5年間で1.5℃上昇? アメリカで注意喚起
国連の気象庁が2021年5月27日に発表した報告書によると、世界の平均気温が産業革命以前の水準よりも、2026年までに少なくとも1.5℃上昇することがわかりました。
世界気象機構(WMO)は、数年の間で地球温暖化に歯止めをかけることが難しくなる可能性は現時点で40%あり、時間が経つとともにこの確率も上がっていくと警告しています。
2015年12月のパリ協定では、長期的な目標として、世界平均気温を産業革命以前と比較したときに、2℃を大きく下回り、最終的には1.5℃に抑えることを掲げています。この1.5℃という数字は、私たち人間はもちろん、地球に存在するすべての生物を守るために決められました。また、パリ協定に署名したすべての国々にとっても大きな価値のあるものとなっています。
英国気象庁のthe Global Annual to Decadel Climate Updateによると、わかっているだけでも2021年から2025年の少なくとも1年が、最も気温が高くなる可能性が高いと発表しました。
報告書は単なる統計だけでなく、重要な警告
報告書は、2025年末までに高緯度地域とアフリカのサヘル地域の湿度がより高まる可能性が高く、1980年初頭からの平均と比較すると、大西洋においてはより多くの熱帯低気圧が発生する可能性があると発表しました。
WMOのペッテリ・ターラス事務局長は次のように述べています。「これらは単なる統計ではなく、ある重要な警告の意味も含まれています。それは、気温の上昇は多くの氷が溶け、海面が上昇し、熱波やそのほかの異常気象が増え、食料安全保障、健康、環境、持続可能な開発への影響が大きくなるということです。」
一時的に1.5℃に達する可能性
4月に発表されたWMOの報告書によると、2020年(わかっているだけで最も暖かくなると予想されている3年のうちの1年)の世界平均気温は、産業革命以前の平均を1.2℃上回っていました。これは、海面上昇・氷融解・異常気象などの気候変動指数の加速、および社会経済開発への悪影響を示唆しています。
そして2021年5月の情報更新ではその傾向を裏付けており、今後5年の間で世界の平均気温は産業革命以前の数値よりも、少なくとも1℃(0.9~1.8℃の範囲内)上がる可能性があるとされています。
WMOによると、一時的にでも1.5℃に上昇してしまう可能性は昨年に比べて約2倍になったと言われています。これは、気候指標が急激に変化したのではなく、改善された気温データセットを使用して新しくベースラインを推定したためです。
2021年度、そして11月に開催される重要な気候変動交渉(COP26)が、気候変動がこれまで以上に制御不能な状態に陥るのを避けるための、一か八かのチャンスであると言われています。気候変動への取り組みは、6月11~13日にイギリスが主催するG7首脳会議の議題の上位にランクインしています。
あとがき
なにも行動せず、取り返しのつかない状態に陥る前に、個人単位でもなにか行動を起こさなければならないと強く感じました。必要なことは個人個人が危機感を持ち、小さなことから環境に配慮した行動を始めることだと思います。