太陽光発電投資を選ぶ5つのメリットは?リスクも詳しく解説

bannar

太陽光発電投資とは、投資を目的とした太陽光発電の利用のことです。再生可能エネルギーとして、環境にやさしい発電方法である太陽光発電は、自家消費や非常用の電源供給としてだけでなく、売電による投資先としても注目されています。2009年「余剰電力買取制度」、2012年「FIT制度」、そして2022年「FIP制度」と、国内の制度も状況に応じて年々変化しています。この記事では、太陽光発電投資のメリット・デメリットとリスクについて解説します。

目次

太陽光発電投資とは

太陽光発電投資は、太陽光発電で発電した電力を売買することで収益を生み出す仕組みです。FIT制度を用いておこなう方法が一般的です。以下、電力購入契約(PPA)とFIT制度についてご説明します。

電力購入契約(PPA)

電力購入契約(PPA)は、初期投資不要で太陽光発電を導入することのできる仕組みです。事業者に土地を提供することで、太陽光発電設備の設置、管理を委託することができます。初心者が太陽光発電投資を始めるのに、最も手軽な方法と言えるでしょう。

FIT制度

FIT制度は、国が電力会社に対して、再生可能エネルギー由来の電力の買取を義務付ける制度です。地球温暖化問題の深刻化を背景とし、再生可能エネルギーを広めるために施行されました。太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電の5種類の再生可能エネルギーが対象となり、家庭用の場合は10年間、産業用であれば20年間、一定の利益が保障されます。電力会社が電力を買い取る費用は「再エネ賦課金」でまかなわれ、電力の利用者から徴収される仕組みです。

太陽光発電投資が普及した背景

本項では、投資家の間で太陽光発電投資が普及した経緯をご説明します。

太陽光発電投資の始まりは、2009年に開始された「余剰電力買取制度」です。発電量の内、自家消費して余った分の電力を10年間売却することができます。ただし、発電量をすべて売ることができず利益が伸びにくい点や太陽光発電のみが対象であった点が課題でした。その後、余剰電力買取制度の後継として2012年に施行されたのがFIT制度です。この制度では、20年間一定の価格で太陽光発電由来の電力の買取が保証されるほか、発電量はすべて売却可能であり、さらに太陽光発電に加えて4種類の再生可能エネルギーが対象に追加されました。国が利益を保証するため安全性が高く、比較的始めやすいこの制度は、投資家やサラリーマンの間でまたたく間に広まりました。

しかし、近年では売電価格が低下しつつあり、FIT制度も順次終了しつつあります。これを受けて、2022年度よりFIT制度に代わる形で開始されるのが、「FIP制度」です。この新しい制度については、後ほど詳しくご説明します。

太陽光発電投資を選ぶ5つのメリット

太陽光発電投資のメリットには、環境に優しいという点はもちろん、経済的である、投資商品としてリスクが低いといった点が挙げられます。本項では、代表的な利点を5つご紹介します。

高利回り

太陽光発電投資は、投資金額に対する利子を含めた収益である利回りが、他の投資方法と比較し高くなっています。例えば、太陽光発電投資商品の1つである「土地付き太陽光発電」には利回りが10%を超えるものも珍しくありません。もし価格が2000万円で利回りが10%の商品に投資すれば、10年で投資費用を回収することができます。

再エネ需要により設備の購入費用が安価に

パリ協定で策定された国際目標の影響により再生可能エネルギーの需要が高まっているため、太陽光発電の設備を導入する費用負担が近年小さくなりつつあります。太陽光発電の設備は高額ですが、多彩な補助金制度で大幅に負担を減らすことができるほか、PPA(前項参照)を利用すれば初期費用ゼロで導入可能です。

FIT制度によるローリスクでの投資

不動産投資や株式投資では利益が回収できない場合もありますが、太陽光発電投資では投資リスクはほとんどありません。その理由は、FIT制度において一定価格での電力買取が保証されているためです。投資に用いるのは産業用の大型太陽光発電が標準ですが、この場合は20年間の買取が電力会社に義務付けられています。さらに買取価格が一定であるため、利益の見通しを立てやすいのもメリットです。

ソーラーパネルの寿命の長さ

ソーラーパネルは寿命が平均30年と長いため、維持管理に関する費用が少なく済みます。実際に、ソーラーパネルの保証期間はだいたい10年〜25年です。さらに、利益を回収した後、太陽光発電関連の設備を売却することもできます。

太陽光発電投資を選ぶ5つのデメリット・リスク

もちろん、太陽光発電投資は完全無欠な投資方法ではありません。本項では、投資を始める前に知っておくべき5つのデメリットやリスクを挙げていきます。

売電価格の低下

FIT制度による消費者の税負担軽減(※1)や太陽光発電の普及を背景に、売電価格は近年低下の傾向にあります。毎年2〜3円減額しており、2022年現在の価格は2012年比で約半分です。

FITが定めた2023年度の売電価格は以下の通りになります。

  • 10kW未満:16円/kWh(税込み)
  • 10~50kW未満:10円/kWh(税抜き)
  • 50~250kW未満:9.5円/kWh(税抜き)

※1 消費者は、FIT制度における電力買取費用をまかなうために、再エネ賦課金を支払う必要があります。

この傾向は今後も続くことが予測されます。

天候への依存が大きい

太陽光を利用して発電する特性上、雨天時や夜間には発電できず安定した電力供給ができません。そのため、正確な発電量を予測できない点が問題として考えられます。ただし、年ごとで見れば発電量に差はほとんど出ないため、蓄電池を用いて余剰分の発電量を貯蓄することが有効です。

FIT制度終了後の不安、FIP制度への移行

2019年より、FIT制度がサービスを順次終了していくことが決定しています(卒FIT)。代わりに施行されるのは、FIP制度です。特徴は、再生可能エネルギー事業者が卸電力取引市場に参入する点にあり、これにより再生可能エネルギーの普及が迅速に進みます。FIT制度が完全に終了するのは早くとも2032年からであるため、まだ売電を継続することはできますが、投資を続ける選択を迫られるでしょう。その際、FIT期間中に投資費用を回収しその後保有し続けるか、もしくは設備を売却するかという選択肢が考えられます。

出力抑制により売電できない可能性がある

出力抑制とは、電力の消費量よりも供給量の方が多い場合に発電所の発電量を抑える仕組みのことです。優先順位の高い発電方法から順に規制されますが、太陽光発電は比較的優先順位が低いです。そのため可能性は低いですが、出力抑制により売電できない可能性があります。ただし、実例があるのは九州の種子島や壱岐といった離島で、こういった特殊な立地でなければ出力抑制の影響を受けることはほとんどありません。立地にさえ気を付ければ、この問題に関してそれほど勘案する必要はないでしょう。

売電方法が規模により異なる

売電方法は、太陽光発電の規模により異なります。具体的には、発電量が50kWh以上の大規模な産業用太陽光発電では全量売電が可能なのですが、10kWh未満の小規模な住宅用太陽光発電や50kWh未満の産業用太陽光発電では余剰売電しかおこなえません。全量売電では発電した電力をすべて売却することができるため、こちらの方が利益が多く創出されます。投資目的で太陽光発電を導入するのであれば、発電量が50kWh以上の大規模な産業用太陽光発電の購入が良いでしょう。

まとめ|太陽光発電の今後に注目して投資判断を

リスクが少なく、比較的手軽に始められることから人気の高い太陽光発電ですが、FIT制度の終了や売電価格の低下など留意すべき課題もあります。ただし、利点の多い投資方法であることに変わりはなく、初期投資不要で始められる、長期的に見るとコストパフォーマンスが良いなどメリットは豊富です。今後に注目しつつ、投資をおこなうか否かを判断しましょう。

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