファンド(愛称:カーボンZERO) (daiwa-am.co.jp)

参考:脱炭素関連の投資信託3選 (bridge-salon.jp)

まとめ|脱炭素ビジネスに取り組み、持続的な企業に

地球温暖化が加速し気候変動が世界中で話題となる今、脱炭素ビジネスに取り組むことは「権利」というより、もはや「義務」となっているとも言えるでしょう。気候変動や脱炭素ビジネスを他人事としてとらえず、率先して取り組み、持続的な企業として社会や投資家に認めてもらえるよう、小さなことから取り組んでいきましょう。

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