企業の省エネの取り組み|大企業から中小企業まで事例を紹介【省エネ活動/GAFA】

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省エネとは、地球温暖化問題の加速を止めるために現れた、エネルギーの使用をできる限り抑えようという考え方のことです。消費者や投資家の間で環境問題への意識が高まっている現在、企業にはますます省エネへの取組が求められるようになるでしょう。この記事では、大企業から中小企業までさまざまな企業の省エネの取り組みを紹介します。

目次

省エネとは

私たちは、生活のほとんど全ての場面でエネルギーを使っています。例えば、電気、ガス、水道、運輸、通信…。これらが無ければ、およそ文化的な生活を送ることはできませんよね。

しかし現在、エネルギーの過度な使用による温室効果ガスの増加によって、地球温暖化問題が加速しています。この状況を危惧し現れた、エネルギーの使用をできる限り抑えようという考え方が「省エネ」です。

省エネは、決して私たちの生活を妨げるものではありません。後ほど詳しくご説明しますが、省エネへの取組には、環境問題の解決だけでなく長期的な利益を生み出すというメリットがあるのです。

企業が省エネに取り組む背景

企業が省エネに取り組む背景

省エネに取り組む企業が増えている背景には、省エネ法の制定があります。

「省エネ」の概念が普及するきっかけとなった1973年のオイルショック。この騒動の後1979年に施行されたのが、「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」です。この省エネ法では、事業で多くのエネルギーを用いる特定企業に対して評価を行い、S、A、B、Cのクラスに分けました。Sクラスに分類された企業は経済産業省のホームページで優良事業者として公表され、Cクラスに分類された企業には指導が入ります。また、2018年の改正では、一定の要件を満たした企業への税額控除が盛り込まれました。

このような省エネ法のもとでのクラス分けや金銭的援助によって、多くの企業が省エネに取り組むようになったのです。

企業が省エネに取り組むメリット

企業の利益確保と対立するかのように思える省エネへの取組ですが、実は多くのメリットがあります。本項では、コスト削減と企業価値の向上という2つの観点から省エネに取り組むメリットを解説していきます。

コスト削減

照明の削減や再生可能エネルギーの導入は、光熱費の低下に繋がり、長い目で見ればコストを削減する効果があります。また、省エネ活動に取り組む企業のための補助金も多くあり、省エネ機器や施設の改修の費用を負担してもらえる場合があります。

企業価値の向上

イメージアップは、企業の成長戦略にとって非常に重要ですよね。COPの開催などによって消費者や投資家の環境問題への意識が高まりつつある現在、省エネへの取組のアピールは顧客の信頼を得ること、顧客に選ばれることに繋がります。省エネ活動は、単に環境問題を解決するのみならず、自社の成長や利益確保にも貢献するのです。

省エネの方法

省エネの方法には、大きく分けて自社のみで実施できるものと設備の導入など投資の必要なものの2種類があります。前者は照明の削減やこまめな消灯、空調管理の見直し、リサイクルの促進。後者は、LEDや再生可能エネルギー、電気自動車の導入などです。

さらに、まだ事例は多くありませんが、ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)の定めたISO14001の取得も効果的です。ISO14001とは、環境保護を軸に置いた経営方針に関する規格のことで、これを取得すると社会から環境に配慮した経営をおこなっている組織として認められることができます。

ある程度取組が進めば、省エネ診断を受けることも有効です。専門家の診断を受けて事業所のエネルギー利用の現状やその問題点を洗い出すことで、今後効率的に省エネを進めることができます。

また、あらゆる企業・団体が脱炭素社会を目指して参加している「COOL CHOICE」と称した国民運動をご紹介します。この取組に賛同した企業は、再生可能エネルギーの導入やテレワークの推進、マイボトルやエコカーの使用などの省エネに貢献する「賢い選択」を行うことを約束します。賛同するメリットとしては、社内での環境問題に対する意識改革や消費者へのアピールなどが考えられるでしょう。

「COOL CHOICE」には、下記の公式ホームページから簡単に賛同登録できます。
>>「COOL CHOICE」 地球温暖化対策、省エネ、エコで「賢い選択」 (env.go.jp)

上記の取組を行っても削減しきれない温室効果ガスについては、カーボンオフセットによって相殺することができます。これは、炭素吸収・削減プロジェクトに資金援助を行うことで、自らの排出した温室効果ガスを埋め合わせることができるというものです。

カーボンオフセットは、クレジットの購入によって行うことができます。クレジットは、温室効果ガスの削減量を売り買いできる形にしたものです。このクレジットの購入によって、購入者はその分の温室効果ガスを削減したとみなされるのです。

企業の省エネの取り組み事例

企業が省エネに取り組む背景とメリット、方法についてご理解いただけましたでしょうか。

それでは、次に企業が実際に行っている取組を見ていきましょう。本項では、誰もが知る国内外の大企業の事例と、国内の中小企業の事例に分けてご紹介します。

国内外の大企業の取り組み

まずは、GoogleやApple、トヨタなど世界中で大きな影響力を持つ大企業の事例について解説します。

Google

Googleは、データサーバーをはじめとしたインフラを提供してクラウド化することで、世界中の通信にかかる環境負荷を下げることに成功しました。

クラウドは、一度に多くの商品をサポートするため、効率的に消費者に製品・サービスを提供することができます。そのため、より通信にかかるエネルギーを抑えられるのです。

参考記事
>>google-apps.pdf (googleusercontent.com)

Apple

すでに炭素の排出量と削減量を同等にするカーボンニュートラルを達成しているAppleは、2030年までにネットゼロを達成することを約束しました。

同社は、エネルギー効率の良い製品デザインを心掛けています。例えば近年では、リサイクル作業ロボット「Dave」を開発しました。このロボットは、iPhone から Taptic Engine を取り出して磁石やタングステンなどの素材を効率よく回収するもので、鉄の再生に役立ちます。

参考記事
>>環境 – Apple(日本)

Meta(Facebook)

Facebookを運営するMetaは、公共交通機関の推奨や照明の見直しなどの省エネ活動に取り組みつつ、メディア企業として啓蒙活動を盛んにおこなっています。同社は近年、科学的な根拠に基づいた自然環境に関する情報を提供する、「Climate Science Information Center」を設立しました。この組織は、環境保全活動の輪を広げ、人々のネットゼロへの意識を高めることを目的としています。

世界最大のSNSであるFacebookがこのような活動に取り組むことは、地球温暖化の現実を伝え環境保全の方法を広めるのに効果的です。このような啓蒙活動も、省エネ活動の1つと考えられます。

参考記事
>>Data Centers – Meta Sustainability (fb.com)

Amazon

Amazonは、2040年までにネットゼロを達成すること、そして、2025年までにすべての事業で再生可能エネルギーの使用率を100%にすることを目標に掲げています。

同社は近年、配送に用いる車両として電気自動車の開発に取り組みました。物流業界で大きな影響力を持つAmazonの省エネ活動は、同業他社にとって環境保全に取り組むための強い刺激となるでしょう。

参考記事
>>環境への取り組み – About Amazon | Japan

Microsoft

Microsoftはスウェーデンの大手電力会社・バッテンフォール社と共同で、省エネ活動を効率化し成果の正確性を担保するために、電力消費量を可視化するシステムを開発しました。このシステムは、バッテンフォール社が風力発電や水素発電などによって発電した電気について、スマートメーターを用いてリアルタイムでその消費量を計測するものです。

同社の高い情報技術は、脱炭素社会を叶えるために必要不可欠です。Microsoftは、自社の技術を社会貢献に積極的に用いているという点で、企業としての価値の高さを示しています。

参考記事
>>インテリジェント エネルギー管理システム | Microsoft Industry

トヨタ自動車株式会社

トヨタは、「トヨタ環境チャレンジ2050」と称したネットゼロを達成するための中長期計画を発表しました。この計画には、新車のCO2排出量90%削減、グローバル工場でのCO2排出量ゼロ、リサイクル技術の世界展開が含まれます。

同社は、自動車メーカーでは世界で最も高いシェアを占める企業です。その海外での影響力の強さを活かし、さまざまな国での自然保護活動や技術支援に取り組んでいます。

参考記事
>>環境への取り組み | ESG(環境・社会・ガバナンス)に基づく取り組み | サステナビリティ | トヨタ自動車株式会社 公式企業サイト (global.toyota)

国内の中小企業の取り組み

続いて、事業規模は小さいものの、省エネへの取組について高い評価を受けている中小企業の事例を解説していきます。

株式会社エスコ

株式会社エスコは、2005年に設立された省エネ・省コスト機器導入、エネルギーコスト削減コンサルティングに関わる企業です。

同社では、自社で企画した従来品よりも照度が低く消費電力が少ないLEDを使用しています。また、コンサルティング事業では、省エネ機器導入に際してよりコストを低下させるため、省エネ補助金・助成金の提案を積極的に行っています。

参考記事
>>省エネ・コスト削減のエスコ(ESCO) | エスコ(ESCO)の豊富な実績とノウハウで、省エネ・節電・コスト削減対策をサポートいたします (esco-co.jp)

株式会社森のエネルギー研究所

株式会社森のエネルギー研究所は、再生可能エネルギーや森林、木質バイオマスなどに関するコンサルティング業務に携わる研究所です。特に、木質バイオマスについては独自のノウハウを持っています。多くの地域で地域資源の活用の観点から木質バイオマスの利用が求められている状況を背景に、経済状況や森林資源、林業技術の歴史的背景・供給能力を総合的に分析しプラント設計から人材育成プログラムまで設計しています。

参考記事
>>株式会社森のエネルギー研究所 環境ビジネス展開支援 事例紹介 |東京商工会議所 (tokyo-cci.or.jp)

株式会社勝田容器製作所

勝田容器製作所は、1946年に設立された更生ドラム缶の販売や再生加工に関わる企業です。2006年にISO14001を取得したことをきっかけに、社内の照明の見直しやボイラーのガス使用量削減等に取り組み、ドラム缶1本の洗浄に使用する電力量は2006年の4.4kWhから2013年には3.6kWhへと減少しました。

参考記事
>>株式会社勝田容器製作所|環境ビジネス展開支援 事例紹介 |東京商工会議所 (tokyo-cci.or.jp)

国土緑化株式会社

国土緑化株式会社は、1977年に設立された生花販売や造園に関わる企業です。

同社の特徴的な事業は、自社ブランド「緑のレンタル グリーンポケット」での観葉植物のレンタルです。観葉植物がどの程度CO2を吸収するのかを研究によって明らかにし、観葉植物を自宅やオフィスに配置することの省エネ効果を広めています。

参考記事
>>国土緑化株式会社 |環環境ビジネス展開支援 事例紹介 |東京商工会議所 (tokyo-cci.or.jp)

まとめ|省エネへの取組で、企業価値を高めよう

いかがでしたでしょうか。現在、企業が省エネに取り組むことは社会的責任の1つとなっています。環境問題の解決に貢献するために、そして消費者や投資家に選ばれる企業になるために、照明の削減やリサイクルの促進などできることから始めていきましょう。省エネ活動をアピールするために、ISO14001の取得や「COOL CHOICE」への賛同もおすすめです。

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