インド、2070年までにネットゼロを達成する目標を掲げる

bannar

長年、炭素排出量をネットゼロにするという目標設定を拒んできたインド。しかし、先月31日より英・グラスゴーで開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)において、気候変動対策についての公約を発表しました。

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再生可能エネルギーの普及にも積極的

先週グラスゴーで行われたスピーチでインドのレンドラ・モディ首相は、気候変動対策に関する公約を打ち出しました。
この公約には、10年後までにインドの電力に占める非化石燃料の割合を40%から50%に引き上げる、2030年までにインドの排出量を10億トン削減する、経済の炭素集約度を2005年比で45%以下にする、今後9年間で再生可能エネルギーの設備容量を現在の100GW付近から500GWに引き上げるなどの内容が含まれています。
首相は取材に対し、「この最終目標を達成するためには綿密な計画と実行が必要であり、インドのより多くの州が再生可能エネルギーの生産に携わる必要がある。」と述べました。そのためには、再生可能エネルギーの生産に携わる州が増え、蓄電、送電、配電などの問題を解決する必要があります。
そこで、無視できないのが資金面の問題です。インドは世界第3位の二酸化炭素排出国ではありますが、世界第2位の人口を持つ国でもあります。国際エネルギー機関(IEA)によると、1人当たりのエネルギー使用量と排出量は、世界平均の半分以下です。
モディ首相は、グリーンエネルギーへの移行を支援するため、先進国に対し、低開発国が経済を成長させながら脱炭素化できるよう1兆ドルの気候変動対策資金を融資するよう呼びかけました。

発展途上国のネットゼロ達成のために、先進国が取るべき行動とは?

これまでのところ、先進国は資金を提供するという点では未だ良い実績を残していません。
2009年に先進国は、2020年までに年間1,000億ドルの気候変動対策資金を動員することを約束しました。しかし、経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)によると、2019年にはこの約束に約200億ドルが不足しており、2020年にも目標を達成できない可能性が高いというのです。さらに複数のアナリストが、OECDの会計方法に疑問を呈しており、不足金額はもっと大きいと予測されます。
また、グリーンエネルギーへの移行は、資金面だけでなく、意図しない社会的コストを引き起こすかもしれません。新しい技術により先住民族の土地所有権に不当な影響を与える、旧来の産業に取って代わる新しい産業により雇用が不安定になる、さらに最貧困層の家庭が従来の送電網のコストを払えなくなるといった恐れがあります。
実際にモディ氏は、今回のCOPで石炭の廃止について言及しませんでした。COP26では40カ国以上が脱石炭を約束しましたが、インドはその中に入っていません。経済的にも生態学的にも、インドには石炭部門を拡大し続ける余裕はないのです。
化石燃料からの脱却は、環境保全のみならず国の公衆衛生にとっても有益なことです。国際社会は、脱石炭に向けてインドなどの発展途上国を支援する必要があるでしょう。

参考記事
>>Can India achieve net zero carbon emissions by 2070? The road is long but not impossible (cnbc.com)

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