投資家が民間企業に気候変動データの開示を要求
2.3兆ドルの資産を運用する投資家は、上場企業との透明性のギャップを解消するため、1,000社以上の民間企業が非営利の情報開示プラットフォームCDPを通じて気候変動データを公開することを求めました。
近年、大手企業が炭素を排出する事業を他社に売却する動きが見られています。その中で、一部の炭素排出量が報告されない危険性が浮上しました。今回の請求は、その防止を目的としたものです。
炭素を排出する資産の買収による、「排出漏れ」とは?
CDPの発表によると、ニューバーガー・バーマンやニューヴィーンなどのグループは、上場企業から高炭素資産を買い取る動きが活発化する中で、炭素排出量を明確化するための質問表の作成に協力しました。大手石油会社BPがアラスカの石油・ガス事業をヒルコープ・エナジーに56億ドルで売却したような取引は、民間企業の報告義務が軽減されるため、投資家の気候変動リスクへの対応を妨げる危険性があると同グループは指摘しています。
「プライベート・マーケッツ・パイロット」と名付けられたこの取り組みに賛同する他の投資家には、M&G、ビーチ・ポイント・キャピタル、コラー・キャピタル、インターミディエイト・キャピタル・グループが含まれます。このプロジェクトは、投資家がプライベート・エクイティおよび負債市場に記録的な額の資金を投入していることを受けてのものです。プライベート・エクイティの純資産価値は、今世紀に入ってから公開市場の3倍の速さで成長しています。
コラーキャピタルのパートナーであり、ESG&サステナビリティ部門の責任者であるアダム・ブラック氏は、「より多くの民間企業に、炭素や水、森林破壊の影響を積極的に測定し開示するよう促すことは、もはや望ましいことではなく、低炭素社会への移行のために不可欠なことです。さらに民間市場においては、投資家がより多くの情報に基づいて投資管理を行うことができるようになります。」と述べています。
また、CDPの資本市場担当ジョイント・グローバル・ディレクター、クレア・エルスドンは、投資家が2050年までにポートフォリオ全体で排出量をゼロにするという約束を果たすためには、民間企業のデータが不可欠だと指摘しています。この請求は、上場企業が監視や透明性を避けるために高炭素資産を民間企業に売却するなど、資産クラス間の「排出漏れ」を防ぐために不可欠なのです。
参考記事:Investors call for private firms to disclose more environmental data – Netscape Politics