脱炭素社会とは|低炭素社会・カーボンニュートラルとの違いを簡単に解説

bannar

深刻化する地球温暖化を受けて、日本では2020年10月の所信表明演説において、菅元首相が「脱炭素社会」の実現を目指すことを宣言しました。それにともない、CO2をはじめとする温室効果ガスの排出を抑制するための取り組みが国家・企業・個人に本格的に求められはじめています。本記事では、脱炭素社会とはなんなのか、「低炭素社会」や「カーボンニュートラル」との違いも含めて、その課題と取り組みを解説していきます。

目次

脱炭素社会とは

「脱炭素社会」と似た意味で使われる言葉に、「低炭素社会」と「カーボンニュートラル」というものがあります。この章では、これら3つについて、それぞれ解説します。

脱炭素社会、低炭素社会、カーボンニュートラルの比較

脱炭素社会

「脱炭素社会」とは、「炭素社会を脱する」と書いてあるとおり、「CO2排出量をゼロにする」ことを実現した社会です。少し前まで世界は「脱炭素社会」ではなく「低炭素社会」を目指していました。しかし、低炭素社会では2015年のパリ協定で決まった「世界平均気温を1.5~2℃に抑える」という目標の達成が難しいと判断されたため、「脱炭素社会」を目指すようになりました。

低炭素社会

「低炭素社会」とは、「CO2排出量を削減する」ことを実現した社会です。「脱炭素社会」との大きな違いは、炭素社会はCO2排出量を「ゼロにする」ことを目指している一方、炭素社会では「減らす」ことを目標としている点です。

カーボンニュートラル

「カーボンニュートラル」とは、二酸化炭素排出削減の努力をした結果、どうしても削減しきれなかった分を森林保全活動や植林による吸収量を差し引き、排出量を実質ゼロにすることを目指した取り組みを指します。実質的に排出量をゼロにした状態を「脱炭素」と言い、それを実現した社会を「脱炭素社会」と呼びます。

カーボンニュートラルについて詳しく知りたい方は、こちらのリンクを参照してください。「カーボンニュートラル」と「ゼロカーボン」は同意義です。

脱炭素社会に向けて進む社会

世界は脱炭素社会に向けて足並みを揃え、各国で対策を講じています。この章では、世界の主要な2つの条約を説明し、国際動向についても触れていきます。

世界の主要な協定や条約

2つの主要な協定や条約について説明します。

京都議定書とパリ協定の比較

京都議定書

「京都議定書」とは、1997年に京都で開催されたCOP3(国連気候変動枠組条約第3回締約国会議)にて採択された、世界で初めての地球温暖化に対する国際条約です。

この条約では、参加している先進国全てに「温室効果ガスを2008~2012年の間に約5%(1990年比)削減すること」を求めました。結果、日本は削減に成功しましたが、途上国には削減を求めていないこの条約に不満を表し、次の第2約束期間である2013~2020年には参加しませんでした。

当時の日本では、目標達成のために「京都メカニズム」という制度を導入しています。

パリ協定

「パリ協定」とは、2015年にフランスのパリで開催されたCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)で京都議定書の後継として採択された、地球温暖化に対する取り組みです。京都議定書との大きな違いは、京都議定書は先進国だけに削減を求めた一方、パリ協定では先進国・途上国両方に削減を求めた点です。

しかし、京都議定書では削減目標の達成が「義務化」されていたのに対し、パリ協定では目標の達成は「義務化」されていないため、不完全な条約なのではないか、という声も上がっています。

地球温暖化に関する動向

各国で、脱炭素社会に向けて積極的に取り組みがおこなわれています。この章では、代表的な3つの国を例に挙げ、説明していきます。

イタリア

イタリアでは、2003年のイタリア白書において「低炭素経済(Low-Carbon Economy)という言葉が生まれ、2008年11月には気候変動法が成立しています。この法では、2050年までに温室効果ガスの排出量を80%削減することや、世界平均気温の上昇を2℃以下に抑えることなどが求められています。

韓国

韓国では、Low-CarbonやGreen Growthという目標を掲げ、環境に寄り添った国家づくりに精進しています。

中国

中国では、途上国に対する温室効果ガス削減目標の義務化には賛成していない一方で、第12次5カ年計画では低炭素社会構築に協力しています。また、中国は太陽光発電の導入率でほかの国々を大きく引き離し、10年以上前から1位を保持しています。

脱炭素社会に向けた日本の取り組み

日本は脱炭素社会を目指し、さまざまな取り組みをおこなっています。この章では、その取り組みの一部を紹介します。

2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略

「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略(以下グリーン成長戦略)」とは、2020年10月に日本政府が出した「2050年カーボンニュートラル宣言」を実現するために策定されたものです。具体的には、産業としての成長が見込まれ、かつ温室効果ガス削減が望まれている14つの分野に対する「実行計画」を策定しています。

14つの分野とは、

  1. 洋上風力産業
  2. 燃料アンモニア産業
  3. 水素産業
  4. 原子力産業
  5. 自動車・蓄電池産業
  6. 半導体・情報通信産業
  7. 船舶産業
  8. 物流・人流・土木インフラ産業
  9. 食料・農林水産業
  10. 航空機産業
  11. カーボンリサイクル産業
  12. 住宅・建築物産業/次世代型太陽光産業
  13. 資源循環関連産業
  14. ライフスタイル関連産業

を指しています。

参考・画像引用:カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは? (enecho.meti.go.jp)

RE100

「RE100」とは「Renewable Energy 100%」の略であり、2050年までに企業の事業運営をすべて(100%)再生可能エネルギー(Renewable Energy)でまかなうことを目指した国際的なイニシアチブの1つです。環境省がRE100への参加を普及させているため、近年加盟企業数は大幅に増えています。加盟している企業は年に1度、100%再生可能エネルギーを利用するための具体的な活動報告書を事務局に提出する義務があります。

カーボンプライシング

「カーボンプライシング」とは、CO2に価格をつけ、排出した量に応じて企業や家庭にお金を支払ってもらう、という仕組みです。これは実際に1990年のフィンランドで初めて導入されました。日本にも2012年から導入がされていますが、CO2を排出した分お金を払わなければならないということは企業や家庭にとっては大きな負担になるため、あまり普及していない、というのが現状です。

COOL CHOICE

「COOL CHOICE」とは、普段の生活の中から温室効果ガスの排出削減のために「賢い選択」をしよう、という取り組みです。具体的には、社会づくりに貢献した製品の購入や、車より自転車を使うといったライフスタイルの変更のことを指します。COOL CHOICEでは、「5つ星家電買換えキャンペーン」「できるだけ1回で受け取りませんかキャンペーン」「エコ住キャンペーン」「チョイス!エコカーキャンペーン」の4つのキャンペーンを主に推進しています。

詳しくは、こちらを参照してください。

>>2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、未来のために、いま選ぼう。(ondankataisaku.env.go.jp)

まとめ|私たちにできること

地球温暖化が世界が取り組むべき最重要課題として扱われるようになったと同時に、「脱炭素社会」という言葉も急速に普及しました。国家・企業・個人の各単位でも、全員が足並みを揃えて地球を想った行動をすれば、持続可能な社会の構築につながるのだと考えます。脱炭素社会実現のための取り組みはさまざまですが、地球の未来のために、自身の日々の選択と行動を考えてみましょう。

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