炭素隔離とは?グリーンカーボン・ブルーカーボンの違い・日本の取り組み状況を解説【CCS/CCUS】

地球温暖化防止のため、温室効果ガスの排出抑制に向けた取り組みが世界中で行われている中、二酸化炭素を隔離・活用する炭素隔離に注目が集まっています。本記事では炭素隔離の方法と仕組みについて解説をします。

目次

炭素隔離とは

「炭素隔離」とは、大気中へのCO2の排出を防ぐ方法の1つです。生物学的なものと、地質学的なものの、2つがあります。生物学的なものは、一般的に植林活動が挙げられます。木々を増やしCO2を吸収させる方法です。一方地質学的なものとは、CCSのことを指します。CCSについては、本章で解説します。

グリーンカーボンとブルーカーボン

「グリーンカーボン」は生物が排出したCO2を陸域生物によって吸収される炭素(カーボン)のことを指し、「ブルーカーボン」とは海域生物によって吸収される炭素のことを指します。2009年に国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)が『Blue Carbon』という報告書の中でこのように定義される前は、陸域・海域生物関係なく「グリーンカーボン」と呼ばれていました。

UNEPの『Blue Carbon』はこちらからダウンロードできます。

>>BLUE CARBON: THE ROLE OF HEALTHY OCEANS IN BINDING CARBON (wedocs.unep.org)

炭素隔離の種類

CCSとは

「CCS」とは工場や発電所などから排出されたCO2を回収し、地中に貯蓄する技術のことです。Carbon dioxide Capture and Storageの頭文字を取っています。

CCUとは

「CCU」とは、CCSの技術を使って貯蓄したCO2を新たな商品やエネルギーとして有効活用させる技術です。Carbon dioxide Capture and Utilizationの頭文字を取っています。

CCUSとは

「CCUS」とはCarbon dioxide Capture, Utilization and Storageの略であり、日本語では「CO2の回収・貯蓄・有効利用」を指します。例えば、CO2を古い油田に注入し、回収することが難しかった原油をCO2の力を使って押し出すことが挙げられます。

CCS・CCU・CCUSは単語が似ているため困惑しやすいですが、

  • CCS:CO2を地中に埋める技術
  • CCU:地中に埋めたCO2を新しい商品やエネルギーに変える技術
  • CCUS:上の2つを併用した技術

とまとめることができます。

この3つについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。

>>CCS・CCUSとは?具体的な定義と重要視される背景・メリット (netzeronow.jp)

日本の炭素隔離

本章では、日本における炭素隔離の取り組みについて解説していきます。

CCUに関する取り組み

日本国内で取り組んでいるCCUの実例を紹介していきます。

参考:CCUSを活用した カーボンニュートラル社会の 実現に向けた取り組み (env.go.jp)

佐賀市

佐賀市では「二酸化炭素回収機能付き廃棄物発電検討事業」として、ゴミ焼却場の廃棄物発電施設に、日本で初めてCO2分離・回収できる設備を導入しました。回収されたCO2は藻類培養業者に売られ、化粧品やサプリメントとして生まれ変わっています。

日立造船株式会社

日立造船株式会社では「清掃工場から回収した二酸化炭素の資源化による炭素循環モデルの構築実証」として、ごみ焼却場から排出されたCO2を再エネ由来の水素と合わせ、天然ガスの代わりとなるメタンを作っています。

川崎重工業株式会社

川崎重工業株式会社では「低濃度二酸化炭素回収システムによる炭素循環モデル構築実証」として、低濃度CO2ガス中のCO2を省エネルギーで回収しています。低濃度CO2ガス中のCO2は有効活用が難しいとされてきたため、大きな進展となっています。

苫小牧におけるCCS大規模実証試験

北海道中南部に位置する苫小牧市(とまこまいし)におけるCCS大規模実証実験について触れていきます。

政策的位置付け

CCS普及の大きな一歩となる分離回収技術の高効率化を目指し、世界への貢献を目指しています。

苫小牧での実証試験の決定

日本全国115カ所の候補地の中から、2012年2月に苫小牧が選ばれました。CO2を貯蓄することに適した地層や、近くにCO2を排出する工場や発電所が存在していたことが、選ばれた理由だとされています。日本で初めてとなるCCS実証プロジェクトとして注目を浴びています。

概要

CCS実証プロジェクトの概要は、以下のようになっています。

CCS実証プロジェクトの概要
画像引用:我が国のCCS政策について (meti.go.jp)

また、以下のリンクから、CO2の実際の圧入量の実績を見ることが可能です。

2016年4月6日~2019年11月22日までのCO2累計圧入量は、300,110.3トンでした。

>>公開情報 (jccs-tomakomai-monitoring.com)

まとめ|炭素隔離に取り組み、持続的な社会へ

私たちが生活する上で、CO2の排出はどうしても防ぐことができません。しかし加速する地球温暖化を止めるためには、CO2排出量を減らすことが必須です。そのため、排出されたCO2を大気中へ放出するのではなく、工夫して有効活用しようという取り組みが始まっています。炭素隔離に取り組み、持続可能な社会をつくっていきましょう。

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