ロールスロイスが温室効果ガスの排出量削減に取り組む
航空機や船舶、産業用ガスタービンの製造を行うロールス・ロイスが、2050年までにネットゼロを達成するための新たな目標を発表しました。同時に、事業における脱炭素化を2030年までに可能にするための新技術を開発するという目標も明確にしました。これらの目標は国連によるRace to zeroと呼ばれる国際キャンペーンに沿ったものです。
ロールス・ロイスの排出量削減は厳しい道のり
ロールス・ロイスが手掛ける事業は、脱炭素化が難しい上、需要の高さから事業自体から撤退することも困難です。そのため、持続可能なエネルギー源の開発に伴って現在の仕組みを変えていく必要があるでしょう。
直近の目標は?
2050年までの大きな目標の他に、2023年までの目標も設定しています。
- 現在生産している商用航空機のエンジンの種類をSAFと呼ばれる地球環境に配慮した航空燃料を使用できるものにする。
- 現在生産している防衛航空機のエンジンにSAFが使用できることを証明する。
- 持続可能な燃料を使った新世代となるシリーズ2000とシリーズ4000エンジンを承認する。
- 2MWの水素燃料電池を運用中のマイクログリッドの実証実験に組み込んで、遠隔地でも再生可能エネルギーが使われるようにする。
長期的には、スコープ1と2で表される事業における温室効果ガス排出量をゼロにすることが目指されています。
スコープとは、GHGプロトコルが採用している、排出量に対する考え方です。スコープ1とは、事業者自らによる温室効果ガスの直接排出のことです。スコープ2とは、他社から供給されたエネルギーの使用に伴う間接排出のことです。スコープ3とは、スコープ1、2以外の間接排出です。スコープ1と2と3を合わせると、事業活動に関係するあらゆる排出量の合計、すなわちサプライチェーン排出量となるのです。GHGプロトコルは、直接排出のみならず、事業の間接排出も重視しています。そのため、このような基準を採用しているのです。
全体の10%を完全なSAFを使用できるようにするというRace to zeroで設定された目標に合わせるため、SAFの導入を進めるため、2023年までテストを行い、全ての民間航空機用のエンジンを完全なSAFを使用できるように生産するようです。
テクノロジーこそ地球温暖化を解決する最善策
ロールス・ロイスのCEOであるウォーレン・イーストは、今回掲げられた厳しい目標についてこう語ります。
「ロールス・ロイスは、テクノロジーによって未来がよりよく変わっていくと信じています。私たちは、今の社会において重要な役割を果たしている動力を生産していますが、異常気象に立ち向かうためには、その動力をネットゼロとする必要があるでしょう。これは社会のためにすべきことですが、同時にロールス・ロイスが技術的に飛躍し、新たな市場を見つけるチャンスでもあるのです。」
参考記事:https://www.esgtoday.com/rolls-royce-tackles-hard-to-abate-emissions-with-net-zero-portfolio/