商業用不動産業界の脱炭素化

人類は今、急速な温暖化に直面しています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した報告書によると、現在のスピードで温暖化が進めば、さらなる異常気象が発生すると警告しているほどです。

しかし、このような厳しい状況から抜け出すことは可能です。それは、2010年を基準として世界の炭素排出量を2030年までに45%削減し、最終的には2050年までに正味ゼロにすることです。このことは、二酸化炭素排出量の約40%を占める商業用不動産業界にとって、多くの困難な課題をもたらします。

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投資家や法律家からの関心の高まり

商業用不動産業界は、世界の二酸化炭素総排出量に占める割合が大きいため、その脱炭素化に向けた取り組みに大きな関心が向けられています。フィフスウォール社の共同設立者であるブレンダン・ウォレスは、「不動産業界は、これまで見えないところで気候変動の原因となっていた」と述べました。

投資家は、自らが所有し、投資する実物資産に対して、より多くの説明責任と行動を求めるようになっています。500社以上、47兆ドル以上の資産を持つ、グローバルな投資家で構成される「Climate Action 100+」は、投資先の企業に対して、脱炭素戦略への取り組みや、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に沿った気候関連リスクの開示を求めています。

さらに地域レベルでは、法律家が脱炭素化に注目しています。ニュージーランドやイギリスでは、2050年までに排出量をゼロにすることを目標とした法律が制定されているのをご存知でしょうか。アメリカでも市や州のレベルで規制があります。例えば、ニューヨークの「Climate Mobilization Act」やロサンゼルスの「New Green Deal」は、不動産業界を脱炭素化戦略の中心に据えています。

ネットゼロ戦略の構築

不動産の所有者が脱炭素化を進めるためには、サステナビリティの観点から最もパフォーマンスの低いビルを特定し、エネルギー効率と二酸化炭素排出量を長期的に改善することが不可欠です。

建物のエネルギー使用による直接排出(スコープ1)だけでなく、購入した電気、蒸気、暖房、冷房による間接排出(スコープ2)、さらには企業のサプライチェーン全体で発生する間接排出(スコープ3)を計算し、追跡しなければなりません。企業は、データの網羅性、完全性、正確性を構築するのに役立つ、技術的に優れた解決策を必要としています。

情報開示が重要

説明責任を果たすことも非常に重要です。不動産所有者は、どのような方法で報告するかにかかわらず、ESGパフォーマンスについて、信頼できるデータを入手する必要があります。イギリスやニュージーランドでは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への参加が大企業に義務付けられています。不動産所有者の中には、最初の報告で良い結果が得られないのではないかという不安から、自社の情報公開を躊躇している人もいます。しかし、ネットゼロの期限が迫る中、報告しないという選択肢はもはやありません。

とりわけ投資家は、不動産所有者が説明責任を果たし、ESGパフォーマンスの改善に取り組んでいる証拠の開示を期待しています。不動産所有者は、正確でタイムリーなデータに裏付けられた改善の証拠を毎年示すことが、全く開示しないよりもはるかに良い選択であることに気が付くことでしょう。

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>>TCFDとは?概要やメリット、賛同方法から具体的な内容まで詳しく説明(netzeronow.jp)

参考記事:https://www.cretechiotnyc.com/decarbonizing-the-commercial-real-estate-industry/

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