再生可能エネルギーは今や石炭発電よりもコストが低い?導入促進には民間企業の取組が重要

BloombergNEFの新しいレポートによると、中国、インド、ヨーロッパの主要市場で、新規の太陽光発電のコストが石炭よりも低くなっていることが分かりました。一方で、オーストラリアにおいて、自然エネルギー発電所の建設が十分に進んでいないという問題が現れています。この理由は、近年登場した造語「Sussaned」から読み取れます。

コスト低下を機に自然エネルギー導入を進めるには、政府の政策のみならず民間企業の取組が重要です。

目次

再生可能エネルギーのコスト低下、各国の状況は?

中国、インド、ヨーロッパのほとんどの地域で、既存の石炭発電所を稼働させるよりも、実用規模の発電所を建設して稼働させる方が安くなっています。
レポートによると、2010年以降、太陽光発電と陸上風力発電のグローバルベンチマークLCOEは、それぞれ87%、63%低下し、それぞれ48/MWh、41/MWhです。
中国では、上半期の太陽光発電の新規建設コストが34ドル/MWhであったのに対し、石炭は35ドル/MWh、インドでは太陽光が25ドル/MWh、石炭が26ドル/MWhでした。

また、欧州全体の炭素価格を見ると、太陽光発電のコストは、スペインで33ドル/MWh、フランスで41ドル/MWh、ドイツで50ドル/MWhと、化石燃料の70ドル/MWhよりもはるかに低いことが分かります。

オーストラリアで政府の対応が遅れているのはなぜか?

最近、環境分野において「Sussaned」という言葉が使われ始めました。
大まかな意味は、「環境問題解決のためとうそぶいて、何かを禁止するために権力を行使する」ということです。
この言葉は、オーストラリアのSussan Ley環境大臣の名前に由来しています。彼女がアジア再生可能エネルギーハブ(AREH)のプロジェクトを阻止する決定を下したことで、業界から嘲笑の声が上がったことに端を発しました。この選択は、湿地における渡り鳥を中心とした生態系への悪影響を恐れてのことです。

この措置の背景には、国内の化石燃料業界から熱心なロビー活動を受けていることや、他国へのエネルギー資源の大量輸出により国内での供給が間に合っていないことがあります。
以上の要因により、連邦政府の自然エネルギー導入に関する対策は大幅に遅れているのです。

参考記事はこちら→
世界の革新的な脱炭素政策:オーストラリア | 連載コラム | 自然エネルギー財団 (renewable-ei.org)
なぜ資源大国なのに?! オーストラリアが「世界一電気代が高い国」になる理由 (1/3ページ) – SankeiBiz(サンケイビズ)

自然エネルギー導入には民間企業の取組が重要に

たしかに連邦政府の再生可能エネルギー導入の動きは遅れていますが、明るい動向も見られます。
今期、資金調達に成功したプロジェクトの数は控えめでしたが、先行指標となる電力購入契約を締結したプロジェクトのパイプラインは2021年第1四半期に過去最高の3.7GWに達しました。このことは、2021年以降の投資が堅調に上昇することを示唆しています。
さらに、オーストラリアのクリーン・エネルギー・レギュレーターは、テルストラ、ウールワース、アルディなどの大手企業が自然エネルギーへの関心を高めており、今年末までに最大で370GWの電力購入契約が締結されると予測しています。
(電力購入契約(PPA)とは、発電事業者と顧客間の相対契約です。需要家が敷地を提供し、事業者が敷地内で発電設備の設置・運用を行うもので、主に自然エネルギー発電が対象となります。)
例えば、Australian Future Energy(AFE)社は、現在10億ドルを投じて「Gladstone Energy and Ammonia Project」と称した自然エネルギー導入プロジェクトを推進しています。このプロジェクトは、ガス化の技術を用いて、石炭をアンモニアとパイプラインガスの水素燃料に変換する計画です。

また、同社は伊藤忠商事株式会社とMoUを締結し、プロジェクト研究への投資や、グリーン水素やグリーンアンモニアなどに関するマーケティングや開発計画を共同で検討することを発表しています。
再生可能エネルギーのコストの低下が実現した今、政府のみならず民間企業も、積極的に自然エネルギーへの転換に向けて行動しなければなりません。

参考記事:
Emission Control: Renewables are now cheaper than coal, and is Sussan a dirty word? (msn.com)

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