VPP (バーチャルパワープラント)とは?わかりやすく仕組みとメリットを解説!

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VPP(バーチャルパワープラント)とは、さまざまな場所に存在する小規模な設備や機器を統合・制御し、あたかも1つの発電所のように機能させる仕組みです。本記事では、VPP (バーチャルパワープラント)とは何か、その仕組みとメリットをわかりやすく解説していきます。

目次

VPP(バーチャルパワープラント)とは

VPPの正式名称は「仮想発電所:バーチャルパワープラント(VPP)」です。「バーチャル」は仮想の、実際上の、といった意味を持ちますね。その通りVPPは、実際の発電所を持たないが、小さい発電設備を集めて管理し発電所のような働きを持たせるという仕組みを表します。

これまで、電力供給システムは需要に合わせて供給されるのみでした。しかし、東日本大震災で電力供給が需要に追いつかない事態が起こったことをきっかけに、「電力の需要と供給のバランス」を重視する考え方が登場します。

この考え方をもとに現れたVPPは、さまざまな場所に存在する小規模な設備や機器(DER)を統合・制御し、あたかも1つの発電所のように機能させる仕組みです。DERには、太陽光発電や風力発電、蓄電池、電気自動車などが挙げられます。VPPが「仮想」発電所と称される所以は、発電施設を持たず複数の設備を統合することで、大きな発電設備と同様の働きを可能にする点にあるのです。

VPP(バーチャルパワープラント)の仕組み

VPPでは、アグリゲーションコーディネーターやリソースアグリゲーターを用いて多数のDERを制御しています。まずは、図1をご覧ください。

引用:図1バーチャルパワープラント(VPP)とは?仕組みや求められる背景を解説 – Technology Geeks(株式会社ダイヘン) (daihen.co.jp)

リソースアグリゲーターがそれぞれDERを管理して、アグリゲーションコーディネーターがさらにリソースアグリゲーターを管理するという構図です。アグリゲーションコーディネーターは、リソースアグリゲーターに対して、発電量を制御する命令である「デマンドレスポンス」を出します。

VPPの仕組みのおおまかなイメージはつかめましたでしょうか。それでは、これより「アグリゲーター」と「デマンドレスポンス」について詳しく説明していきます。

アグリゲーター

「集約する」を意味する「aggregate」を語源に持つアグリゲーター。VPPにおいて司令塔の役割を果たします。アグリゲーターには、「リソースアグリゲーター」と「アグリゲーションコーディネーター」の2種類があり、それぞれ異なる働きをします。

リソースアグリゲーター

需要家と直接VPPの契約を結び、DERの制御を行う事業者です。アグリゲーションコーディネーターの指示(デマンドレスポンス)を受け、電力の使用量を管理します。

アグリゲーションコーディネーター

リソースアグリゲーターが統合・制御した電力量をまとめて送配電業者や電気小売業者と取引を行う事業者です。送配電業者は、電力供給が逼迫しないように電気を供給するネットワークを管理します。

場合によっては、リソースアグリゲーターとアグリゲーションコーディネーターを1つの事業者が担当することもあります。

デマンドレスポンス

デマンドレスポンス(DR)とは、電力の供給量に合わせて需要家側に働きかけ、需要量を調整することを指します。例えば、電力供給が追いつかない場合に空調や照明を調整して消費を抑える、反対に需要が少ない場合には蓄電池を充電する、といったイメージです。VPPに参加しDRに応じた需要家は、需要抑制可能な容量や実際に削減した電力量に従って報酬を受け取ることができるため、需要家にもメリットがあります。

VPPが推進される3つの背景

VPPが推進されるようになった背景には何があるのでしょうか。本項では、3つの観点から詳しくご説明します。

電力システム改革による自由競争化

まず、電力システムの改革により、小売および発電の自由競争がおこなわれるようになったことが挙げられます。

東日本大震災で、大規模発電施設の停止に伴う電力供給不足や計画停電による強制的な需要抑制といった、現行の電力システムの課題が明らかになりました。この課題を受け政府は、再生可能エネルギーなどの小規模な電源を分散させることが重要であると判断し、2013年4月に「電力システムに関する改革方針」を閣議決定しました。これにより、小売および発電の全面自由化が承認され、VPPの普及が加速を始めたのです。

再生可能エネルギー設備の普及

技術の進歩により再生可能エネルギーの導入コストが低下すると、企業や一般家庭で太陽光発電や蓄電池、電気自動車などの普及が進みました。これにより需要家側も、大規模な発電施設に依存せず電気の供給者にまわるようになります。つまり、再生可能エネルギーの普及がVPP拡大の土台を作ったのです。

テクノロジーの発展

「IoT」という言葉を皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。「Internet of Things」の略で、身の回りのさまざまなモノをインターネットに繋ぎ、相互に管理する仕組みです。この仕組みが、多数の発電設備・電源を制御するVPPの実現を可能にしました。

このように、VPP実施のためには、多種多様な需要家側の設備を遠隔から監視し制御するシステムやIoTを活用した通信技術、情報を集約し最適化するAI技術などが不可欠です。

VPP(バーチャルパワープラント)の目的

VPPの主な目的は、太陽光発電や電気自動車といったエネルギー資源をインターネットに繋ぎ、管理できる状態にすることです。この働きによって、不安定な自然エネルギーの発電量を一定化することができます。

また、VPPは電力網の安定化に貢献するだけではありません。再生可能エネルギーを市場で取引するための条件を整えることも目的の1つです。それぞれの小規模発電所では一般的に、電力供給量の調整や電力取引所での取引はできません。これは、発電量の変動が激しすぎるか、単に市場の最低入札価格を満たさないためです。しかしVPPは、複数の小規模発電所の電力を集約することで、大規模な中央発電所や産業用消費者と同じサービスを提供し、その後市場での取引までおこなうのです。

VPP(バーチャルパワープラント)のメリット

VPPには、実際にどのようなメリットがあるのでしょうか。本項では、3項目に分けて詳しくご説明します。

VPPのメリット

電力の需給バランスを安定化

VPPの最も大きいメリットは、小規模な発電設備をIT技術によって連動させているため細かな調整がしやすく、電力の需要と供給のバランスを安定化できる点です。

電気は、基本的に発電したらその場で用いなければならず、貯めることができません。そうなると火力発電所などの大規模な発電設備では、災害などで電力需要が急増した場合やその発電所に不具合が起こった場合に、電力供給が間に合わず需要に対応できなくなります。ここでVPPを用いれば、緊急時などで需要が急増しても別の場所の発電所から安定して電力を提供できるため供給が逼迫せずに済みます。

コスト削減/電力需要の負荷標準化

VPPは、さまざまな場所にある電源を繋げて1つの大きな発電所のように機能させるものです。その性質上、大規模な発電施設を設けるよりもコストは低くなります。

また、VPPは「電力需要の負荷標準化」にも貢献します。これは、季節や時間帯で変化する電力需要を一定に調節することです。従来は、需要が大きくなるタイミングで電力を供給できるよう管理するという方法でこの標準化をおこなっていました。しかしこれでは、需要が少ないときも設備を維持しなければならないため余計なコストがかかってしまいます。しかしVPPを用いることで、先ほど説明したデマンドレスポンスの働きによって供給量を細かく調節することができ、より効率的に電力需要の負荷標準化をおこなうことができます。

再生可能エネルギーの導入拡大

太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーは、温室効果ガスを排出しないものの発電量が気候に左右され安定しないという問題を抱えています。しかし、VPPを用いて小規模な再生可能エネルギー発電施設をまとめ、1つの大きな発電所のような形にすることで、需要があるときにその分だけ供給するという仕組みが可能になるのです。

再生可能エネルギーの課題が解決に向かったことで、太陽光発電や風力発電の導入がますます促進されるでしょう。

まとめ|VPPは拡大傾向に!再エネ導入を

VPPは、現在主に欧米で普及が進んでいる段階ですが、今後日本でも拡大していくと考えられます。しかし、さらに普及を促進するには、DERとなるような太陽光発電や電気自動車、蓄電池といった電源の導入が必要です。

地球温暖化問題への意識が高まり、またVPPの登場によって再生可能エネルギーの問題点が改善された今、太陽光発電などの再エネ設備を導入するには良いタイミングでしょう。VPPに参加するために、再生可能エネルギーの導入を検討されてはどうでしょうか。

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