グリーンサプライチェーンマネジメント(グリーンSCM)とは?脱炭素経営に向けた取り組みを解説

「グリーンサプライチェーンマネジメント(グリーンSCM)」とは、商品や製品を消費者に提供するまでの過程(サプライチェーン)全体においての、経済効率と環境負荷軽減の両立を目指した取り組みのことを指します。本記事では、グリーンSCMやサプライチェーンの概要を解説していきます。

目次

サプライチェーンとは

この章では、サプライチェーンの概要や、サプライチェーンマネジメントについて説明します。

サプライチェーン

「サプライチェーン」とは、製品の「原料調達・製造・物流・販売・廃棄」までの一連の過程のことを指します。企業にとって製品の安定した供給は必須なため、サプライチェーン全体のマネジメントについて詳しく知っておく必要があります。

サプライチェーンについての説明
画像引用:サプライチェーン (daihatsuryu.co.jp)

サプライチェーンマネジメント(SCM)

「サプライチェーンマネジメント(SCM:Supply Chain Management)」とは、前述の通り、サプライチェーン(商品や製品の原料調達から廃棄までの一連の流れ)をマネジメント(管理や連携)することを指します。今まではロジスティックの流れを管理する、という意味合いが強かったものの、最近では、環境配慮の観点から見た物流管理を示す場合が多くなりました。

グリーンサプライチェーンマネジメントの概要

この章では、グリーンサプライチェーンマネジメント(以下グリーンSCM)が生まれた背景や今の現状について解説していきます。

背景と目的

地球温暖化の加速を止めるため、脱炭素化に向けての取り組みが世界的に推進されています。企業へ情報開示要求をする取り組みはグリーンSCMだけでなく、GHGプロトコルやSBTも代表として挙げられます。これらはすべて合理的に地球温暖化対策を推進していくための取り組みであり、グリーンSCMはもちろん、そのほかの取り組みへの日本企業の取り組み参加数も増えてきました。

※GHGプロトコルとは?

「GHGプロトコル」とは世界で最も幅広く用いられている、国際的な温室効果ガス算定・報告の基準です。

>>GHGプロトコルとは?サプライチェーン排出量やScope、他のイニシアチブとの関係を解説 (netzeronow.jp)

※SBTとは?

「SBT」とはパリ協定で採択された「世界の平均気温を1.5℃に保つ努力をする」という目標のため、企業に温室効果ガス排出削減を求めている、国際的なイニシアチブです。SBTの温室効果ガス排出の算定はGHGプロトコルを用いています。

>>SBTってなんのこと?概要やメリット・デメリット、加盟の仕方を解説 (netzeronow.jp)

脱炭素社会については、こちらのリンクを参照してください。

>>脱炭素社会とは | 低炭素社会・カーボンニュートラルとの違いを簡単に解説 (netzeronow.jp)

現状と課題

世界中で「脱炭素化」や「CO2削減」が叫ばれている時代において、環境に配慮した製品やサービスを消費者に提供することは、企業の義務と化してきました。日本政府も2050年までにCO2排出を全体としてゼロにする(カーボンニュートラル)ことを宣言し、一層環境に優しい企業経営が求められるようになりました。こういった現状を受け、企業は全社一丸となってCO2削減に取り組むことが課題となっています。

サプライチェーン排出量とは

この章ではサプライチェーン排出量の解説や、メリット、そして排出量算定までの流れを説明していきます。

サプライチェーン排出量

「サプライチェーン排出量」とは、原料調達から製造、物流、販売、そして破棄までの一連の流れ(サプライチェーン)から出るCO2の排出量のことを指します。

サプライチェーン排出量はScope1、Scope2、Scope3より構成されていて、さらにScope3は15のカテゴリに分けられます。

Scope3 15のカテゴリ分類

Scope3は下記の15のカテゴリに分けることができます。

  • Category1:製造するまでの過程でともなう排出
  • Category2:自社の資本財の製造・建設にともなう排出
  • Category3:燃料の調達にともなう排出
  • Category4:報告対象年度に購入した製品・サービスのサプライヤーからの物流にともなう排出。またはその年度内の、それ以外の費用負担している物流にともなう排出
  • Category5:自社で発生した廃棄物の運搬や処理にともなう排出
  • Category6:社員の出張にともなう排出
  • Category7:社員の出勤にともなう排出
  • Category8:自社が貸借しているリース資材の操業にともなう排出(Scope1、2で算定する場合を除く)
  • Category9:自社が販売した製品の最終消費者に至るまでの物流にともなう排出(自社が費用負担していないもの)
  • Category10:事業者による中間製品の加工にともなう排出
  • Category11:消費者・事業者の製品の使用にともなう排出
  • Category12:消費者・事業者の製品の廃棄処理にともなう排出
  • Category13:自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース財産の運用にともなう排出
  • Category14:フランチャイズ加盟者における排出
  • Category15:投資の運用にともなう排出
  • そのほか(任意):社員や消費者の日常生活における排出

もっと詳しく知りたい方は、環境省によるこちらのサイトをご覧ください。

サプライチェーン 排出量算定の考え方 (env.go.jp)

Scope3の15のカテゴリ分類
画像引用:サプライチェーン 排出量算定の考え方 (env.go.jp)

サプライチェーン排出量を算出するメリット

サプライチェーン排出量を算出するメリットを2つ紹介します。

削減対象の特定が可能

製品やサービスの原料調達から廃棄までの排出量を可視化することで、削減可能な対象を特定することが可能となります。課題を明確にすることで長期的に環境負荷軽減のための取り組みをおこなうことができます。

ESG投資が狙える

サプライチェーン排出量を自社の情報開示の1つとして報告書やホームページに記載することで、ESG投資される企業を目指すことができます。ESG投資とは、環境に配慮した経営をおこなっている企業に優先的に投資をする投資手法です。近年ESG投資が重要視されてきており、このために環境活動をおこなう企業も増えています。

ESG投資について詳しく知りたい方は、こちらのリンクを参照してください。

>>ESG投資とは?企業目線で見る注目の背景と投資を受ける種類・取り組み (netzeronow.jp)

サプライチェーン排出量算定の流れ

サプライチェーン排出量算定の流れを解説します。

算定目的の設定

算定目的ごとに必要となる算定精度や算定範囲が異なってくるため、1番初めにサプライチェーン排出量の算定目的の設定をおこないます。一般的に算定精度や算定範囲は高いものが好ましいとされていますが、高くなればなるほど算定に要する労力やコストも必要となってくるため、算定目的に合った精度や範囲が求められています。

算定対象範囲の特定

算定対象の範囲は、原則として下記の表の範囲です。この表に合わせて算定する範囲を特定します。

算定対象の範囲
画像引用:サプライチェーン 排出量算定の考え方 (env.go.jp)

Scope3を15のカテゴリに分ける

算定範囲を特定したあとは、Scope3をこの章内で解説した15個のカテゴリに分類していきます。

各カテゴリの算定

算定目的が実現可能か否かを考慮しながら、算定方針の決定や情報収集、排出量の算定をおこないます。

参考:サプライチェーン 排出量算定の考え方 (env.go.jp)

まとめ|環境に配慮した組織運営を

脱炭素社会の実現に向けて企業単位でも国単位でも改革が進められています。持続可能な企業になるためには環境に配慮した企業経営が欠かせず、どの企業もいろいろな取り組みをおこない、今の環境重視の時代に合った経営の仕方を模索しています。グリーンサプライチェーンマネジメント(グリーンSCM)を通じ、経済効率と環境負荷軽減を両立した企業経営をおこなっていきましょう。

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