ISO14001(環境マネジメントシステム)とは?取得の流れ・メリット&デメリット

bannar

「ISO14001」とは環境マネジメントシステムに関する国際規格であり、企業などの組織の活動全体が環境に与える影響を最小限に抑える目的で作られました。この記事では、ISO14001の基礎知識から取得の流れ、そしてメリットとデメリットについて分かりやすく解説します。

目次

今さら聞けないISOの基礎知識

本章では世界的に重要視されているISOについて、それに関連する用語も含めて解説していきます。

ISOとは

「ISO」とはInternational Organization for Standardization(国際標準化機構:国際社会において標準となるラインを制定する機関)のことを指します。これはスイスのジュネーブに本部を置く非政府機関であり、ISOが制定した世界共通の規格を「ISO規格」と呼びます。

「ISO規格」とは、特定のサービスや商品に対して、「世界で同じ品質・レベルのものを提供する」ことを目的とした国際基準です。ISO規格はあくまでも社会において求められている管理体制を形作っただけなため、その内容は時代とともに変化していきます。改訂や制定は160カ国以上の加盟国の投票で決定されます。加盟できるのは1カ国1機関と定められていて、日本からはJISC(日本工業標準調査会:Japanese Industrial Standards Committee)が参加しています。

ISO規格のマネジメントシステムとは

「マネジメントシステム」とは、会社や企業などの組織を運営していく上での規定や手順、責任の体制です。つまり組織一丸となって目標に向かっていく中での、適切な管理・指揮をするための仕組みのことを指します。その中で「ISO規格のマネジメントシステム」とは、ISOが制定した、組織運営の国際的な基準を可視化したものです。

具体的に、マネジメントシステムの中ではISOが制定するISO14001(環境マネジメントシステム)やISO9001(品質マネジメントシステム)が有名です。ISO14001については、次の章で詳しく解説していきます。

マネジメントシステム認証制度

ISOマネジメントシステム規格には基準として「要求事項」というものが定められています。認証機関の審査が終わり、要求事項をすべて満たしていた場合、「認証証明書(登録書)」というものが発行され、公表されます。この流れを「マネジメントシステム認証制度と呼びます。組織と認証機関に利害関係がないため、認証を受けることは、組織が社会的信頼を得ることにも大きく繋がります。

日本には日本適合性認定協会(JAB)と情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)の2つの認定機関が存在し、各国の認定機関と相互承認しながらやりとりをおこなっています。そしてこれらに認められた認証機関がおこなう認証は、間接的に世界に認められた認証となるため、世界でも通用できるようになっています。

画像引用:ISOの基礎知識 (jpa.jp)

PDCAサイクル

「PDCAサイクル」とは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(確認)→Act(改善)の組織運営のサイクルのことを指します。マネジメントシステムの要求事項の1つとして、この「PDCA:継続的改善」が含まれています。組織の規模や目的などは各組織ごとに異なるため、マネジメントシステムは組織によって大きく異なっていきます。

ISO14001とは

環境マネジメントシステムの根本である「ISO14001」について説明します。

ISO14001の概要

「ISO14001」とはISO14000シリーズの中の1つであり、環境マネジメントシステムの基礎を形作っている重要な部分です。平成8年に発行されたISO14001には、ISOが定める環境マネジメントシステムにおいて、守るべき事項が盛り込まれています。ISO14001の中心には前章で解説したPDCAサイクルがあり、このサイクルに沿って組織が継続的に改善していくことを求めています。ISO14001には具体的な組織の改善案や策が示されているのではなく、経営での管理手法について述べられているため、組織は自らに合ったシステムを活用していきます。

ISO14001取得の流れ

「ISO14001」は組織が与える環境への影響を可視化し、環境負担を軽減させるためのシステム作りが目的です。そのため、ISO14001の取得は社会から「環境に配慮した経営をおこなっている組織」として認められることになります。そんなISO14001を取得する流れを解説します。

システム構築・運用

1番初めのステップである「事前相談・見積もり」また「契約」には、次のPDCAサイクルが必要となります。

Plan(計画)

認証取得に関連する情報収集や方針の決定、また組織の役員への教育など、PDCAサイクルを始めるにあたっての計画を立てていきます。

Do(実施)

立てた計画を実際におこないます。

Check(確認)

実際におこなった活動の記録や分析などをおこないます。

Act(改善)

記録・分析を踏まえ、マネジメントシステムの見直しや修正をおこないます。

認証取得

PDCAサイクルが完全に構築されたあとは、認証のために動き始めます。

登録審査(ファーストステージ)

ファーストステージでは、文書審査を中心として、マネジメントシステムの運用状況やセカンドステージへの準備ができているのかを審査します。

登録審査(セカンドステージ)

セカンドステージの審査は、必ずファーストステージ後1~6ヶ月の間におこなわなければいけません。適合範囲すべてを審査し、マネジメントシステムの運用状況を審査し、規格への適合性を測ります。

登録書発行

2つの登録審査を踏まえ、登録審査会にて登録の可否を決めます。登録可の場合、3年間の有効期限の付いた登録書が発行されます。

システム運用・認証維持

定期的におこなわれる更新審査において、マネジメントシステムが規格要求事項に依然適合しているのかを確認します。審査会で更新可と判断された場合、また新たに3年間の有効期限付きの登録書が発行されます。

参考:ISO 14001(環境) (jqa.jp)

画像引用:ISO 14001(環境) (jqa.jp)

ISO14001のメリット・デメリット

本章では、ISO14001取得のメリットとデメリットについて説明していきます。

ISO14001のメリット

ISO14001は環境に配慮し、持続的な経営をおこなっている証明にもなるため、大きなメリットとしては、社会的信頼を得ることができることが挙げられます。ほかにも、

  • 組織の役員の環境意識の向上
  • 業務の効率化
  • 優位に進む取り引き
  • 省エネによるコスト減少

など、さまざまなメリットが存在します。

ISO14001のデメリット

一方、ISO14001取得にはデメリットも存在します。それは、

  • 認定取得のための手間やコスト
  • 従業員の負担の増加

などの事柄です。認定の維持のためには毎年審査を受ける必要があるため、そのためのランニングコストは、組織にとって負担となりかねません。

まとめ|ISO14001を通して環境リスクに配慮したシステム運用を

ISO14001の取得は少し手間とコストがかかるものの、持続可能な組織にしていくためには重要な対策とされています。環境に配慮した経営をおこなっていくことで社会的信頼を手に入れ、広く認められる組織に変化していきましょう。

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