ANAとJAL、2050カーボンニュートラルに向けて共同レポート策定

bannar

国内大手航空会社のANAとJALは、今月共同レポート「2050年航空輸送におけるCO2排出実質ゼロへ向けて」を策定しました。同レポートのキーワードは、主にバイオマスを用いることでCO2排出量を従来の燃料と比べ約80%削減する、「持続可能な航空燃料(SAF)」です。SAFのさらなる普及に向けて、両社はその有用性や必要量等について調査し航空業界のネットゼロ実現のために協力していくと述べています。

目次

「持続可能な航空燃料(SAF)」とは?

「持続可能な航空燃料(SAF)」は、使用済み食品油や木質バイオマス、藻類などを原料とした新しい航空燃料です。CO2排出量を大幅に削減することができるだけでなく、給油の際に既存のインフラを引き続き用いることができる点もメリットになります。

世界的な脱炭素の流れが加速する中、企業のサプライチェーン全体のCO2排出削減は必須です。航空業界のCO2削減にはSAFが不可欠であり、4月にはユナイテッド航空が顧客企業と共同でSAF購入のプログラムを開始するなど、業界の垣根を越えた動きが広がりつつあります。

日本では、ANAがSAFを用いた貨物輸送の開始を発表しました。物流・貨物大手の日本通運、近鉄エクスプレス、郵船ロジスティクスがこの取組に参加し、9月29日には成田ーフランクフルト便でSAFを使用した貨物便の運航を達成しています。今後は、物流・貨物サービスに加え、SAFを活用して出張など事業に関する航空移動によるCO2排出を削減する法人向けプログラムも開始する予定です。

しかし、現在の世界の SAF 生産量は需要の 0.03%未満に留まっており、量産と普及が急務です。2050 年カーボンニュートラルを実現させるには、航空輸送に関わる産業がボーダレスに協力して SAF の技術開発、生産および利用を促進し、2030 年までに最低でも燃料の 10%を SAF へ移行する必要があります。 

ANA・JAL両社の垣根を超えた協力で、地球温暖化に強力な対策を

今回の共同調査の過程において両社は、世界経済フォーラムのクリーン・スカイズ・フォー・トゥモロー・コアリション(Clean Skies for Tomorrow Coalitionblank)に参加し、各国の航空業界で使用される燃料に占めるSAFの割合を2030年までに10%に増加させることを目指す「2030 Ambition Statement」宣言に署名しました。

今回の共同レポートについて、両社の取締役社長は以下のようにコメントしています。

ANA・平子裕志代表取締役社長コメント:

「急速に進む気候変動への対策は待ったなしの状況であり、今、私たちの世代が行動を変える必要があります。航空輸送を取り巻く関係者の皆様とともに、産業全体でSAFの普及を着実に進めることで、青い空を子供世代へ継承していきたい。そのような思いで、この共同レポートを作成しました。」

JAL・赤坂祐二代表取締役社長コメント:

「人と人をつなぎ、国と国との橋渡しを担うエアラインの役割は将来にわたっても変わることはありません。航空の将来を持続していくためには、SAFという新たなエネルギー、そしてさまざまな知見を有する多くの人々の協力が不可欠です。協力の輪を拡げていくために、ANAとJALは手を携えながら、日本の産業界に働きかけてまいります。」

航空業界でも、企業間の垣根を超えた地球温暖化防止のための協力が進んでいます。

参考記事>>
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-10-14/R0W2KVDWRGG201

ANAとJAL、2050カーボンニュートラルに向けたSAF(持続可能な航空燃料)に関する共同レポートを策定|プレスリリース|JAL企業サイト

SAFとはいったいなに?ジェット燃料とはなにが違うのか知っておこう – ひつじとめぐる冒険 空の旅 (goaround-tech.com)

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