CCS・CCUSとは?具体的な定義と重要視される背景・メリット
CCSとは、二酸化炭素を回収・貯留することであり、CCUSとは、その回収・貯留した二酸化炭素を有効利用することです。近年では、世界的な気候変動政策により二酸化炭素(温室効果ガス)の排出削減への取り組みが盛んになってきました。本記事では、日本の環境に関する動向も踏まえて、脱炭素社会に向けたCCSとCCUSの仕組み・メリットを紹介します。
CCSとは?
「CCS」とは「Carbon dioxide Capture and Storage」の略であり、日本語では「二酸化炭素の回収と貯留」と訳すことができます。CCSは工場や発電所から排出された二酸化炭素を回収し、地中深くに貯留するという技術です。
CCUSとは?
「CCUS」とは、「Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage」の略であり、日本語では「二酸化炭素の回収や有効利用、貯留」と訳すことができます。CCUSには、1つの例として、二酸化炭素を古い油田に注入し、回収できなかった原油を二酸化炭素の力で押し出す、という技術があります。
CCUとは?
CCSとCCUSと似た言葉に「CCU」という言葉があります。これは「Carbon dioxide Capture and Utilization」の略であり、日本語では「二酸化炭素の回収と有効利用」と訳します。これは、CCSで貯留した二酸化炭素を新たなエネルギーや商品に変換する技術です。
まとめると、
CCS:二酸化炭素を地中に埋める技術
CCU:地中に埋まった二酸化炭素を新しいものに変換する技術
CCUS:上記2つの技術を併用した技術
となります。
CCSとCCUSが重要視される背景
地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出を極限まで減らすため、世界中の国々が一丸となって排出ゼロに取り組んでいます。この章では、具体的に2つの取り組みについて解説していきます。
パリ協定による国際的な気候変動政策
1994年に発行された国際連合気候変動条約(UNFCCC)に基づき、2005年に京都議定書、2016年にはパリ協定が発行されました。京都議定書では先進国のみに削減を課していた一方、後継となるパリ協定では先進国・途上国関わらず、加盟するすべての国に削減を求めています。パリ協定には197カ国もの国による平和な合意であり、これは歴史上初めてのことでした。具体的に、パリ協定では「平均気温の上昇を産業革命以前と比べ2℃より十分に低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求していく」ということを求めています。
日本の温室効果ガスゼロ宣言
菅義偉首相は2020年10月26日におこなわれた所信表明演説にて、2050年までにカーボンニュートラルを目指し、脱炭素社会を実現していくことを宣言しました。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出削減にできるだけ努めた上で、どうしても削減できなかった分を吸収量や除去量によって実質ゼロにするという取り組みです。これは世界の脱炭素化の流れに乗った、よい傾向だと国内外で支持されています。
しかし業界によっては、二酸化炭素の排出が削減しきれないということも起こります。それは、製造業を営む企業です。製造業界は再生可能エネルギーの導入や水素エネルギーへの転換を急いでいますが、それでもどうしても削減できない二酸化炭素は、CCSでの対処が進められています。
CCS・CCUSのメリット
CCS・CCUSにはいくつかのメリットが存在します。本章では、その中の2つのメリットをご紹介します。
CO2を削減し脱炭素を実現
前の章でも触れたとおり、CCSは二酸化炭素排出を大幅に削減することが可能です。CCS付きの石炭火力発電所を例に上げると、その石炭火力発電所の出力が80万kWで約27万世帯分の電力を供給できるとした場合、年間およそ340万トンの二酸化炭素の排出を削減できます。
炭素の有効活用が可能に
CCUの活用により、炭素の有効利用が可能となります。例えば、再生可能エネルギー由来の水素と二酸化炭素を反応させることで化学原料を生み出すことができます。さらにゴミ焼却所と合わせることで、炭素の循環利用も狙えます。
詳しく知りたい方は、こちらのリンクを参照してください。
>>CCUSを活用した カーボンニュートラル社会の 実現に向けた取り組み (env.go.jp)
まとめ|CCS・CCUSは脱炭素社会実現に不可欠
地球温暖化の急速な加速に伴い、日本国内でも海外でも脱炭素社会をできるだけ早く実現しようという取り組みが進められています。CCSやCCUSはその取り組みのうちの重要な1つであり、近年注目を集めています。CCS・CCUSの取り組みに参加し、一足早くカーボンニュートラルを実現させてみませんか?