チャレンジ・ゼロ宣言とは?推進するメリットと取り組み企業を紹介
チャレンジ・ゼロ宣言とは、パリ協定で定められた「脱炭素社会」の実現に向けて、企業や団体(組織)が取り組むイノベーションを対外的に公表していくイニシアチブを意味します。チャレンジ・ゼロに参加することで、環境に配慮した企業であることを公にできるだけでなくESG投資を受ける際のアピールにもなります。本記事では、チャレンジ・ゼロ宣言の語句とメリット、取り組み企業を解説し、最後にチャレンジ・ゼロ宣言に似た代表的な取り組みを紹介します。
チャレンジ・ゼロとは
「チャレンジ・ゼロ」とは、一般社団法人日本経済団体連合会(以下経団連)と日本政府とが連携してできたイニシアチブです。パリ協定で強調されている「脱炭素社会」の実現に向けて、企業や団体の取り組みを国内外へ発信したり、活動支援をおこなっています。
また、チャレンジ・ゼロは「チャレンジネット」と「ゼロカーボンイノベーション」が合体してできた言葉です。
参加企業は経団連の「チャレンジ・ゼロ」宣言へと賛同し、各企業ごとに具体的な取り組みを公表しています。
参考:チャレンジ・ゼロとは (challenge-zero.jp)
チャレンジ・ゼロ宣言とは
「チャレンジ・ゼロ」宣言とは、脱炭素社会の実現に向けて積極的にイノベーションに挑戦していくことを日本経済界として宣言したものです。PCDAサイクルを回しながらCO2排出削減やそのほかの気候変動問題に注力していくことをアピールしています。
公式ページでは、具体的なアクションとして次の3つを掲げています。
[A] ネット・ゼロエミッション技術等の開発
[B] ネット・ゼロエミッション技術等の普及・実装
[C] 上記[A]や[B]に取り組む企業等に対するファイナンス
引用:「チャレンジ・ゼロ」宣言 (challenge-zero.jp)
参考:「チャレンジ・ゼロ」宣言 (challenge-zero.jp)
チャレンジ・ゼロを推進する3つのメリット
チャレンジ・ゼロを推進することには、企業にとってさまざまなメリットが存在します。本章では、3つのメリットを紹介していきます。
脱炭素社会に貢献
チャレンジ・ゼロは脱炭素社会の実現を目標としているため、この取り組みが広まるほど、脱炭素社会に貢献する企業が増えることとなります。企業の環境への取り組みの「当たり前」をより高水準にすることで、脱炭素社会の実現を早く達成することができます。
参考:グリーン電力証書とは?J-クレジットや非化石証書との違い・メリットと購入方法 (netzeronow.jp)
企業ブランディング・価値の向上
企業が脱炭素に積極的に取り組むことは、消費者や社会、ステークホルダーから、より良い評価を受けることに繋がります。また、環境活動を展開させる上で新規事業を開発すると、新しい市場を獲得することもでき、企業価値の向上を手助けしてくれます。
参考:再エネ100宣言 RE Actionとは?中小企業版RE100のメリットと取り組み事例を紹介 (netzeronow.jp)
ESG投資に向けたアピール
近年、環境活動に積極的に取り組む企業に優先的に投資をおこなう「ESG投資」が広まっています。環境に配慮した経営をおこなう企業は、持続性や発展性があるとされ、重宝されています。
チャレンジ・ゼロ宣言の取り組み企業
本章では、企業によるチャレンジ・ゼロ宣言の具体的な取り組みを紹介していきます。
九州電力
九州電力では、低コスト・高クオリティな大型車向けの大容量充放電器を開発・検証し、日本における車のCO2排出量削減を目指しています。日本の総CO2排出量の中で運輸部門は2割ほどを占め、その9割ほどが大型車からの排出です。
今回開発する大容量充放電器は充電時間の短さや事業所の電力ピークカット、そして深夜電力活用などが見込めます。
詳しくは、こちらを参照してください。
>>大型車向け大容量充放電器の開発 (challenge-zero.jp)
大和ハウス
大和ハウスでは、2016年に環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」を策定し、エネルギー・生物多様性保全・廃棄物削減・汚染防止の4つのテーマに沿って環境活動に取り組んでいます。このビジョンは、2030年までに達成したいこと(脱炭素化や環境保全活動など)を、数字を用いて明確に設定しています。
詳しくは、こちらを参照してください。
>>環境長期ビジョン – サステナビリティ (daiwahouse.co.jp)
日本道路
日本道路は、「アスファルト舗装材料の化石燃料を使用しない低温混合技術」をテーマとし、研究や開発を進めています。開発の実現には製造プラントの開発やアスファルトバインダーの開発など、さまざまな技術が必要であり、開発・実験を繰り返しおこなっています。
詳しくは、こちらを参照してください。
>>アスファルト舗装材料の化石燃料を使用しない低温混合技術 (challenge-zero.jp)
チャレンジ・ゼロ宣言以外の代表的な取り組み
チャレンジ・ゼロ宣言以外の、代表的な環境イニシアチブについて紹介していきます。
RE100
「RE100」は「Renewable Energy 100%」の略で、2050年までに事業運営に必要な電力をすべて再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブです。加盟している企業は、年に1度、その目標に向けた具体的な活動報告書の提出が求められています。
影響力のある企業であることや公約など、11の参加基準が設けられているため、信頼性の高いイニシアチブとなっています。
再エネ100宣言 RE Action
「再エネ100宣言 RE Action」は、上で説明した「RE100」の中小企業版です。RE100は参加条件が厳しく、大企業のみしか入ることができないため、再エネ100宣言 RE Actionには事業規模の小さな企業や団体でも参加が可能です。
SBT
「SBT」は、パリ協定で強調された「産業革命以前と比べ、世界の平均気温の上昇を2℃より十分低く抑える」ことを達成するための目標設定を推進するイニシアチブです。
「Science Based Targets」の頭文字を取った言葉であり、言葉通り科学的根拠を用いた目標設定をすることが求められています。参加企業はGHGプロトコルに基づき、5〜15年先の削減目標を事務局に提出しています。
CDP
CDPは「Carbon Disclosure Project」の略ですが、「CDP」の頭文字3文字が正式名称とされています。
積極的に環境経営に取り組んでいる企業に優先的に投資をおこなう、ESG投資という投資手法が世界中で広まっていますが、そんな投資家たちが企業に対して情報開示を求め運営しているのがCDPです。温室効果ガス排出量はもちろん、環境問題や気候変動問題への取り組みに関する情報開示を求めたイニシアチブとなっています。
まとめ|チャレンジゼロ宣言で企業価値向上を
昔は、環境問題は企業にとって「取り組めば評価される課題」でしたが、気候変動が国際的な問題とされている今、環境問題は「取り組まなければいけない重要課題」に変化してきています。
地球を大切にするためにも、自社の企業価値を上げるためにも、ぜひチャレンジ・ゼロ宣言に参加しましょう。