フードマイレージに伴う排出量の増加にどう対処するか?

bannar

生産地から食卓まで食品を輸送する際に発生する温室効果ガスの排出量が、これまでの推定値の3倍であることが、Nature Food誌に掲載された研究で明らかになりました。また、世界人口のわずか12.5%しかいない高所得国が、いわゆるフードマイレージによる排出量の46%を占めていることが判明しました。一方、世界人口の約半分を占める低所得国では、食品輸送の排出量はわずか20%にすぎません。

目次

総排出量は果物や野菜が最大

世界の食物連鎖の全体像を把握することは難しく、これまでの研究では、特定の国や食品(例えばケチャップや牛肉)を対象としたものがほとんどでした。そのため、正確な実態把握には至っていません。そこで、今回の研究では、74カ国において、畜産・石炭・青果など37の経済セクター、および4つの輸送方法に着目し、世界のサプライチェーンネットワーク全体を網羅するモデルを開発しました。

研究では、食品の輸送だけで年間3ギガトンのCO2を排出しており、これは食品関連の全排出量の19%に相当することも明らかになりました。特に果物や野菜は、輸送する際に冷蔵保存が必要な場合が多いため、フードマイレージによる排出量が最も多くなっています。

対応策は?

フードマイレージによる排出量の増加への対応策として、特に高所得国の人々にとっては、地元産や旬のものを個別に選択することが、最善の方法の一つとなります。この研究の共同著者であるシドニー大学の栄養生態学者は「私たちは、肉は悪、野菜は善といったように、周囲の情報を単純化して解釈する傾向があります。しかし研究では、野菜など植物ベースの食事をとることよりも、地元の食材を食べることの方が、排出量を抑えるにあたっては理想的であることがわかっています」と述べました。

食料の供給は需要によって大きく左右されます。そのため、消費者の意識を変えることが重要です。特に、豊かな国の消費者は、季節外れの食品を一年中求める習慣があります。しかし、季節外れの食品を供給するためには、他の場所から輸送する必要があるのです。そのため、地球や私たちにとって健康な未来をもたらすためには、地元の旬な食材を選ぶことが必要です。季節によっては、どのような野菜や果物を選べばよいのか迷うかもしれませんが、旬でない時期には冷凍保存や缶詰を選ぶなどの選択肢もあるようです。

世界人口の増加に伴い、食品輸送の排出量問題は悪化の一途を辿っています。食料の生産と消費が気候変動を悪化させないよう、政府、企業、そして私たち国民全員が協力し合わなければなりません。

参考記事:
>>https://list23.com/922016-food-miles-account-for-a-sickening-amount-of-emissions-is-worse-than-we-thought/
>>https://www.theguardian.com/environment/2022/jun/21/climate-impact-of-food-miles-three-times-greater-than-previously-believed-study-finds

この記事をSNSでシェア
目次
閉じる