ネットゼロに取り組むヨーロッパの航空業界
2022年2月4日、ヨーロッパの航空業界のリーダーたちは、航空の将来の持続可能性と脱炭素化に関するトゥールーズ宣言に署名しました。
「トゥールーズ宣言」とは、欧州空港協会(ACI Europe)により、「航空業界では世界初の共同イニシアチブであるという点で画期的なもの」と評価され、ヨーロッパ政府、航空会社、航空協会、航空宇宙企業などが、2050年までにCO2排出量ゼロを達成することを約束するものです。2050年という期限は、欧州委員会が設定し、欧州連合理事会が採択したヨーロッパの脱炭素化期限と一致します。また、各国の代表者たちが、航空機の脱炭素化について正式に足並みを揃えたことを初めて示すものでもあります。
この宣言には、ヨーロッパの35カ国以上、146の業界関係者団体の代表が署名しており、2050年の航空業界のネットゼロ達成に向けた、新たなステップとなります。
ヨーロッパの主要な航空団体が昨年2月に航空業界の脱炭素化を目指すロードマップ「デスティネーション2050」に署名し、航空会社協会(IATA)が2021年11月に同様の誓約を採択したことを受けて、発表されました。
資金援助の体制づくりや金融の枠組み整備
航空業界は、持続可能な航空燃料(SAF)の開発、航空交通管理や航空機運航の改善を通じたCO2排出量の削減を目指すなど、代替燃料技術の飛躍的進歩に向けた取り組みをおこなっています。また、より広い航空輸送システムの脱炭素化を進めるために、ビジネスパートナーやステークホルダーと積極的に関係を結んでいます。
しかし、それだけではなく、業界のリーダーたちは、必要な投資を支援するための規制や金融の枠組みが整備されることを強く望んでいます。具体的には脱炭素化に関する研究開発への公的資金援助、脱炭素化および持続可能な航空燃料の導入へのインセンティブ、より持続可能な空港インフラや航空交通管理システムなどです。
ACI Europe のオリビエ・ヤンコベック事務局長は、次のように述べています。「この宣言に署名したすべての空港は、業界として、経済として、社会として、私たちの未来に具体的な変化をもたらすでしょう。私はその一つひとつに敬意を表し、拍手を送ります」
航空業界は今後、9月に開催される国際民間航空機関(ICAO)の総会で、脱炭素化のための世界的な目標の設定を目指すこととなるでしょう。
参考記事:https://ie.bfn.today/airbus-st_106057/news/european-airports-commit-now-to-net-zero-sn_3181468/
https://travelweekly.co.uk/news/air/aviation-leaders-join-european-governments-in-net-zero-pledge