グレートバリアリーフ、気候変動により危険な状態
6月、世界遺産委員会は、オーストラリア北東部沿岸のグレートバリアリーフが気候変動により危機に直面しているとする報告書を発表しました。
34万8,000平方キロメートルに及ぶ色鮮やかなサンゴ礁群は、1981年に世界遺産に登録されました。しかし現在、気候変動や海水温の上昇に起因する白化現象により、その健全性が脅かされています。
この報告書は、7月に中国で開催される世界遺産委員会がこの問題を審議する際に、グレートバリアリーフを、ユネスコの定める「危機にさらされている世界遺産(危機遺産)」リストに追加するよう勧告しています。
世界遺産の気候変動による劣化には、これまで十分に目を向けられていませんでした。この勧告が実施されれば、このような世界遺産を保護するための重要な一歩になるでしょう。
オーストラリア側の意見とは?
環境省のSussan Ley大臣によると、オーストラリアはグレートバリアリーフの危機遺産への登録に反対する予定です。
Ley氏は、気候変動政策の議論は国連の気候変動枠組条約に限定すべきだと、「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」について以下のように述べました。
「私は、気候変動がサンゴ礁にとって最大の脅威であることを知っており、決してその認識から離れるつもりはありません。また、ヨーロッパ諸国を含む国々は、気候変動に対して各国がどのような政策をとるべきかについて強い意見を持っており、私もそれを理解していますが、これはそのような会話をするための条約ではありません。」
これを受けて、オーストラリア海洋保護協会の環境コンサルタント・Imogen Zethoven氏は、オーストラリアは、サンゴ礁の未来を守るために気候変動に関して十分な努力をしていないと認識しています。
今回の決定は世界遺産保護にとって重要なステップに
Zethoven氏は、グレートバリアリーフが、気候変動を理由に危機に瀕している世界遺産のリストに追加される初の事例になることについて、以下のように述べました。
「世界遺産委員会がこの決定を下すことは非常に重要なステップであり、多くの変化の可能性を開くことになるため、委員会の正式な決定を強く望んでいます。」
委員会は今週、オーストラリアが気候変動の影響に早急に対処するために、より強力で明確な約束が必要であると発表しました。
今後、美しい遺産の保護ひいては気候変動にどう対処していくのか、また他の世界遺産は今回の危機遺産登録に続くのか、注視する必要があります。
参考記事:
Australia fights UN downgrade of Great Barrier Reef health (stamfordadvocate.com)