太陽光発電の発電量はどれくらい?計算方法や影響を与える要素も紹介
太陽光発電の発電量がどれくらいになるか、気になっている方は多いのではないでしょうか。売電価格に大きく影響を与えるため、設置前に検討しておくことは重要です。そこで本記事では、太陽光発電の発電量と計算方法を紹介します。また、発電量に影響を与える要素や成果に繋がるポイントについても分かりやすく解説します。
太陽光発電の発電量はどれくらい?
太陽光発電の発電量は設置場所や時間、天候などで左右されますが、平均的には1kWhあたり1,000〜1,200kWhです。
環境省の発表によると1世帯あたりの年間電力消費量は4,322kWhのため、4〜5kWhほどの太陽光パネルを設置すると、理論上は年間使用電力分を太陽光パネルでまかなえることになります。
しかし、晴天の場合と雨天の場合では発電量が異なります。
晴天の場合は1kWhあたり2.5〜3.5kWhの電気を発電することができ、雨天の場合は0.2kWh〜0.5kWh、くもりの場合は1kWh前後の発電量です。
また、太陽光発電は日中の日が出ている時にしか発電できないため、昼間の余剰電力は売電、また夜間は電力会社から購入した電力を使用することになります。
参考:家庭でのエネルギー消費量について (env.go.jp)
太陽光発電の発電量の計算方法
太陽光発電の発電量を求める計算方式はありますが、少し複雑になるため、手軽に知りたい方はメーカーのシミュレーションサイトをご利用ください。
独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構(以下NEDO)が発行している太陽光発電導入ガイドブックでは、太陽光発電の発電量を求める計算式は、以下の通りであると記されています。
「年間予想発電量(kWh/年)= 接地面の1日あたりの年平均日射量(kWh/㎡/日)× 損失係数 × システム容量(kW)× 365 ÷ 1(標準状態における日射強度 kW/㎡)」
もう少しシンプルにすると、
「年間発電量=日射量 × 損失係数 × システム容量 × 365」
という形になります。それぞれの言葉は、
- 日射量:特定の地点においての太陽の放射エネルギー(過去の観測データをもとに算出)
- 損失係数:エネルギーを電気に変換する過程で起きるロス。この数値はその場所の環境によっても変化しますが、平均すると73%ほどの値になります。
- システム容量:発電設備の最大出力。太陽光パネルの、理論値の合計を指します。
この3つの中でも、特に「日射量」は地域によって大きく変動するため、発電量を正しく求めるために、慎重に算出しなければいけません。
また、年間の売電収入額が算出できる計算式は以下の通りです。
「収益=年間発電量 × 買取価格 − 運用費用」
しかし所得税や固定資産税などの税金が引かれる場合があるため、実際の収入額はこの値よりも少なくなります。
参考:日射量から発電量を算出!太陽光発電のセルフシミュレーション方法 (sma-ene.jp)
太陽光発電の発電量に影響を与える要素
太陽光発電の発電量に影響を与える可能性が高いものを紹介していきます。
日照時間
季節によっても異なりますが、発電量は日照時間によっても左右されます。日本においては山間地域や日本海側は日照時間が短い傾向にありますが、逆に暑すぎる地域では発電効率が下がる場合があります。
日本海側の雪が降る地域向けに作られた太陽光パネルもあるため、多少の雪でも問題はありません。
季節
太陽光パネルを使って発電する際、日照時間が伸びていく3月下旬から梅雨に入るまでの期間の、4月〜5月が1番発電量が多いとされています。6月は梅雨の時期となり雨が多いため発電量が下がり、7、8月も暑すぎるため、4月〜5月が1年のうちでもっとも効率的に発電をおこなうことができるとされています。
さらに、曇りの日の発電効率は、晴天の日に比べ20〜30%ほど低下し、雨天の日は10%まで下がると言われています。
参考:太陽光発電所の豆知識!太陽光が最大限に活躍する季節はいつか!? (solar-manager.jp)
参考:太陽光発電と天気の関係 (universal-zero.com)
パネルの枚数
太陽光パネルは多ければ多いほど、発電量は増えていきます。しかしパネルの枚数を増やすためには設置面積や設置金額も増やさなければいけません。
また、定期点検も必要となるため、計画的に設置しましょう。
設置の方角や角度
太陽光発電で最適に発電できる方角は「南向き」です。これは家庭用太陽光発電と法人用太陽光発電の両方とも、太陽が真南にある昼12時が1日の内の最大の日射量になるため、南向きがもっとも効率的に発電することができます。
日射量が少ない地域でも、太陽光の入射角を調整することで発電量を増やすことができます。一般的に日本では傾斜30度(南向きに設置する場合)が適切だと言われていますが、地域や季節によっても異なるため、事前の調査が必要となります。
太陽光発電の発電量を低下させる原因
太陽光発電の発電量を低下させる、4つの要因について解説していきます。
経年劣化
太陽光パネルは、長期間雨や風にさらされているため、寿命は永久ではありません。一般的に20〜30年使い続けられると言われていますが、年が経つごとにわずかに変換効率が下がっていきます。
しかし、メーカーによっては保証もたくさん用意されているため、経年劣化や故障などで著しく発電効率が下がってしまっても、心配することはありません。
パネルの汚れ
太陽光パネルの一部に鳥のふんや、何らかのごみなどが付着してしまった場合、その部分だけ正常に発電ができないため、全体の発電量が落ちてしまう可能性があります。そのため、定期的なメンテナンスをおこなっているメーカーもあるため、契約前に下調べを確実におこなっていきましょう。
25度以上の気温
太陽光パネルは暑過ぎる気温(25℃以上)だと発電効率が下がってしまいます。そのため、気温が高い7、8月や沖縄地方などは注意してください。
周辺環境
太陽光発電をおこなうにあたって、影は1番の敵と言えます。季節ごとの影は日影図を用いて予測することが可能ですが、周辺の建物建設状況は予測するのが難しいです。周りに高いアパートやマンションなどが建設され、発電効率が下がってしまうこともリスクとして覚えておきましょう。
まとめ|太陽光発電を設置する際には発電量の計算を
太陽光発電はうまく利用すれば自社の電気代を大きく軽減し、災害時の業務継続やESG投資などへのアピールも可能になります。発電量の計算方法や発電に影響を与える事柄をしっかり認識し、自社のビジネスに生かしていきましょう。
※ESG投資とは
「ESG投資」とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の3つに配慮している企業に、優先的に投資をおこなう投資手法を指しています。企業の業績や財務状況だけでなく、その企業の持続性や発展の見込みも加味しているため、世界中で注目されています。