労働時間の短縮が環境に与える好影響
労働時間の短縮とCO2排出量の削減には、関連性はあるのでしょうか。実は、週の労働日を5日から4日にすることは、気候変動対策に有効的であると専門家は言います。しかし、これは休暇の過ごし方によって左右される傾向にあります。
労働時間の短縮は、二酸化炭素排出量の削減に効果的
これまでの研究で、週5日勤務から4日勤務にすることで、労働者の生活の質は劇的に向上し、同じ量の仕事をより効率的にこなせるようになることがわかっています。しかし、労働時間の短縮が地球にとってどのようなメリットがあるのかについては、あまり議論されてきませんでした。
ワシントンポスト紙は労働時間の短縮が適切に実施されれば、CO2排出量を大幅に削減できることを示唆するデータとその分析を報じました。このデータ分析は、1970年から2007年までの期間で20カ国以上を対象に調査しています。労働時間を10%短縮すると、エコロジカルフットプリント、カーボンフットプリント、CO2の排出量がそれぞれ12.1%、14.6%、4.2%減少する可能性があることがわかりました。
ボストン大学の経済学者・社会学者であるジュリエット・ショア氏は、「長年のデータやさまざまな論文から、労働時間の短い国はCO2の排出量が少ない傾向にあり、労働時間の短縮は排出量の削減に繋がる傾向にある」と述べています。
休日をどのように過ごすべきか考える必要がある
しかし、その効果は、人々が労働以外の時間をどのように過ごすかによって左右されると専門家は強調します。温室効果ガス排出の最大の要因は運輸であり、通勤はその大部分を占めています。環境保護庁によると、2020年、運輸部門はアメリカにおける温室効果ガス総排出量の約27%を占めていました。通勤などの移動の削減がもたらす効果は、新型コロナウイルスが大流行した初期の数か月間にもっとも顕著に現れています。不要不急の外出の制限により、自動車・飛行機・工業生産からの排出量が劇的に減少しました。これにより、世界の排出量は17%減少したと言われています。
また、2021年にイギリスで行われた調査によると、労働時間を1日削った場合、1週間に6億9100万マイル以上の移動距離が減少する可能性があることが明らかになりました。このことに加え、大規模なオフィスビルや作業現場の電力に必要なエネルギーを削減し、エネルギーを節約することもできます。
しかし、省エネできるかどうかは、労働以外の時間をどのように過ごすかにかかっているとショア氏は言います。例えば、休日に職場にいる時よりも多くのエネルギーを使うような活動をした場合、エネルギー消費量は全体的に増加する可能性があります。人々の労働時間についての考え方を変えるだけではなく、労働以外の時間についての考え方も変える必要があります。
参考記事:
>>https://www.msnbc.com/opinion/msnbc-opinion/how-four-day-workweek-could-be-another-tool-against-global-n1297833
>>https://www.washingtonpost.com/climate-solutions/2022/08/08/4-day-workweek-environment/