PPAに補助金が使える?PPA基礎知識と令和4年補助金最新情報
PPAとは、企業などの施設所有者(需要家)と電力事業者が結ぶ電力販売契約を指します。電力事業者が需要家の敷地内や屋根に太陽光発電設備を無償で設置し、管理するシステムのため、需要家は初期費用やメンテナンス費用をかけずに太陽光発電が導入できるとして注目を浴びています。本記事では、PPAのメリット・デメリットなどの基礎知識のほか、PPA導入の際に利用できる補助金の令和4年最新情報を紹介していきます。
PPAとは
「PPA」とはPower Purchase Agreementの頭文字を取った言葉であり、日本語では電力販売契約と訳します。
初期費用0円で太陽光発電設備が設置でき、電気料金やCO2排出量の大幅削減につながるため、一般家庭だけでなく、企業から注目を浴びています。
企業や自治体の屋根や土地を事業者が借り、そこで発電した電気を企業や自治体が消費することでCO2排出量だけでなく、電気料金も削減することができます。
参考:PPAモデル | 再生可能エネルギー導入方法 (ondankataisaku.env.go.jp)
PPAのメリット
PPAモデルには何点ものメリットがありますが、本記事では代表的な4つを紹介していきます。
初期費用・メンテナンス費ゼロ
PPAモデルでは太陽光発電設備の設置に必要な設計費や工事費、部材費、また運用費などはPPA業者が負担するため、初期費用やメンテナンス費がかからない場合がほとんどです。しかし、まれにメンテナンス費を必要とする業者もあるため、契約内容をよく確認してから契約しましょう。
電気料金の削減
自社の屋根や屋上で発電した電気をそのまま消費するため、電線網などの発電設備以外の電力設備の使用料がゼロになります。前述の通りメンテナンス費がかからないため、余分な支払いもありません。
企業ブランディング効果
環境に配慮した経営をおこなっている企業は、それだけで他社や投資家、消費者へのアピールポイントとなります。地球温暖化が進む社会において、PPAによる再エネ電力を導入し、CO2排出量の削減につなげることでESG投資などの投資を受けやすくなる可能性があります。
※ESG投資とは
「ESG投資」とは、環境(Environment)、Social(社会)、Government(企業統治)の3つに特に配慮して経営をしている企業に、優先的に投資をおこなう投資手法です。
契約満了時に設備譲渡
PPAモデルは契約期間を満了した際には需要者に設備を譲渡するのが一般的となります。保証期間は業者によって異なりますが、メーカー保証付きの設備を譲渡してもらうことも可能です。
PPAのデメリット
メリットが大きいPPAモデルですが、デメリットも存在します。本章では、PPAのデメリットを紹介していきます。
長期契約が基本
PPAモデルは基本的に長期契約となり、企業や自治体は設置された太陽光発電システムから発電された電力を契約期間中、購入する契約になるため慎重な検討が必要になりますが、契約期間中の途中解約や、設備の移設など、不測の事態に備えて、様々なオプションが用意されているケースもあるため、契約時には事前にPPA業者に確認しておきましょう。
譲渡後のメンテナンス
契約期間中のメンテナンスはPPA事業者がおこないますが、契約期間終了後のメンテナンスは自己負担となります。太陽光発電システムのメンテナンス頻度はそれほど高くありませんが、契約期間終了後の計画もきちんと立てることが重要です。
自社所有型より経済効果は小さい
自社所有型に比べると、PPAモデルではPPA業者に電気の使用料を支払う必要があるため、長期的な視点から見ると経済効果は小さくなります。PPA業者によっても契約内容や費用が異なるため、慎重な判断が必要となります。
PPAの補助金は?令和4年最新情報
行政や企業はもちろん、各都道府県もPPAに対する補助金のプログラムが用意されています。本章では、その中のいくつかを紹介していきます。
PPA活用などによる地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
PPAを活用することによる地域の再エネ主力化やレジリエンスの強化促進の具体的な事業について解説していきます。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備などの価格低減促進事業
一般財団法人環境イノベーション情報機構は、ストレージパリティを達成させるため、太陽光発電設備などをより低価格で需要者に提供することができるような事業の公募をおこないました。
詳しくはこちらを参照してください。
>>【公募のお知らせ】令和3年度補正・令和4年度 ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業(二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金) (eic.or.jp)
※ストレージパリティとは
「ストレージパリティ」とは、蓄電池を導入する前と後で比較した際、導入後の方が経済的にメリットがある、という状況のことを指します。
新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
環境省は、地域との共生を前提としながら、太陽光発電などの再生可能エネルギー導入をさまざまな場所や用途で導入すること、またその価格の低減を促進しています。
詳しくはこちらを参照してください。
>>【令和4年度補助金】太陽光発電導入で活用できる補助金 (enemanex.jp)
都道府県独自の補助金
行政や企業だけではなく、各都道府県も太陽光発電(再生可能エネルギー)の促進を図っています。
東京都|地産地消型再エネ増強プロジェクト事業
東京都では、「2050年までにCO2排出量を実質ゼロに」という目標に貢献する「ゼロエミッション東京」の実現のため、令和2年度から「地産地消型再エネ増強プロジェクト事業」を開始しました。これは、民間事業者が地産地消型の再生可能エネルギー発電の設備、そして熱利用設備の導入を希望した際に助成をおこなうといったプロジェクトです。
詳しくはこちらを参照してください。
>>地産地消型再エネ増強プロジェクト (metro.tokyo.lg.jp)
神奈川県|自家消費型太陽光発電等導入費補助金
神奈川県は、事業者に向けて、太陽光発電や水力発電などの再生可能エネルギー発電設備や当該設備を合わせて導入する蓄電池にかかる経費の一部を負担しています。
詳しくはこちらを参照してください。
>>令和4年度神奈川県自家消費型太陽光発電等導入費補助金 (pref.kanagawa.jp)
宮城県|第三者所有モデル太陽光発電導入支援事業費補助金
宮城県では、法人が自家消費型太陽光発電設備(第三者所有モデル)を導入する際、その時にかかる費用の一部を負担するプロジェクトをおこなっています。いくつかの条件が設けられているため、事前にしっかり確認することが必要です。
詳しくはこちら
>>【公募終了】令和4年度第三者所有モデル太陽光発電導入支援事業費補助金について (pref.miyagi.jp)
滋賀県|PPA等普及促進事業補助金
滋賀県では、中小企業などの需要家が滋賀県内で自家消費型太陽光発電を導入する際に補助をおこなう制度を令和4年度から新たに実施しています。設備が自立運転機能を有していることや発電主力5kWh以上であること、蓄電池の総蓄電容量が3kWh以上であること、などの要件が定められています。
詳しくはこちら
>>令和4年度滋賀県PPA等普及促進事業補助金 (pref.shiga.lg.jp)
まとめ|PPAの導入には補助金を活用しよう
世界中で化石燃料から再生可能エネルギーへのシフトがおこなわれているため、太陽光発電を新たに始める企業や自治体、家庭も増えてきました。メリットやデメリットも十分に考えつつ、補助金を利用し、お得に太陽光発電を始めていきましょう。