排出削減貢献量とは?注目の理由と企業が報告する際の注意点を解説

bannar

排出削減貢献量とは、省エネ効果の高い製品やサービスを使用した結果として温室効果ガスの削減に貢献した量を指します。企業の温室効果ガス排出量を算定する、Scope1〜3を補う概念として注目されています。省エネへの関心が高い消費者やステークホルダー、投資家へ自社の温室効果ガス削減への取り組みをより正確に報告するためには、ぜひ理解しておきたい考えです。

本記事では、排出削減貢献量とScope1〜3との関係、排出削減貢献量が注目されている理由、企業が排出削減貢献量を報告する際に注意すべき点について詳しく解説します。

目次

排出削減貢献量とは

「排出削減貢献量」とは、本当なら排出するはずだったものを「回避」した量を指しており、具体的にはリモートワークなどが挙げられます。本来オフィスに来るはずだった従業員や顧客の、移動中に排出されるCO2を削減した量=排出削減貢献量となります。Scope1〜3までは製品の製作中やサービス使用中のCO2排出量を計算していますが、排出削減貢献量は製品やサービス使用の結果として発生するものです。

これはまだ新しい概念であり、GHGプロトコルとして定義されたものではありません。

排出削減貢献量の算出方法

実は、排出削減貢献量の算出方法には定義がありません。事業が生み出す製品やサービス、また自社の取り組みによって世の中のCO2排出量の削減に成功した値を「排出削減貢献量」としています。

例えば、再生可能エネルギー事業の場合、排出削減貢献量を求める式は次のようになります。

排出削減貢献量=

その国の電力のCO2排出量平均(原単位=CO2量÷kwh)−自社の再生可能エネルギー事業のCO2排出量(=ネットゼロ)

参考:脱炭素社会実現に向けた双日グループの対応方針 (sojitz.com)

温室効果ガスの削減貢献量が大きい製品やサービスの例

先述の通り、排出削減貢献量の数値が大きいサービスの例として挙げられるのはオンライン会議ツールです。コロナウイルスが世界中で大流行した際、会社に出勤する代わりに家からパソコンで会議に参加するzoomやgoogle meetが注目を浴びました。

当時は感染拡大防止のために使用されていましたが、出勤や退勤時のCO2削減にも繋がるとされ、導入する企業も増えています。

参考:What Is Scope 4? Reporting Avoided CO2 Emissions & More (rio.ai)

Scope1~3とは

排出削減貢献量とは若干ベクトルが異なりますが、Scope1、Scope2、Scope3も同じくCO2排出関連の数値を意味します。この章では、これら3つについて、大まかに解説していきます。詳しい説明は、各記事をご覧ください。

画像引用:You, too, can master value chain emissions (ghgprotocol.org)

Scope1の概要

「Scope1」は、企業自身が直接排出している温室効果ガス排出量のことを指します。事業者が燃料を使用したり、制作工程で出る化学反応の結果発生してしまう温室効果ガスです。これはScope2やScope3と比べると、削減の難易度が低いとされています。

Scope2の概要

「Scope2」は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出のことを指します。工場や事務所での電力エネルギーの使用、また外部から供給されたエネルギー(熱や冷却、蒸気など)がScope2に入っており、世界における温室効果ガス排出量のもっとも大きな排出源です。

Scope3の概要

「Scope3」は、Scope1、Scope2以外の間接排出を意味し、具体的には自社の活動に関する、他者の排出を指しています。事業の場面ごとに15のカテゴリーに分けられており、従業員の車や飛行機の移動、また消費者による自社の製品の使用などが入ります。

排出削減貢献量が注目されている理由

排出削減貢献量という新しい概念が注目を浴びている理由はいくつかありますが、本章では、その中の3つの理由を紹介していきます。

Scope1~3は温室効果ガスの削減量のみに着目しているため

前の章でも説明した通り、Scope1、Scope2、Scope3は削減量のみに焦点を当てているため、似ているようでまったく違うため、Scope1〜3と分けて考えると理解しやすいです。

今までは商品を作る過程や、消費者がサービスを利用してる最中に発生する温室効果ガスを削減することがもっとも重要とされ、Scope1〜3の削減に力を入れてきました。しかし「排出削減貢献量」という、商品やサービス利用の結果に焦点を当てた新たな概念が生まれ、環境配慮への意識が高い企業が先陣を切って取り組み始めています。

ステークホルダーやESG投資家への情報提供として効果的なため

排出削減貢献量は新しい概念なため、まだ自社のステークホルダーやESG投資家、またCDPやSBTなどの国際イニシアチブは「回避した削減量(=排出削減貢献量)」の情報開示・提出を求めていません。しかし、だからこそ他社との大きな差になり、アピールポイントにもなります。

参考:What Is Scope 4? Reporting Avoided CO2 Emissions & More (rio.ai)

エコな商品が売れるほど温室効果ガス排出量が増えるという矛盾への対策のため

排出削減貢献量が注目を浴びている理由の1つに、エコな商品が売れれば売れるほど温室効果ガス排出量も増えるという矛盾が解決できる、という理由があります。

例えば、ある企業が環境に優しい商品を開発し、販売したとします。いくらその商品が環境に優しいとはいえ、商品開発→制作→使用→廃棄までのサイクルの中での温室効果ガス排出量はゼロではありません。従って、その商品が売れるほど排出量も増えてしまいます。排出削減貢献量は、「排出されるはずだった温室効果ガス」を、その商品でどれだけ削減できたか、を問うため、こういった矛盾にも対応しています。

参考:Scope 4 emissions: Driving corporate climate action (dfge.de)

企業が排出削減貢献量を報告する際に注意すべき点

排出削減貢献量は、報告の仕方を間違えると、グリーンウォッシュとして避難を浴びることに繋がりかねません。そのため、自社の排出削減貢献量を報告する際には、以下の点に注意しておこなってください。

いいとこどりな報告をしない

排出削減貢献量を報告する際、いいとこどりの報告をする企業が目立ちます。その企業が本当に排出削減に貢献しているのかどうかを知るためには、すべての商品の環境へのプラスな側面とマイナスな側面の両方を考慮する必要があります。

例えば、環境に配慮した最新モデルの自動車の温室効果ガス排出量を、昔の古いモデルと比較して報告するのは無意味です。いいとこどりの報告は、グリーンウォッシュを疑われる可能性が高くなります。

前提条件について透明性を確保する

排出削減貢献量を算出する際必要となるのは、前提条件です。特に、長期間使用する製品やいろいろな使い方がある製品は、その前提条件を前もって述べ、透明性を確保することが重要です。

波及効果や消費者行動の変化を考慮する

企業は、消費者がその商品を使った際の行動、またその消費者の行動が社会にどんな影響を与えるかまで、考慮しなければなりません。消費者の行動によって、その製品の温室効果ガス排出量は大きく変化します。

参考:Explainer: avoided emissions and how not to overclaim them (eco-business.com)

まとめ|排出削減貢献量を取り入れて温室効果ガスの削減貢献量の公開を

排出削減貢献量は、Scope1、Scope2、Scope3に続く新たな概念です。グリーンウォッシュに注意しながらこの排出削減貢献量の算定に挑戦し、ほかの企業との差別化を図っていきましょう。

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