環境問題に取り組む企業の事例10選|大企業から中小企業まで【CSR/サステナビリティ】

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企業の環境保全への取り組み

温室効果ガスによる地球温暖化をはじめとして、環境問題は喫緊の課題となっています。CSRやサステナビリティを動機とした企業の環境問題に対する取り組みは、環境保全に貢献するだけでなく、企業価値を高めるものでもあります。この記事では、環境問題に対する企業の取り組み事例(環境活動)について、有名大手企業から中小企業の事例まで紹介します。

CSRとサステナビリティ

本章では、「CSR」と「サステナビリティ」それぞれの特徴と違いについて説明していきます。

CSR

CSR(Corporate Social Responsibility)とは、企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任を意味します。すなわち、企業は利益の追求だけではなく、従業員や消費者などのあらゆるステークホルダー(利害関係者)からの要求に対して適切な意思決定を行う必要があることを指しています。食品の産地偽装や消費期限の偽装など、企業による不祥事が繰り返し発生していることにより、企業の活動に対して厳しい目が向けられるようになりました。そのような事情からCSRは急速に重要視されています。

サステナビリティ

サステナビリティとは、広く環境・社会・経済の3つの観点からこの世の中を持続可能にしていくという考え方を意味します。目先の利益を追求するのではなく、自然環境や社会システムの維持など、物事の長期的な影響を考えた活動を目指します。すなわち、より環境が再生し続けられるようなシステムを使って事業を行う、というのがサステナビリティの考え方です。1987年に「環境と開発に関する世界委員会」が「Sustainable Development」(持続可能な開発)という理念を謳った報告書を発表したことで、広く認知されるようになりました。

CSRとサステナビリティの違い

CSRは企業の社会的責任についての考え方であるのに対し、サステナビリティは世の中全体を持続可能な状態にしていく考え方です。具体的には、CSRは経済活動の結果起こる法律違反や環境破壊などの危険性に対して責任を負うべきという考え方ですが、サステナビリティは企業が存続していくうえで、長期的な視野にたって持続的に課題を解決するべきという考え方です。近年では、CSRとサステナビリティともに関心が高まってきているため、両者の違いをしっかりと認識することが大切です。

環境問題に企業が取り組むメリット

環境問題に企業が取り組むことで、実際に企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。本章では、具体的に5つのメリットについて説明します。

環境問題に企業が取り組むメリット

企業価値の向上

環境対策を行っている企業は事業以外でも、投資家や消費者から高く評価されます。自社が営む事業が環境に負荷を与えている場合は特に、責任をもって対処する姿勢を見せることで、企業のイメージアップに繋がります。

従業員の意識向上

所属する企業が社会に貢献していることで、従業員にとっても企業の評価は上がります。活動内容に共感している従業員は、自社で働くことに誇りを持ち、満足度の向上にも繋がります。また、活動を通じて社員同士の交流も生まれるため、組織が活性化するというメリットもあります。

メディアへの露出の機会が増える

環境対策をアピールし広報活動を行うことで、テレビや新聞、雑誌、インターネットなど様々なメディアで取り上げられる機会を得られます。CMは費用がかかりますが、メディアに露出する機会が増えれば、費用を抑えてより多くの人に企業を知ってもらえるようになります。

ビジネスチャンスの創出

環境問題に取り組むことで、さまざまな業界と接点を持てるようになります。新しい業界と接点を持つことで、新たなビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

持続的な資源の確保

環境に負荷を与える事業を続けていると、将来的に事業に必要な資源が調達できなくなるリスクがあります。企業は利益を追求しなければなりませんが、一方で利益だけを追求していては持続的な経営は難しくなります。利害関係のある消費者や自治体などからの信頼が得られなくなり、社会から必要とされる企業でいられなくなるからです。環境問題に取り組むことで、持続的に資源を確保しやすくなり、経営も維持することができます。

環境問題に取り組む企業の事例10選

昨今の環境問題の深刻化に伴い、環境問題に取り組む企業は急速に増加しています。本章では、10社の企業の取り組み事例を紹介します。

株式会社ユニクロ

衣類は流行に左右されやすいことから、ブームが去った後は不要になってしまいます。そこで、株式会社ユニクロでは、不要になった同社の衣料品を店舗で回収し、国連などを通じて世界各地の難民キャンプや被災地へリユース品として届けています。

この「全商品リサイクル活動」は、2021年8月時点で4,619万点を寄贈しました。もしリサイクルを行わずに廃棄処分となれば、二酸化炭素排出量を増やす可能性があり、さらに原材料となる資源の無駄遣いにもなります。難民キャンプや被災地へ、廃棄予定だった衣類を提供することによって、お互いに得がある環境保護活動が実現するのです。

参考記事
>>THE POWER OF CLOTHING|ユニクロ
>>ユニクロとSDGs|ユニクロ

キッコーマン株式会社

日本の食品業界ではじめてISO14001の認証を取得したキッコーマングループでは、すべての工場や事業所で、CO2排出量を削減するための活動を進めています。

例えば、各部門の使用電力を「再生可能エネルギー由来」に切り替えました。工場の屋根には太陽光パネルを設置し、太陽光から作り出したクリーンな電力を生産活動に利用しています。また、蒸気を作るために各工場で使用している重油ボイラーを、CO2排出量がより少ないガスボイラーに切り替えたり、物流体系を見直すことで空車での運行を減らしたりするなど、幅広い取り組みを行っています。

ISO14001について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

参考記事
>>地球温暖化防止|キッコーマン

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車株式会社では、1960年代から継続して環境への取り組みを行っています。トヨタの地球環境に対する2050年までの長期的な取り組みを「トヨタ環境チャレンジ2050」として、COP21でパリ協定が合意された2015年に策定されました。既にトヨタでは、再生可能エネルギーの導入を本格化し、導入率11%を実現しています。2050年までにライフサイクル全体でのCO2排出量ゼロ、新車における平均CO2排出量の90%削減(2010年度比)、工場でのCO2排出量ゼロの達成を目指しています。

参考記事
>>環境への取り組み|TOYOTA

富士通株式会社

富士通株式会社でも、環境問題に貢献するべく、さまざまな活動を行っています。プラスチックごみによる汚染が深刻な対馬で富士通社員による海岸清掃の実施や、全国の小中学校を対象とした環境教育出前授業など、多岐にわたる社会貢献活動を行っています。

また、2017年8月には、温室効果ガスの削減目標が、科学的根拠のある水準として「SBT(Science Based Targets)」に認定されました。さらに2018年7月には、グローバルな規模で再生可能エネルギーの普及を目指す「RE100」に、日本初のゴールドメンバーとして加盟しています。

SBTとRE100について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。

参考記事
>>日本での活動|富士通

株式会社リコー

株式会社リコーでは、「事業とSDGsを同軸化し、製品やサービスの提供が即ち社会課題解決になる」という考え方のもと、さまざまな取り組みを行っています。具体的には、環境性能の高いリコーの複合機を販売することで、実際にどれぐらいCO2排出量を削減できるのかを算出し、販売台数目標をSDGs貢献目標に置き換えています。

また、複合機の販売台数に応じて東南アジアにマングローブの植林を行うといった活動も行っています。マングローブはCO2吸収量が高く、さまざまな生物の生息域となるため、マングローブで育まれる自然の恵みは地域社会の糧になります。2020年2〜3月で計1万本もの植林を行いました。

参考記事
>>特集「事業とSDGsを同軸化し、お客様と共に取り組む」ーリコージャパンのサステナビリティ|RICOH

森永製菓株式会社

森永製菓株式会社では、企業活動を通じて持続可能な循環型社会の形成を推進しています。例えば、工場部門のボイラーをすべて都市ガス燃料仕様へ変更し、営業車には低排出ガス車を導入しました。

また、2030年までにCO2排出量を30%削減、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指しています。具体的には、CO2排出量の見える化や、同業他社との共同輸配送による輸配送車両の削減などを行っています。

参考記事
>>気候問題への対応ー森永製菓グループのサステナビリティ|森永製菓株式会社

株式会社ニトリ

株式会社ニトリでは、ペットボトルが原料のリサイクル繊維を使用したオリジナルランドセルの開発や個別包装の廃止、廃木材・廃プラスチックを活用した商品開発、梱包材における発泡スチロールの不使用など、さまざまな環境保全活動を行っています。

また、店舗の省エネ化も行っており、LEDやヒートポンプ型空調設備、電気自動車充電設備の導入や、再利用可能な梱包資材の使用などの取り組みも行っています。

参考記事
>>環境保全活動|会社情報|ニトリ公式企業サイト

株式会社 協和日本ホールディングス

鞄を製造・販売する協和日本ホールディングスでは、母子家庭や大規模災害が起こった被災地にランドセルやスーツケースを寄贈する活動を行っています。2020年度には448個のランドセルを寄贈し、2021年3月時点でのランドセルの総支援数は、15,351個にも及びます。

それだけではなく、同社の工場で開催される被災地物産展の売上を出展元に還元したり、チャリティーフリーマーケットの売上を全国肢体不自由児者父母の会連合会に寄付したりするなどの社会貢献活動も行っています。

参考記事
>>ランドセル寄付支援|ふわりぃランドセル公式オンラインショップ

株式会社バイタル

長崎県にある株式会社バイタルは、介護施設の運営や介護サービスの提供、福祉用具のレンタルや販売を行っている企業です。同社は、銀行がサービスを提供している「CSR私募債」を利用して社会貢献活動を行っています。
CSR私募債とは、社債の発行額に応じて、銀行が、その手数料の一部を教育機関や公共機関などの団体に寄贈できる仕組みです。その仕組みを利用して、株式会社バイタルでは、2018年に車椅子バスケットチームである「長崎サンライズ」にバスケットボール用具一式を寄贈しました。
中小企業が社会貢献活動を行う際の参考にしてみてはいかがでしょうか。

参考記事
>>中小企業が取り組むCSR活動(社会的責任)の実例の紹介とメリットとは?|エフ・ステージ

日本ヒーター株式会社

日本ヒーター株式会社は、産業用電気ヒーターや電気加熱装置などを製造・販売している企業です。
事務所内にある蛍光灯に紐を取り付けることで、使用していないエリアは社員がこまめに消灯したり、ブラインドよりも高い断熱効果のあるカーテンを用いることで、空調を効率的に使用したりするなど、さまざまな環境配慮の工夫を行っています。

さらに、社員の環境意識向上のための工夫も行っています。例えば、電気料金の削減に全社を挙げて取り組んだ際には、削減できた金額の半分を社員に還元しました。そして、削減がある程度のレベルにまで到達した後は、環境省による「エコアクション」プログラムに取り組み、体系的な活動に高めました。
日本ヒーター株式会社の環境問題への取り組みには、他の企業でも応用しやすい工夫が多くみられます。

参考記事
>>日本ヒーター|企業の社会的責任実践事例集

まとめ|環境問題に取り組むことで、環境保全への貢献と企業価値の向上を

今回は、企業の環境問題への取り組み事例を紹介しました。
事例を見ていただければわかるように、環境問題への取り組みといっても、さまざまな形があります。これを機に、自社でも実践可能な取り組みを検討してみてはいかがでしょうか。

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