イギリス、約200億円の宇宙太陽光発電所の建設を検討

bannar

イギリス政府が160億ポンド(約208億円)の宇宙太陽光発電所の建設を検討していることが明らかになりました。Space Energy Initiative(SEI)と呼ばれるこのプロジェクトは、2035年までに宇宙で最初の太陽光発電所を設置することを目標としています。

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電気を地球に届ける

宇宙を利用した太陽光発電を提案したのは、イギリスが初めてではありません。2021年には中国も宇宙での太陽光発電を目指していると発表していました。

イギリス政府が考えている宇宙太陽光発電所では、軽量のソーラーパネルを搭載した人工衛星を使って発電をおこない、高周波の電波でそのエネルギーを地球に送り込みます。地球では、その電波をアンテナで電気に変換し、送電網に送ります。わかりやすく言うと、宇宙で太陽エネルギーを集め、地球に送るというシステムです。天候に左右され、日中に発電する地上の太陽光発電とは異なり、軌道上にある宇宙太陽光発電所は常に太陽に照らされているため、24時間いつでも発電することが可能となります。

2040年代半ばには宇宙太陽光発電所の発電量は30GWに達し、イギリスの電力需要の最大30%を占めることが見込まれています。

宇宙太陽光発電の課題

イギリスの宇宙太陽光発電所を実現するためには、乗り越えなければならない課題もあります。

まず、技術の安全性を確認するためのテストが必要です。中国ではこれまで熱気球を使い高度約300メートルから実験をおこないました。宇宙からの高周波のエネルギーが通信や周辺住民にどのような影響を与えるのかなど、確認しておかなければならない項目は多くあります。

また、たった1基の太陽光発電所を組み立てるにも、何度もスペースシャトルを打ち上げる必要があります。宇宙太陽光発電は長期的に見ればCO2排出量の削減に繋がりますが、スペースシャトル打ち上げに伴うCO2の排出量は大きなコストもかかります。

しかし、軽量の太陽電池モジュールや宇宙ロボットなどのテクノロジーの進歩により、技術的に実現は可能だと考えられています。2050年には世界のエネルギー需要は50%近く増加すると予想されていますが、宇宙太陽光発電が実現すれば、世界のエネルギー需要の増加に対応して地球温暖化防止に貢献する重要な鍵となるでしょう。

参考記事
>>https://interestingengineering.com/uk-launch-solar-power-station?utm_source=rss&utm_medium=article&utm_content=21042022
>>https://www.inverse.com/science/solar-power-space-uk

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