非化石証書の購入方法は?需要家による購入方法や費用についても解説

bannar

非化石証書とは、化石燃料を使用しない電源や電力が持つ「二酸化炭素などの温室効果ガスの削減が期待できるクリーンなエネルギーである」ことの価値を表したものです。クリーンエネルギーは、電気そのものとしてだけでなく、環境面においても高い価値があります。非化石証書を購入すると、購入量に応じて自社が排出している二酸化炭素排出量と相殺されます。これまで非化石証書が購入できるのは小売電気事業者や発電事業者だけでしたが、2021年11月の制度見直しにより、一般企業などの需要家も直接非化石証書が購入できるようになりました。そこで本記事では、非化石証書の3つの購入方法に加えて、需要家による購入方法も解説します。さらに非化石証書購入に必要な費用についても言及していきます。

目次

非化石証書の3つの購入方法

非化石証書には3つの購入方法があります。本章では、それぞれの購入方法について詳しく説明していきます。

1.再エネ価値取引市場で購入

再エネ価値取引市場とは、2021年11月より新設されたオークションによる購入方法です。これまでの非化石価値取引市場は小売電気事業者のみしか参加できませんでした。しかし、再エネ価値取引市場では、電力を使用する企業(需要家)が直接、市場から再エネ由来の非化石証書(FIT証書)だけを購入することが可能になりました。

2.高度化法義務達成市場で購入

高度化法義務達成市場とは、小売電気事業者によるエネルギー供給構造高度化法の目標達成を後押しするために創設された市場です。エネルギー供給構造高度化法とは、年間の販売電力量が5億kWh以上の小売電気事業者に対し、非化石電源比率を2030年までに44%以上にすることを義務付けるものになります。小売電気事業者のみが購入可能で、市場から原子力などを由来とした非化石証書(非FIT証書)を購入することができます。

3.市場を介さない相対取引で購入

相対取引とは、小売電気事業者が電力の生産者である発電事業者から、市場を介さずに直接非化石証書を購入する方法です。非化石証書の取引だけではなく、独自サービスの提供など、さまざまな連携が行われやすいという特徴があります。また取引価格は相互の契約に基づくため、市場価格に左右されない自由度の高い取引方法です。

需要家による非化石証書の2つの購入方法

2021年11月に新設された「再エネ価値取引市場」によって、現在では需要家は2つの方法で非化石証書を購入することができます。本章では、具体的な購入方法について説明していきます。

1.需要家自身で再エネ価値取引市場に参加して購入

一つ目は、需要家自身で再エネ価値取引市場に参加して購入する方法です。前述した「再エネ価値取引市場」ができたことによって、電気を使用する需要家が直接、非化石証書(FIT証書)を購入することが可能になりました。

2.代理購入事業者を介して購入

二つ目は、代理購入事業者を介して購入する方法です。小売電気事業者など、代理購入事業者を介する場合、電気+非化石証書のセットで購入する必要があります。証書価格にプラスで手数料がかかるため、直接購入するよりも価格が高くなる傾向にあります。

非化石証書の購入にかかる費用

これまで非化石証書の購入方法について説明してきましたが、ここからは実際にかかる費用について述べていきます。

市場に参加して購入する場合

これまで非化石証書(FIT証書)の最低購入価格は1.3円/kWh(税抜)でしたが、2021年11月からは0.3円/kWh(税抜)まで引き下げられています。また、非化石価値取引に参加するためには、日本卸電力取引所(JEPX)の会員になる必要があります。非化石証書の購入にかかる費用とは別に、入会金(11万円)や年会費(2021年度は12万円)がかかるため、注意が必要です。

代理購入事業者に依頼する場合

代理購入事業者に依頼する場合、証書価格に加えて、事業者に支払う手数料が発生します。

まとめ|非化石証書の購入は自社に最適な方法を

2021年11月から、需要家がより再エネ価値にアクセスしやすいよう、制度が大きく変わってきています。価格や購入方法をよく吟味したうえで、自社にとって最適な方法で非化石証書の購入を検討してみてはいかがでしょうか。

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