再生可能エネルギーが普及している小さな島から、ニューハンプシャー州は何を学べるか?

ニューハンプシャー州の海岸から10マイルほど離れたところに、再生可能エネルギーに関してアメリカ本土の未来の姿を示すスナップショットになるであろう小さな島・アップルドーア島があります。この島で再生可能エネルギー部門の中心を担っているのは、ニューハンプシャー大学とコーネル大学が共同で運営するショールズ海洋研究所です。同研究所は、再生可能エネルギーの割合が高い送電網を構築するための実験場でもあり、太陽光や風力を大量に利用することによる課題と可能性が本土より何年も先に明らかになっている場所でもあります。この島の電力事情から学べることは、いったい何でしょうか。

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自己完結型システムマイクログリッドによって、再生可能エネルギーへの移行に成功

アップルドーアは本土の電力網に接続されていないため、島内で電気を自給しなければなりません。この島は、マイクログリッドと呼ばれる自己完結型のシステムで運営されており、ソーラーパネルや風力タービンで発電した電力と、実験装置の稼働、冷蔵庫の保冷、飲料水の浄化、あるいは照明の点灯など、電力の使用量のバランスを慎重に調整する必要があります。

現在、島のエネルギー需要の大部分は再生可能エネルギーで賄われていますが、以前はそうではありませんでした。2000年代半ばまで、研究所の電力はすべてディーゼル発電機でまかなわれていましたが、これはコストがかかるうえに、地球温暖化の原因となる排気ガスの発生源となっていました。しかし、2007年から2019年にかけて、ディーゼル発電機の使用を90%削減しています。さらに2021年の夏は、島のエネルギー消費の約3分の2をソーラーパネルで、11%を風力タービンで、残りの22%をディーゼルでまかなっているところです。

化石燃料から再生可能エネルギーへの移行は、今年初めにバイデン政権が発表した2050年までに排出量をゼロにする、2030年までに温室効果ガスの排出量を約50%削減するという目標に照らし合わせると、米国の他の地域でも促進すべきでしょう。

省エネの秘訣は、住民の意識にあり

再生可能エネルギーのみで住民の生活に必要な量を賄うには、膨大な量の蓄電システムを構築する必要があります。しかし、コストの面から現実的ではなく、風が吹いていない週などは化石燃料に頼る他ありません。そのため、巨大な蓄電システムを作る代わりに、島ではディーゼル発電機を使い続けることになるでしょう。

島での再生可能エネルギーの増加は、化石燃料からの脱却の一端に過ぎません。もう1つの大きな要素は省エネです。島のディーゼル燃料への依存度が下がった理由の半分は、エネルギー使用量の削減という節約努力によるものです。

島民にとって、マイクログリッドを使って仕事や生活をするということは、自分たちがエネルギーをどのように使っているかを痛感するということでもあります。自らの行動がどれほど電力消費に繋がっているはを正確に把握しているために、自然と電気を節約しなければならないという心構えが身についているのです。

アメリカ本土では、エネルギー効率の高い電化製品や電球の購入に対するリベートなどの優遇措置があり、省エネの取り組みはすでに始まっています。しかし州は、州内でのエネルギー効率化の取り組みを強化する計画については保留しているところです。

ウォスニック氏は、この分野はニューハンプシャー州において重要な改善の余地があると考え、以下のように述べています。

「ニューハンプシャー州のほとんどの人は、自分の家庭で実際に何が多くのエネルギーを消費しているのかを知れば、省エネの面でもっと多くのことができるはずです。」

参考記事:What can New Hampshire learn from a little island with a lot of renewable energy? (concordmonitor.com)

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