アジェンダ21とは?持続可能な開発のための目標と行動計画を解説

bannar

1960年代以後、国連を中心とした国際社会は、開発が地球の生態系と人間の福祉に影響を及ぼしていることに対して警告を続けてきました。この記事では「アジェンダ21」を中心として持続可能な開発のための行動計画について解説します。

目次

アジェンダ21とは

「アジェンダ21」とは、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミット(国連環境開発会議)にて採択された政策の1つです。アジェンダ21の「アジェンダ」は「計画」という意味をもっており、「21世紀に向けての行動計画」という意味が込められています。具体的には、同じタイミングで採択された「環境と開発に関するリオ宣言」の内容を実行に移すことが目的とされています。

アジェンダ21の採択に至る背景

アジェンダ21採択の背景

国際連合が創設された1945年から数十年の間は、世界は環境問題をそれほど重要視していませんでした。そんな中、ようやく「開発における環境問題」が議題に上がったのは、国連創設から27年後のストックホルムでおこなわれた「国連人間環境会議」でした。この会議後、加盟国の政府は国連環境計画(United Nations Environment Programme : UNEP)を設立しています。UNEPは国際連合総会の補助機関として今も活動しています。

1973年にはスーダン・サヘル事務所(United Nations Sudano-Sahelian Office : UNSO)が西スーダンの砂漠化を止めるために発足されました。現在は乾燥地帯研究センター(Dryland Development Center)となり、西スーダンだけでなく、世界中の乾燥地帯を対象として活動しています。それから23年後には国連砂漠化防止条約が発効され、砂漠問題は大きく進展しています。

1980年代には有害廃棄物やオゾン層関連の交渉が加盟国間で頻繁におこなわれはじめ、世界中で環境問題に取り組むようになりました。

1983年に国連総会によって開設された元「世界環境研究委員会:World Commision on Environment and Development」によって、環境問題と同時に経済的福祉も考えていく、新たな考え方が生まれました。

このように、アジェンダ21が採択された1992年の地球サミットがおこなわれる以前から、世界は急速に環境問題に取り組むようになっていました。この地球サミットはかつてないほど大規模でおこなわれ、世界中が危機感を抱いていることが明らかになりました。

参考:持続可能な開発 (unic.or.jp)

アジェンダ21の目標と行動計画

アジェンダ21は、「森林破壊や砂漠化、有害物質の管理などのさまざまな問題に対して行動を起こし、持続可能な社会へと変化させていくこと」が目標とされています。行動に伴う資金や運用方法については課題として残されているものの、社会・経済・開発などの側面から見た持続可能な社会への移行が全40章からなる文書で記されています。

アジェンダ21以前の政策では、十分な成果が得られなかったため、アジェンダ21では具体的に以下の2つが重視されています。

研究者だけでなく、加盟国の国民への理解も深めること

各国にそれぞれのアジェンダ21を策定することが求められたため、各国政府は国民参加型の「ナショナルアジェンダ21」を作り、国連に提出しました。日本では再度国民の意見を聞き、最終的に1993年の地球環境保全に関する関係閣僚会議において「アジェンダ21行動計画」が策定されました。地方自治体では「ローカルアジェンダ21」が作られ、国全体で持続可能な社会への移行に向けて働きかけています。

※ローカルアジェンダ21とは

「ローカルアジェンダ21(LA21)」とは、地方自治体や一般市民、企業などの各団体が、「持続可能な社会の実現を目指す」という共通認識を持ちながら進んでいくための行動計画のことです。

各国内での実施状況を提出・改善していくこと

1993年に「持続可能な開発委員会(CSD : Commission on Sustanable development)」が国連経済社会理事会の下部組織として設立され、各国から寄せられたアジェンダ21の実施状況について検討しています。

アジェンダ21の原文へは、こちらのリンクからアクセスできます。

>>AGENDA 21 (sustainabledevelopment.un.org)

アジェンダ21の構造については、こちらのリンクを参照してください。

>>アジェンダ21(行動計画)の構造 (env.go.jp)

アジェンダ21以降の動向

環境問題への大きな進展とされている「アジェンダ21」。本章では、アジェンダ21が採択されたあとの世界の動向について解説していきます。

アジェンダ21以降の動向

ミレニアム開発目標(MDGs)

「ミレニアム開発目標(MDGs:Millennium Development Goals)」とは、開発分野に特に焦点を当てた世界共通の目標のことを指します。2001年9月にニューヨークでおこなわれた国連ミレニアム・サミットにて定められた「国連ミレニアム宣言」が元になっています。2015年までに達成すべき8つの目標を掲げ、各国が達成に向けた努力をおこないました。この後継となるものが「2030アジェンダ」です。

目標は以下の8つです。

  • 極度の貧困と飢餓の撲滅
  • 初等教育の完全普及の達成
  • ジェンダー平等推進と女性の地位向上
  • 乳幼児死亡率の削減
  • 助産婦の健康の改善
  • HIV/エイズ、マラリア、その他疫病の蔓延の防止
  • 環境の持続可能性確保
  • 開発のためのグローバルなパートナーシップの確保

参考:ミレニアム開発目標(MDGs) (mofa.go.jp)

2030アジェンダ

ミレニアム開発目標の後継である「2030アジェンダ」の正式名称は「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」と言います。2015年に国連本部で開催された国連持続可能な開発サミットにおいて、全会一致で採択されました。ミレニアム開発目標で達成することができなかった問題やSDGs達成が目的となっています。

ポスト2015開発アジェンダ

「ポスト2015開発アジェンダ」とは、ミレニアム開発目標(MDGs)のが対象としていた2015年までの目標を達成したあとの、2015年以降の開発目標のことを指しています。この目標を達成するための行動計画が「2030アジェンダ」です。

リオ+20

「リオ+20」とは2012年6月12日にブラジルのリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議」を指しています。1992年に同じリオデジャネイロで開催された地球環境開発会議(地球サミット)のちょうど20年後に開かれた会議のため、「リオ+20」と呼ばれています。この会議では、環境保全と経済成長を同時並行することを目指す「グリーン経済」に焦点が当たっていました。

まとめ|世界各国が一丸となって環境問題に取り組む

アジェンダ21を中心に、世界における持続可能な社会に向けた取り組みを紹介しました。ひとりひとりが国際社会を構成する一員としての自覚を持ち、政府だけでなく企業や国民も同じ意識を共有する必要があります。この先何百年と環境を保持できるように、今から環境を意識した行動をとっていきましょう。

この記事をSNSでシェア
目次
閉じる