イングランド銀行、ネットゼロ排出を目標に

bannar

イングランド銀行(BoE)は、持続可能な社会へ向けた新たな取り組みを開始しました。2050年までにネットゼロを達成するべく、物理的な業務からの排出量削減を目指すとしています。

説くことを実践する

この新たな目標は、2021年の6月3日に国際決済銀行(Bank for International Settlements)などが主催する会合「Green Swan Conference」でアンドリュー・ベイリーBoE総裁が行ったスピーチで発表されました。スピーチでは、気候変動に関してBoEが行ってきた活動と、ネットゼロ経済を推進するために今後必要となる活動の進化に焦点を当てています。ベイリーは、金融システムやマクロ経済全体の気候変動危機を理解することや、銀行が監督する金融機関に気候変動危機管理を組み込むことなど、重要な分野を強調しました。

ベイリーは、BoEの新たな公約を紹介し、「説くことを実践する」ことの重要性を強調しました。

遅くとも2050年までにネットゼロへ

ベイリーは、次のように述べています。

「私たちは、自らが規制する企業に期待するのと同じ高い基準を自らに課している。したがって、当社保有の金融資産のポートフォリオなどの金融業務、および当社の建物からの排出物や紙幣の印刷などの物理的業務についても、可能な限り気候変動危機の測定、管理および緩和におけるベストプラクティスに適合させる必要がある。遅くとも2050年までには、当行の物理的業務による排出量をネットゼロに近づけるよう削減することを、本日確認することができる。」

BoEの物理的なオペレーションに関する現在の気候目標は、2030年までに2016年比で63%の排出量削減を達成することです。BoEの2020年TCFDレポートによると、銀行の物理的オペレーションには、銀行券の製造、建物のカーボンフットプリント、出張などが含まれています。

遅くとも2050年という新たな目標について、ベイリーはこう付け加えています。

「私は『遅くとも』と強調している。そんなに時間がかかるとしたらがっかりだ。」

日本の銀行の取り組みは?

一方、日本の銀行でも、中長期的な視点において、SDGsで掲げられている諸課題への取組みを強化するべく動いています。2018年3月には、全国銀行協会におけるSDGsの推進体制およびSDGsの17目標と関連づけた取組項目を決定し、具体的な取組みを推進してきました。2021年度には、下記の8つの取組項目を掲げています。

  1. SDGs/ESGに関する会員銀行の取組み状況の把握、取組みの支援等の実施
  2. 金融経済教育の推進・拡大
  3. 決済高度化、Fintech等を通じた顧客利便性・安全性向上に資する取組み
  4. TCFD提言等、および脱炭素社会の実現等に向けた環境問題についての研究、対応
  5. 金融犯罪およびマネー・ローンダリング、FATFへの対応
  6. ジェンダー平等の推進等、人権に関する対応
  7. 地域経済の活性化、地方創生への取組み
  8. 高齢者等さまざまな利用者に対する金融アクセス・サービスの拡充等

参考文献

一般社団法人全国銀行協会「全銀協SDGsレポート2020‒2021」https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/news/news330358_2.pdf

一般社団法人全国銀行協会「全国銀行協会における2021年度のSDGsの主な取組項目について」 https://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/efforts/contribution/sdgs/initiative_2021_0.pdf

UPDATE 1-Bank of England aims for net-zero emissions before 2050
https://jp.reuters.com/article/britain-boe-emissions-idAFL5N2NL4ZM

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