老朽化した自動車が気候変動問題への対策を妨げている?

国連環境計画(UNEP)の持続可能な運輸部門の責任者であるRob de Jong氏は、中古車取引を規制する努力をしない限り、パリ協定の気候変動に関する目標を達成することはできないと述べています。

パリ協定の概要や成果、これまでの具体的な合意内容については下記の記事をご参照ください。
>>パリ協定 とは?脱炭素社会の実現に向けた目標と京都議定書との違い | NET ZERO NOW

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安全・排出基準を満たさない中古車取引の規制が必要

この数年、発展途上国では手頃な価格の中古車の需要が高まっていますが、一方で、先進国からは環境を汚染する旧式の自動車が輸出されるケースが増えています。しかし、輸出された中古車の多くは輸出国の安全基準や排出基準を満たしておらず、中にはエアフィルターなどの主要部品や安全機能が取り除かれているものもあります。

世界的に見て、運輸部門はエネルギー関連の温室効果ガス排出量の約4分の1を占めています。また、自動車の排出ガスは、都市の大気汚染の主な原因である微小粒子状物質や窒素酸化物の主要な発生源です。さらに専門家によると、2050年までに世界の自動車保有台数が2倍になり、その約90%が中低所得国で発生するとのことです。世界の自動車を電気自動車にして運輸部門からの排出を削減するには、中古車取引の問題に取り組む必要があるでしょう。

規制は十分でないものの、新しい基準は着実に普及しつつある

UNEPは、昨年10月に発表した報告書において、3大中古車輸出国である欧州連合、日本、米国が、2015年から2018年の間に世界で1,400万台の中古小型車を輸出したことを明らかにしました。

報告書で調査した146カ国の中古車規制政策のうち、約3分の2は「弱い」または「非常に弱い」ものです。同報告書では、中古車がよりクリーンで安全、かつ手頃な価格の交通手段への移行に貢献するために、国および地域レベルで規制を行うことを求めています。そのためには、途上国が先進技術にアクセスするための手頃な方法として、低排出ガス車や無排出ガス車の中古車を普及させることが重要です。

現在UNEPとそのパートナーは、国連交通安全基金の支援を受け、アフリカ諸国と協力して新しい基準を策定しています。

例えば西アフリカでは、昨年、西アフリカ諸国経済共同体(Economic Community of West African States)がよりクリーンな燃料と車両を導入するための包括的な規制を採択し、今年1月から施行しています。また、東アフリカでも同様の規則を導入するための取り組みが進められています。

先進国のメリット

中古車規制は、先進国にとってもメリットがあります。汚染された古い車を、輸出する代わりにリサイクルセンターに送ることで、雇用を創出し、自動車メーカーにリサイクル原料を供給する循環型システムを構築することができます。また、途上国への供給が減れば価格が上昇し、途上国が自国の生産能力を高める経済的なインセンティブとなり、最終的にはよりクリーンな輸送システムへの移行の基礎を築くことができるのです。

参考記事:Ageing cars are bogging down the battle against climate change – Modern Diplomacy

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