ステージコーチ社、カーボンニュートラル達成に向け、イギリス政府に輸送政策の見直しを求める
イギリスを拠点とする運送会社であるステージコーチ社は、2050年までにカーボンニュートラルな企業になるための新たなロードマップを発表しました。また、イギリス政府に対して、ネットゼロ達成に関連する「矛盾した輸送政策」を修正するよう求めています。
同社は既に2014年に14%の二酸化炭素削減を達成しており、2035年までに70%の削減を目指します。ステージコーチ社は、世界的なRace to Zeroキャンペーンへの参加を表明するとともに、Science Based Targets initiative (SBTi)による科学的根拠に基づく目標設定に向けた取り組みを開始しました。
また、この新戦略には、イギリスのバス車両全体をゼロエミッションにする計画も含まれています。同社は、現在使用している、標準的なバスに比べて汚染物質を95%削減したクリーンディーゼルから、電気バスや水素バスなどのゼロカーボン技術に切り替える予定です。ステージコーチ社は、過去10年間で7,000台の低炭素車両に10億ポンドを投資してきました。
根本的な行動改革と正しい選択
一方、イギリス政府に対しては、2050年までにネット・ゼロを達成するための取り組みの一環として、公共交通機関や徒歩・自転車の利用を促進することにより、「根本的な行動改革と正しい選択に報いるインセンティブ」を生み出すことを求めています。
ステージコーチ社のCEOであるマーティン・グリフィスは次のように述べています。「ネットゼロを実現するためには、根本的な行動改革と、正しい選択に報いるインセンティブが必要です。私たちは、現在の生活様式を変える必要があることを、もっと率直に伝える必要があります。」
グリフィスは、現在のイギリスの税制は「自動車優先」の考え方に基づいており、公共交通機関の利用を阻害していると指摘しています。IPPR(公共政策研究所)によると、電気自動車の普及による道路交通の脱炭素化の取り組みは、2050年までに自動車交通量を11%増加させ、自動車保有台数を28%増加させる可能性があります。しかし、28%の自動車保有台数の増加(約4,360万台に相当)に対応するために必要な資源について懸念を示しています。
公共交通機関、自転車、徒歩の利用の促進
そこで、IPPRは、公共交通機関、自転車、徒歩の利用を促進する方法で、ネットゼロ目標に沿って交通機関を脱炭素化することを求めています。さらにIPPRは、町や都市の中心部では2030年までに自動車を使わないことを目標としました。地方自治体は交通量の増加や自動車への依存を防ぐためにも、新規開発の際には少なくとも30%の樹木被覆を実現すべきだとしています。