再生可能エネルギーが2021年から世界の「新しい通常」に?

bannar

再生可能エネルギーは2020年、過去20年間で類を見ないスピードで成長しました。それは今後も続く傾向であると、国際エネルギー機関(IEA)は言います。
新型コロナウイルス感染拡大による世界的な不況にもかかわらず、再生可能エネルギーの利用は、世界全体で前年比45%増加しました。また、再生可能エネルギーは昨年追加された新しい電力容量の約90%を占めています。
化石燃料は、徐々に表舞台から消えつつあるのです。

目次

世界の再生可能エネルギー普及の状況

 世界で導入された新しい再生可能エネルギーの約半分は、中国によるものです。
中国政府は今年6月、自然エネルギー発電装置製造のコスト低下により、太陽光発電および風力エネルギー部門の補助金を廃止しました。この急激な成長は、企業が補助金の廃止を受けて新しい工場の完成を急いだことに起因します。
中国は、2060年までにネットゼロを達成する目標に大幅に近づきましたが、実現のためには、中国政府は現在消費電力の約65%を生み出している石炭火力発電所を閉鎖する必要があります。

参考記事はこちら
>>中国、新規の太陽光事業や陸上風力事業の補助金廃止へ|Reuters

また、米国やベトナム、いくつかのヨーロッパ諸国でも、再生可能エネルギーの利用が大きく増加しました。
しかし、気候変動の最悪の結果をもたらすとされる1.5°Cを超える気温上昇を防ぐために、私たちは2050年までに電力の少なくとも90%を再生可能エネルギーで補う必要があります。
IEAの執行役員であるFatih Birol氏は、自身のTwitterで「政府は、太陽光、風力、その他の再生可能エネルギー、そして必要なスマートグリッドへの投資を拡大することは、世界がネットゼロの目標を達成するために不可欠です。」と発言しました。

2021年と2022年は再生可能エネルギーにとって飛躍の年

2021年と2022年は再生可能エネルギー部門にとって好景気の年です。昨年見られた急速な成長ペースは「新しい通常」として今後も維持されると見られています。
欧州では、クリーンエネルギーを推進する政策の施行や、企業が二酸化炭素削減の目標を達成するためのPower Purchase Agreement(PPA:電力購入契約)による再生可能エネルギーの購入量の増加によって、エネルギー転換が進められています。
また、米国においては、バイデン政権が2035年までに二酸化炭素を排出しないエネルギー分野への移行を目指しており、電力会社に再生可能エネルギー発電量の増加を義務付ける「クリーンエネルギー基準」の導入や2兆ドル規模のインフラ計画を発表しています。
さらに、中国では、大規模な水力発電プロジェクトの実行などにより投資の増加が見込まれます。インドでも、新型コロナウイルスの影響で延期されていた自然エネルギーの発電施設が建設段階に入り堅実な成長が見込まれますが、これはインド政府が現在進行中のパンデミックを抑えられるかどうかにかかっています。
以上のように、世界各国で、再生可能エネルギーへの投資に向けて強い追い風が吹いています。この傾向をさらに加速させるためには、企業の経営や個人の生活においてエネルギー利用の見直しが必要です。

参考記事:
Renewable Energy Boomed in 2020 (treehugger.com)

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