ニューヨークでの深刻な大気汚染問題
世界が家庭内におけるガスや石油について話題が上がるとき、頻繁に注目されるのはキッチンにおける利用です。ガス炉とボイラーは同じくらい深刻な問題であり、今後激しい議論に発展していく可能性があります。
議論は特に、アメリカの州で1番多く大気汚染物質を排出しているニューヨークで起こるとされています。ロッキーマウンテン研究所(以下RMI:Rockey Mountain Institute)において、建物に関係する化石燃料燃焼の影響と、その厄介さを説明しています。
RMIの研究員たちは次のようにコメントしています。
「ニューヨーク州は、住宅や商業ビルにおいてアメリカの週で1番多くの化石燃料を消費し、特ニューヨーク市内の建物がその大部分を占めていることがわかっています。ニューヨーク市は暖房や給湯用燃料の燃焼が都市の温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の総排出量のうちの約40%以上を占めています。」
こういった問題は気候への悪影響だけでなく、健康への被害も指摘されています。
大気汚染物質放出による健康被害
ガス炉やボイラーなどがガスや石油を燃焼することで、身体に悪影響を及ぼす危険な汚染物質が大気中に放出されます。具体的には、微粒子状物質(PM2.5)、窒素酸化物と硫黄酸化物(NOxとSOx)、揮発性有機化合物、およびアンモニアが含まれた物質が放出されています。これらは喘息発作や早死を引き起こす可能性があり、早期解決が強く求められています。
実際に、1年の間に1,114人の早期死亡が見つかっており、その大部分はニューヨーク市に集中していることがわかりました。しかしこれに加え、喘息の発作や体調不良による仕事や学校の欠席など、明確な数には表しきれないほどの人々が大気汚染と戦っています。
人種による影響の違い
さらに、もう1つ驚きの発見がありました。それは、環境汚染はすべての人種へ平等に影響を及ぼさない、ということです。研究によると、PM2.5による身体への影響は、有色人種は17%もリスクが上がることがわかりました。特にニューヨーク市の黒人の場合32%も上がっています。一方、白人のリスクは全体の平均より17%低くなることもわかっています。
ニューヨーク市の対策
このようなニュースが話題になっている大きな理由は、ニューヨーク市でNYPIRG(New York Public Interest Research Group)のような環境推進グループの働きかけが行われているからです。これらの団体は、ニューヨーク市内の建物を電化するために活動しています。しかしその活動は順調には進んでいません。NYPIRGは新築や修復された建物へのガスの接続を禁止するよう働きかけていますが、それらには遺産の建物や低所得者の住む賃貸物件が対象となるためです。
WE ACT for Environmental Justiceの役員は次のように言っています。
「有色人種や低所得の人たちは、気候変動による被害を特に深刻に受けています。化石燃料から再生可能エネルギーへの移行をする際には、これらのコミュニティに特に配慮をし、改革をおこなっていく必要があります。」
私たちの未来のために
日に日に気候変動は深刻化しており、そのリスクも皆平等ではありません。すべての人々が火力発電所から作られた電気を毎日利用すること、そしてリスクを考えず電気を使い続けることが、地球の未来にとって本当に良いことなのかどうか、話し合っていく必要があります。
参考記事:New York Has a Massive Building Air Pollution Problem (treehugger.com)