VCSとは?メリットやその他のクレジット制度との比較、企業事例について説明

この言葉はカーボンクレジットとセットで使われることが多く、温室効果ガス削減が謳われる近年で、ビジネスの世界では目にする人も多いことと思います。
今回はVCSの解説や導入のメリット、そしてVCS以外のクレジット制度や企業事例についてご説明していきます。

目次

VCSとは?

VCSとは、世界で最も広く使用されている、企業、団体、個人の自主的な温室効果ガス削減のプロジェクトから発行されるクレジットの認証基準のことを指します。温室効果ガスの排出削減または吸収量をクレジットとして扱うことが可能であり、クレジットともに、近年さらなる注目を浴びています。

VCSは「Verified Carbon Standard」の略称であり、2005年に国際排出量取引協会(The International Emissions Trading Association; IETA)、持続可能な開発のための世界経済人会議(The World Business Council for Sustainable Development; WBCSD)、 気候グループ(The Climate Group)の3団体によって創設されました。現在はVerraという民間の団体が管理しています。

VCS導入のメリット

VCS導入にはいくつものメリットが存在しますが、今回はそのうちの3つを紹介いたします。

VCS導入のメリット

1つ目は、世界で最も多く利用されており、信頼性がとても高いという点です。より良いガイドライン(VCS)を構築するために、実際にクレジットの認証基準であるVCSを必要としている企業や、団体の意見を積極的に取り入れており、幅広い団体、また企業に活用されています。

2つ目は、創出の方法論が多種多様であるという点です。今現在認められているものだけで、エネルギー、工業プロセス、建設、輸送、廃棄物、工業、農業、森林、草地、湿地、家畜、家畜と糞尿の11種類があります。すなわち、さまざまな点からVCSにアプローチでき、クレジットを購入することができます。

そして3つ目は、2つ目で挙げた11種の方法論以外にもVCSの運営団体に提案できるという点です。この点を利用し、いろいろな視点からのクレジット活用が可能となります。

VCSとそのほかのクレジット制度

前述のとおり、VCSはクレジットの認証基準、またガイドラインとして用いられますが、そのほかのクレジット制度にはどのようなものがあるのでしょうか。表を参考にしながら見ていきましょう。

クレジット種類の大まかな区分

様々な種類のクレジットの分類

クレジット制度には、国が主体となっているものと、民間が主体になっているものの、2つの種類があります。
国が主導しているクレジットの3つは国や地域の規制に基づいて施行されているため、コンプライアンス市場や規制市場と呼ばれています。コンプライアンス市場とは、京都議定書やEU-ETSなどの、法的拘束力のある制度のもとで扱われるクレジット市場のことを指しています。
一方、NGOや民間の団体が主導しているボランタリークレジットはこの記事の主題であるVCSも含んでおり、企業や団体の自主的なクレジット活用が求められます。

「京都議定書」について詳しく知りたい方は、こちらのリンクを参照してください。

>>京都議定書とは?意義と目標、達成状況、パリ協定との違い (netzeronow.jp)

ボランタリークレジットのメリット

ボランタリークレジットを使用する上で、メリットとなる点を2つ紹介します。
1つ目は、民間セクターが主導なため、政策的制約が生じない点です。表に例として書かれている京都メカニズムクレジットやJ-クレジット制度、二国間クレジット制度は国、または政府が主導しているため拘束力が強く、自由が効かない場面も出てくる可能性があります。しかしVCSやGold Standardなどのボランタリークレジットは民間セクターが主導のもと活用されているため、法的拘束力がありません。
2つ目は、方法論が多様な点です。これは「VCS導入のメリット」の章でも話したとおり、今あるだけでも11種類の方法論が存在し、これから先も増えていくことが予想されます。また、温室効果ガスの排出削減だけでなく、プラスチックの削減もクレジットとして扱うことができるという点も魅力の1つとして挙げられます。

VCS導入企業の事例

では実際に、どのような企業がボランタリークレジットの1つであるVCSを導入し、活用しているのかを紹介します。

国際航空におけるカーボン・オフセット(CORSIA)の例

国連専門機関である国際民間航空機関(ICAO)では、CO2削減のために2つの具体的なグローバルな目標を掲げました。1つは燃費効率を毎年2%改善させること、そしてもう1つはCO2の総排出量を2020年以降増加させないことです。これらを達成させるために市場メカニズム手法として、カーボン・オフセットスキーム「Carbon Offsetting and Reduction Scheme for International Aviation (CORSIA)」を2021年より発足させました。具体的には、燃費を良くするためエンジンを水洗いをしたり、飛行機の総重量をできるだけ軽くしたりと、CO2削減のために小さなことからひとつひとつ行っています。
なお、この取り組みもVCSの認証の1つとして用いられています。

VCSの今後へ期待

ここまでVCSを中心に、クレジット制度についても触れてきました。ボランタリークレジットの市場は年々拡大しており、VCSにもますます注目が集まっています。環境問題が頻繁に目に留まる現代だからこそ、こういった、環境を守るための取り組みが増えてきているのではないでしょうか。このような制度に積極的に参加し、より環境に配慮した社会づくりを進めていくことができたら良いのではないか、と考えます。

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