グリーン経済とは?グリーン成長やグリーン成長戦略との違い・日本企業の動向

bannar

脱炭素化や地球温暖化に配慮した企業活動が主流になってきた昨今、グリーン経済やグリーン成長戦略などの言葉が飛び交うようになりました。本記事では、グリーン経済とは何か、グリーン成長やグリーン成長戦略の似ている言葉との違いや日本企業における環境配慮の動向を解説していきます。

目次

グリーン経済(グリーン・エコノミー)とは?

「グリーン経済(グリーンエコノミー)」とは、持続可能な開発や発展を目指す経済のあり方のことです。環境への負担や生態系の損失を軽減しつつ、社会における不平等をなくすために取り組まれています。国連環境計画(UNEP)が2011年11月に公表しました。

グリーン経済とグリーン成長の違い

「グリーン成長(Green Growth)」とは、自然環境や自然資源への負担を軽減しつつ、経済的成長も見込んでいくことです。生産性の向上や環境問題への投資・技術の進歩、マクロ経済条件の安定などの要素が必要となってきます。

下の表がグリーン成長における重要な要素を表しています。

画像引用:第2節 持続可能な環境・経済・社会の実現に向けた世界の潮流 (env.go.jp)

「グリーン経済」と「グリーン成長」は同じ意味を持ちますが、「グリーン成長」は経済的成長を目指しながら、人々の生活に必要不可欠な自然の恵みを受け続けていくことを指しています。

グリーン経済とグリーン成長戦略の違い

「グリーン成長戦略」とは、企業の経済的成長と環境への配慮を同時並行する産業政策です。「2050年カーボンニュートラル」というグローバルな目標に向かって、各国で取り組みが進められています。

詳しくは4つ目の「グリーン経済に向けた日本企業の動向」という章で説明していきます。

グリーン経済が目指されたリオ+20

1992年にブラジル・リオデジャネイロにて、国連環境開発会議(地球サミット)が開催されました。それのフォローアップ会議として2012年6月に開催されたのが、国連持続可能な開発会議(リオ+20)です。地球サミットからちょうど20年後、同じリオデジャネイロでおこなわれたことから「リオ+20」という名前が付けられました。リオ+20は3日間にわたって開催され、成果文書「我々の求める未来(PDF)」が採択されました。

地球サミットでは「環境と開発に関するリオ宣言」や、それを実行に移すための行動計画である「アジェンダ21」が採択され、持続可能な社会の実現を描く現在の考え方のベースとなりました。20年後のリオ+20では、資源枯渇を筆頭とした「地球の限界」が明らかになり、環境保全と経済発展を同時に進めていく「グリーン経済」が目指されるようになりました。

グリーン経済に向けた日本の取り組み

リオ+20を踏まえて、日本政府は低炭素社会実現に向けて動き出しました。具体的にはカーボンプライシングである「地球温暖化対策のための税導入」や「国内排出量取引制度」、また「固定価格買取制度」などが挙げられます。

参考:第4章 世界をリードするグリーン成長国家の実現に向けて (env.go.jp)

グリーン経済に向けた日本の取り組み

地球温暖化対策のための税導入

「地球温暖化対策のための税導入」とは、CO2排出量に応じて税を上乗せするというCO2削減手法です。これは欧州各国を中心として注目を浴びており、日本では2012年10月1日から始まっています。いきなり税負担を重くするのではなく、3年かけて税率を徐々に引き上げています。

国内排出量取引制度

「国内排出量取引制度」とは、CO2の排出削減設備の補助や積極的に削減努力をしている事業者を支援する制度です。2005年に採択されました。

固定価格買取制度

「固定価格買取制度」とは、2011年に成立した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」に基づいて、2012年7月1日から始まった制度です。再生可能エネルギーによって発電された電気を、国が定めた一定の期間及び価格で事業者が買い取ることを義務付けた制度です。

固定価格買取制度はFIT制度(Feed-in Tariff)とも呼ばれます。この制度についての詳しい説明は、こちらを参照してください。

グリーン経済に向けた日本企業の動向

1番初めの章でも書いた通り、日本は「2050年カーボンニュートラル」に向けて、企業の経済的成長と環境への配慮を同時におこなう政策に取り組んでいます。

日本政府はグリーン経済に向けて「グリーン成長戦略」という産業戦略を元に、民間企業への環境への投資を推進しています。環境への投資や地球温暖化対策を「取り組まなければいけないこと」と認識するよりも、「取り組むことが当たり前なこと」と捉える時代になってきました。具体的に、近年ESG投資(環境に配慮した経営をしている企業に優先的に投資をおこなう投資手法)やRE100(企業で取り扱う電力をすべて再生可能エネルギー由来のものにすること)が主流になってきており大幅な企業改革が求められています。

また、2050年カーボンニュートラルを達成するために、これからの発展を見込むことができ、かつCO2排出削減に取り組むべき14の産業分野を設定しました。

以下の14の産業分野です。

  • エネルギー関連産業:①洋上風力、②燃料アンモニア、③水素、④原子力
  • 輸送&製造産業:⑤自動車・蓄電池、⑥半導体・情報通信、⑦船舶、⑧物流・人流・土木インフラ、⑨食料・農林水産業、⑩航空機、⑪カーボンリサイクル
  • 家庭・オフィス関連産業:⑫住宅・建築物/次世代型太陽光、⑬資源循環、⑭ライフスタイル

以上の14の産業分野は幅広いため、関連省庁との連携をそれぞれが保ちながら、2050年カーボンニュートラルに着実に近づこうとしています。

画像引用:カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは? (netzeronow.jp)

参考:カーボンニュートラルに向けた産業政策“グリーン成長戦略”とは? (enecho.meti.go.ip)

グリーン経済はこれからのスタンダード

加速する地球温暖化を止めるための取り組みは、日本国内でも国外でも急速に発展しています。文中にも書いた通り、企業が環境に配慮した経営をおこなうのは既に「当たり前」な世の中になってきています。持続可能な企業になるために、そして2050年カーボンニュートラルを達成するために、グリーン経済に向けた取り組みをしてみてはいかがでしょうか。

この記事をSNSでシェア
目次
閉じる