電気で動く車を最大限活用するための4つの方法

bannar
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輸送に伴う、温室効果ガスの排出

輸送に伴って排出される温室効果ガスは、エネルギー関連の排出量の4分の1以上を占めています。今の状況が続けば、2050年までに2倍になると考えられています。つまり、輸送による排出量を減らすことができれば、パリ協定で定められた、各国の温室効果ガス削減目標に大きく貢献できるということです。

そこで注目されているのが、電気という動力です。近年日本でも、電気自動車やハイブリッド車が増加しています。一方で、生活用の電気さえ不安定な発展途上国では厳しいのではないか、という疑問も残ります。

世界銀行による、4つの提案

世界銀行は、各国が輸送部門で脱炭素を達成するために必要なことを、4つ掲げました。

1.自動車だけではなく、電気を他の輸送機関にも活用する。

電気自動車の普及は進んでいますが、それだけではまだ足りません。例えば、車よりも安いバイクや、多くの人を乗せることができるバスなどの乗り物も、電気を動力源としていく必要があります。こうすることで、より多くの人が脱炭素への取り組みに参加することができます。

Bloomberg New EnergyFinanceのAdvancedTransport責任者であるColin McKerracherは、以下のように述べています。
「現在、すでに世界中のバスの16%は電気自動車です。また、電動自転車を除く、電気を動力とする2輪車と3輪車は世界に1億9千万台あり、電気自動車の中で最も大きな割合を占めています。」

電気の力を最大限に活かすためには、それぞれの乗り物のメリットを把握する必要がありそうです。

2. 発展途上国も共に取り組まなければならない

先進国は、電気自動車を始めとする、環境に優しい乗り物の開発を推進しています。しかし、それは自国の国民の将来のため、持続可能な開発を進めているにすぎません。発展途上国向けには未だに、古くて環境に良くない乗り物を輸出しています。これでは、輸送に伴う温室効果ガス排出量削減には不十分です。

「内燃機関を利用したままでは、パリ協定で立てられた目標を実現することは不可能です。」と、Climate Works Foundation / Global Drive ElectricCampaignの輸送リーダーであるMonica Araya氏は語ります。
同氏は、チリが独自に電気バスを開発したことを例に挙げ、「発展途上国産の技術」を活用すべきだと強く主張しています。

3. 生産量を増やし、価格を引き下げる

ここ数年、リチウムイオン電池の国際価格は、生産が増加するにつれて下落しています。

ColinMcKerracher氏はこういいます。「リチウムイオン電池の生産量が2倍になれば、約18%のコスト削減につながります。」
同氏は、これから5、6年間価格が下落し続けると予想しています。同時に、国際価格の下落に頼るのみならず、リサイクルや廃棄にかかる費用など、様々な面でのコストをしっかりと見直していかなければならないと考えています。

4. 分野を越えた政策が必要である

環境問題を解決するためには、産業分野間の連携とそれを可能にする政策が必要です。輸送部門では、持続可能な乗り物をなるべく使うことが求められますし、エネルギー部門では、より環境にやさしい動力源を開発することが必要です。また、都市開発分野においても、そもそも移動をせずに済むような街づくり、いわゆるコンパクトシティの推進がおこなわれていかなければなりません。

世界銀行のシニアエネルギースペシャリストである、Ivan Jacques氏はこう述べます。「これは多方面の分野の問題であり、協力して対策を講じることが大切なのだと理解しなければなりません。」

これからの展望

電気を動力とする乗り物はすでに普及しています。しかし、より電力の活用についての理解を深めることによって、運輸部門にさらに大きな変化をもたらすことができるのです。

参考記事
>>https://www.weforum.org/agenda/2021/06/electric-mobility-cars-automobile/

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