温室効果ガスとは|地球温暖化の原因となるその仕組みを解説【二酸化炭素との違い】

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地球温暖化の原因となる温室効果ガス。二酸化炭素に温室効果があることはよく知られていますが、その他にも温室効果を持つガスが存在します。この記事では温室効果ガスの種類や温暖化との関係について解説します。

目次

温室効果ガスとは

温室効果ガスは、地球温暖化問題の原因である大気を温める効果(温室効果)を持つガスです。二酸化炭素が最も知られていますが、他にもメタンや一酸化炭素などのガスが含まれます。この項では、それぞれのガスの比率や排出される場面、温室効果の強度について説明します。

温室効果ガスの種類・各ガスの割合

温室効果ガスは、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)、六フッ化硫黄(SF6)、三フッ化窒素(NF3)の7種類に分けられます。以下、それぞれのガスの特徴や排出量における割合について解説します。

温室効果ガスの種類

1.二酸化炭素

温室効果ガスの大部分を占めるのが二酸化炭素です。石油や石炭などの化石燃料を燃やすときのみならず、木や紙、プラスチックなどを燃やすときにも発生します。18世紀の産業革命を機に化石燃料が大量に消費されるようになり、二酸化炭素の排出量は急激に増加しました。

2.メタン

天然ガスの主成分として、主に都市ガスに使用されています。大気を温める効果は二酸化炭素の21倍です。

廃棄物や水田、また牛や羊、山羊などのゲップなどによって排出されます。

3.一酸化炭素

燃料の燃焼や工業における製造過程で排出されます。大気を温める効果は二酸化炭素の310倍です。

4.フロン・代替フロン・その他の温室効果ガス

フロンは冷蔵庫やエアコンの冷媒、発泡剤などに使用されていますが、オゾン層破壊の原因であることが判明してから平成9年から生産禁止となりました。代わって登場したのが代替フロン類です。

大気を温める効果は二酸化炭素の数百~数万倍です。

各温室効果ガスの割合

日本における温室効果ガス排出量の割合(2019年度)
4-2 日本における温室効果ガス別排出量(2019年度) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センターより引用

1.二酸化炭素

比率:76.0%(化石燃料由来:65.0%・森林減少由来:11.0%)

過去20年間の二酸化炭素排出量の4分の3以上が、化石燃料の燃焼によるもので、残りは森林破壊による吸収量減少が原因です。

2.メタン

比率:16.0%

3.一酸化炭素

比率:6.2%

4.フロン・代替フロン・その他の温室効果ガス

比率:2.0%

>>データで見る温室効果ガス排出量(世界) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

エネルギー転換の取組が実を結び、全種の温室効果ガスにおいて大幅な減少を達成しています。温室効果ガス全体の排出量の推移や世界の状況については、本記事の後半でご説明します。

地球温暖化と温室効果ガス

地球温暖化とは、温室効果ガス(主に二酸化炭素:CO2)が大気中に大量に放出され、地球全体の気温が上昇している現状のことを指します。メカニズムは以下の通りです。

地球温暖化の仕組み
1-1 温室効果ガスと地球温暖化メカニズム | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センターより引用

地球温暖化のメカニズム

  1. 太陽の光が地球の表面に届き、地表を暖めます。
  2. 暖められた地面から熱が紫外線となって再び宇宙に放出されます。
  3. しかしその一部が地球の周りを取り囲んでいる温室効果ガスに吸収されます。
  4. 温室効果ガスが必要以上に増えると、溜まった熱(紫外線)が放出されにくくなり、地球に熱がこもった状態(=地球温暖化)になります。

上記の通り、温室効果ガスの排出が地球温暖化の原因です。しかし、全く不要というわけではありません。実際には、温室効果ガスが全くないと平均気温はマイナス18℃となり、生命が存在できない空間となってしまうのです。温室効果ガスが大気中に程よく存在することで、生物が1番過ごしやすい気温が保たれています。

ところが近年、産業の発展や森林の開拓などの人間による諸活動により大気中に適切な量を超えた温室効果ガスが放出され、地球温暖化が進んでいます。

温室効果ガス増加の原因

いったいなぜ、地球の温度を上げるほどの温室効果ガスが排出されているのでしょうか。

主な原因は、産業革命によるライフスタイルの変化と森林減少です。

18世紀の産業革命により急速に工業化が進行すると、エネルギー産出のために化石燃料の使用が活発化しました。上述の通り、温室効果ガスは石油や石炭、天然ガスといった化石燃料の燃焼によって放出されます。自動車や暖房などの工業製品が私たちの生活を支えるようになったことで、温室効果ガスの排出量が劇的に増加したのです。

従来は、先に技術発展が進んだ日本や欧米諸国などの先進国での排出が問題視されてきました。それに対して近年は、経済発展の著しい中国やインド、東南アジア諸国など新興国での排出に注意の目が向けられています。

さらに、電力消費によっても温室効果ガスは排出されます。電力使用によってではなく発電過程で排出され、特に火力発電による排出は深刻です。風力発電や水力発電など、自然エネルギー発電への移行を進めなければなりません。

工業化の賜物である自動車や暖房は、今や私たちの生活に欠かせません。しかし、それらの工業製品が地球温暖化の大きな原因になってしまっていることを忘れてはいけないのです。

自動車やエアコン、冷蔵庫の使用を一切止めることは難しいかもしれませんが、それらの原動力を自然エネルギーやエネルギー効率の良いものに替えることは可能でしょう。家電やオフィス設備の見直しは、温室効果ガスの排出量削減に非常に効果的です。

また、排出量の増加のみならず、吸収量の減少も原因の1つです。農地の拡大などを目的として大規模な森林伐採が行われると、森林からの二酸化炭素吸収量が減少し温室効果ガス増加に繋がります。

たしかに過度な伐採は地球温暖化の原因になりますが、放置しても災害リスク増加や生態系崩壊の恐れがあります。自然との共生に向けて、適切な森林利用・管理を模索する必要があるでしょう。

温室効果ガス削減のための取り組み

地球温暖化問題は、国際社会が一丸となって取り組むことで緩和・解決に繋げることができます。これまでに、1992年に採択された国連気候変動枠組条約を皮切りに1995年より毎年国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が開催されるなど、精力的な活動が行われてきました。

ここでは、温室効果ガス排出量削減に向けて目標や対策を定めた会議や条約をご紹介します。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)

1998年、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織です。気候変動やその影響、対策に関し、科学的・技術的・社会経済学的な見地から評価を行うことを目的として、政府の推薦により科学者や専門家が集まり報告書を作成します。第5次報告書の作成には、日本から10名が参加しました。

気候変動に関する国際連合枠組条約(気候変動枠組条約)

1990年12月、国連内に設置された会議により検討が始まり、1992年条約が採択されました。同条約には、地球サミットの開催期間中に日本を含む155か国が署名を行っています。

内容は、発展途上国に向けたものと先進国に向けたものとに分けられます。前者には技術革新や教育に関する国際協力などが含まれ、後者は温室効果ガス排出量の1990年レベルへの回帰などです。国際社会全体に関わるものは、国別計画の策定や再生可能エネルギーの開発・普及、また国際的な環境問題に関する教育支援や情報交換などになります。

京都議定書

日本が議長国となった1997年の気候変動枠組条約第三回締約国会議(COP3)において、先進国に向けて温室効果ガス排出量削減のための数値目標や措置を定めた京都議定書が採択されました。同議定書では、京都メカニズムと称した、共同実施・排出量取引・クリーン開発メカニズムの3本の柱から成る新たな仕組みを採用しています。それぞれ、削減事業による削減量を先進国間で取引する・削減事業を行わず排出枠を先進国間で取引する・発展途上国で行われる削減活動に資金援助を行うことで、援助した先進国がその活動による削減量を目標達成に利用できるといったものです。

パリ協定

2015年の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において、2020年以降の温室効果ガス排出削減に関する新たな枠組みとして、パリ協定が採択されました。

京都議定書に代わるものとして、京都メカニズムを引き継いだ市場メカニズムの活用や発展途上国への資金援助を合意内容に盛り込んでいます。さらに、新たに気温上昇を1.5℃に抑制する目標やイノベーションの重要性の明記を追加しました。

同協定は史上初の、途上国・先進国に関わらず全ての国が参加する公平な合意です。

次回のCOPは、2021年11月開催の予定です。気温上昇を抑えるための各国の目標の引き上げや、エネルギー供給の見直しといった、2050年までの温室効果ガス排出量ゼロに向けた短期目標の設定などがポイントに挙げられます。

COPでの決定事項は私たちの経済活動に大きく影響します。国際社会の最新の動向に注目しましょう。

温室効果ガス排出量の推移

世界における推移

世界の総排出量、また各国の割合はどのようなものでしょうか。

世界の二酸化炭素排出量(2018年度)
3-1 世界の二酸化炭素排出量(2018年) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

総排出量335億トンの内、2018年時点で最も排出量が多い国は年間約90億トンを排出する中国です。次点はアメリカで、毎年約50億トンを排出しています。

即効的な地球温暖化の阻止には、両国の協力が不可欠です。

過去20年間において大きな割合を占めているのは、工業化が早く進行したアメリカやロシア、日本などの先進国です。しかし途上国においても、1人当たりの排出量は少ないものの、近年の経済発展に伴い国全体の排出量は増加しつつあります。

日本における推移

日本における温室効果ガス排出量の推移
4-1 日本における温室効果ガス排出量の推移(1990-2019年度) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

2020年12月に発表された環境省の速報によると、2019年度の日本における温室効果ガス総排出量は12億1,300万トンです。前年度比2.7%・2005年度比12.2%の減少率を達成しています。

また、日本の特徴として、排出された温室効果ガスに対する二酸化炭素の割合が91%と、世界平均の76.0%と比較して極めて高いことが挙げられます。これは、自動車製造などの産業部門での排出が原因でしょう。産業部門におけるエネルギー利用の見直しが必要です。

日本の部門別二酸化炭素排出排出量の推移
4-5 日本の部門別二酸化炭素排出量の推移(1990-2019年度) | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

続いては、部門別の推移です。排出量の多い順に産業部門、運輸部門、業務・その他部門、家庭部門・エネルギー転換部門となります。

工業大国であり世界的に見ても排出量の多い日本ですが、削減は着実に進んでいることが分かるでしょう。今後も、再生可能エネルギーの導入やカーボンオフセットの促進により、さらなる削減が期待されます。

また、原子力発電は温室効果ガス排出量こそ少ないものの安全性に疑問があるため、原子力エネルギーとどう向き合うかもポイントになると予測されます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。地球温暖化の原因である温室効果ガスについて、理解が深められたかと思います。

地球温暖化は、決して解決不可能な問題ではありません。また、解決のために快適な生活を犠牲にする必要もありません。自然エネルギー導入や森林保全活動などによって温室効果ガス削減に取り組むことで、希望は見えてくるはずです。今後より重要になっていく環境問題について関心を深め、地球温暖化防止に向けて主体的に行動しましょう。

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