日本のエネルギー問題とは?火力発電の依存と解決の糸口を紹介【2021年最新版】

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昨今、テレビをつけてもエネルギー問題に関するニュースはあまり放送されていません。しかし、日本は元来他国にエネルギー資源を依存しておりその影響はさまざまなところで見られます。さらに、東日本大震災の2011年以降、日本は火力発電に依存し温室効果ガス増加も問題も抱えています。本記事では、そうしたエネルギー資源自給率の低さや火力発電への依存など日本特有のエネルギー問題を説明し、それらの解決策を紹介します。

目次

先進国の中でもエネルギー自給率が低い

私たちの生活には欠かせないものとなっているエネルギーですが、日本は先進国の中でもトップクラスでエネルギー自給率が低く、エネルギー問題をたくさん抱えています。この章では、6つのエネルギー問題に触れていきます。

日本の6つのエネルギー問題

貿易額変化による経済的な影響

1つ目のエネルギー問題は「貿易額変化による経済的な影響」です。日本は、貿易収支額を化石燃料の輸入額が大幅に超える、という大赤字を2014年に記録しています。当時は輸入額が25兆円であり、貿易収支はマイナス9.1兆円だったと報告されています。もしこの輸入額を半分にすれば貿易収支はプラス3.4兆円となり、国内で循環するお金が増えることで国民の生活がより良くなることが予想できます。

参考:2021年、日本におけるエネルギー問題 (energy-shift.com)

特に化石燃料に依存し電気代が増加

2つ目のエネルギー問題は「化石燃料に依存し電気代が増加すること」です。2017年時点では、化石燃料への依存度は80%以上でした。2011年の東日本大震災後では電気料金は右肩上がりになっており、2017年度は震災前と比較すると家庭向けでは約16%、産業向けでは約21%増加しています。これは、原子力発電所が止まり火力発電を増やしたためだと言われています。

海外へのエネルギー資源依存問題

3つ目のエネルギー問題は「海外のエネルギー資源への依存問題」です。環境省の公式サイトを見てみると、日本は原油の99.7%、液化天然ガスの97.5%、石炭の99.3%を海外から輸入しており、深刻な依存状態にあると言えます。さらに原油のおよそ88%を中東地域から仕入れていますが、この地域は政情が安定しておらず、不安定な輸入が続いています。

火力発電による温室効果ガス排出の問題

前の章でも触れたとおり、2011年に起きた東日本大震災のあとは、原子力発電の穴を埋めるため火力発電が急増しました。火力発電は温室効果ガスを大量に排出するため、地球温暖化をさらに加速させていきました。世界で脱炭素社会の実現が叫ばれている今、重要となるのが化石燃料への依存をやめ、二酸化炭素(温室効果ガス)の排出を削減していくことです。

再生可能エネルギーの動きもあるが国民負担

近年注目され、導入数が着々と増えているのが「再生可能エネルギー」です。再生可能エネルギーとは、温室効果ガスを排出せず、永久にエネルギー源として使用できるとされているエネルギーのことです。一般的には、太陽光やバイオマス、風力などが挙げられます。脱炭素社会の実現のため再生可能エネルギー普及は近年大幅に伸びていますが、課題も存在します。

それは、国民の金銭的負担が大きいことです。2012年に「固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)」が導入され、FITの買取費用が年々増えています。2020年度の買取費用はおよそ3.8兆円であり、その一部を賦課金として国民が負担しています。再生可能エネルギーの導入は拡大し続けているため、その分国民の負担も重くなっているのです。

画像引用:2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編) (enecho.meti.go.jp)

※固定価格買取制度(FIT)とは?

再生可能エネルギーから作られた電気を、あらかじめ決められている値段で買い取る制度のこと。

※賦課金(ふかきん)とは

何かしらの恩恵を受けるとき、その恩恵を与えてくれた相手に対して支払う金のこと。

自然災害に弱い電力供給設備

エネルギー問題として頻繁に挙げられることが「自然災害に弱い」という問題です。日本は災害大国としても知られている通り、台風や地震が多い国です。そのため耐久性に優れた電力供給設備が望まれていますが、自然災害に弱いのが現状です。2011年の東日本大震災では東京電力福島第一原子力発電所において1~4号機が水素爆発を起こし、火力発電所が稼働を停止しました。さらに2020年の台風15号では関東地方において広範囲で停電が起こり、生活に大きな支障が出ました。このように自然災害に打ち勝つような電力供給設備を用意しなければ、人々の生活はもちろんのこと、企業にも大きな支障をきたします。

エネルギー問題解決の糸口

深刻化しているエネルギー問題ですが、そこにはいくつかの解決の糸口が存在しています。本章では、その中の3つを紹介していきます。

エネルギー問題の解決策

脱炭素社会に向けた再生可能エネルギーへの移行

今世界中で議論されている大きな議題の中に「地球温暖化の加速」があります。これを抑制させるために「脱炭素社会の実現」に向けて各国が取り組んでいます。少し前まで(パリ協定以前)は、世界は低炭素社会に向けて動いていましたが、それでは不十分とされ今は脱炭素社会を目指しています。

また、脱炭素社会の実現を目指すためには、再生可能エネルギーへの移行が確実に必要になっていきます。地球温暖化の原因は温室効果ガスの大量排出によるところが大きいですが、再生可能エネルギーは温室効果ガスを排出しないため、これまでの化石燃料と比較すると大幅に排出削減が可能となります。

2030年にエネルギーミックス実現

日本政府は2015年7月におこなわれた総合資源エネルギー調査会基本政策分科会長期エネルギー需給見通し小委員会にて、2030年までにエネルギーミックスを実現することを明らかにしました。

「エネルギーミックス」とは、原子力、石油、石炭、水力、太陽熱などの、加工されない状態で供給される一時エネルギーを加工や転換して使用できる電力について、経済性・環境性・供給安定性・安全性を重視した電源構成のことを指します。

囲みに、経済性(Economy)、環境性(Environment)、供給安定性(Energy Security)、安全性(Safety)をまとめたものは、4つの頭文字を取り「3E+S」と呼びます。

2050年までのエネルギー基本計画

「エネルギー計画」とは、経済性・環境性・供給安定性・安全性の3E+Sを達成するようなエネルギー政策に関して、中長期的な基本の方針を記したものです。この基本計画は少なくとも3年に1回は見直しを行い、必要に応じて変更し、閣議決定を求めます。

第5次エネルギー基本計画では、2030年、また2050年後を意識した計画が掲げられています。

具体的には、第5次エネルギー基本計画では

  • 安全な革新を図ること
  • 資源自給率だけでなく、技術自給率やエネルギー選択の多様性を確保すること
  • 脱炭素化を目指すこと
  • コストを抑制し、日本の産業競争力の強化へつなげること

という、4つの目標を掲げています。

まとめ|エネルギー問題の解決には個人や企業の努力が必要

地球温暖化の抑制には脱炭素化が必須であり、脱炭素化には再生可能エネルギーが欠かせません。化石燃料や再生可能エネルギーのどちらにも難点がありますが、化石燃料は圧倒的に地球や環境への負担が大きいため、再生可能エネルギーへの移行が強く求められています。

またこのwebメディアを運営している、株式会社ECOLOGICAでは、グリーンプロジェクトとして国内外の自社拠点に太陽光発電由来の再エネ電源導入を企画検討されている国内企業に対し、さまざまなサービスを提供、支援をおこなっています。ECOLOGICAは、世界最大級の太陽光専門商社PROINSOグループの日本総代理店です。温室効果ガスの排出量削減手段として、再生可能エネルギーの導入(特に海外拠点の再エネ調達)を検討している、という方は、こちらからお問い合わせください。

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