自家消費型太陽光発電とは?導入のメリット・デメリット、補助金一覧【個人/法人】

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「自家消費型太陽光発電」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。環境に優しく、かつ経済的であるとして現在注目を集めている、太陽光発電の仕組みの1つです。本記事では、その概要とメリット・デメリット、また自治体からの補助金についても詳しく解説していきます。

目次

自家消費型太陽光発電とは

自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電で得た電力を、売却せずに自社の事業や設備で用いる仕組みのことです。太陽光発電で得た電力をすべて電力会社に売る「全量売電型」もありますが、電力を購入する必要がないため、自家消費型太陽光発電の方が電気代の節約に繋がります。

自家消費型太陽光発電が注目される背景

自家消費型太陽光発電はなぜ注目されているのでしょうか。その理由として、電気料金の値上げと売電単価の値下げ、そして企業に環境への配慮が求められる近年の動向が背景にあります。

電気料金の値上げと売電単価の値下げ

「 FIT (固定価格買取制度)」という、国が一定の価格で電力を買い取る仕組みがあります。この仕組みにおいて、買い取る費用をまかなうのは、電力使用者の支払う「再エネ賦課金」です。電気料金は、この再エネ賦課金などの影響により上昇傾向にあります。さらに、FITにおける売電単価は制度開始当初と比べ引き下げられており、発電した電力を売るメリットが無くなりつつあるのです。そこで現在、発電した電力をすべて、もしくは一部自家消費に充てる自家消費型太陽光発電が注目されています。

環境への配慮

経済的なメリットに加えて、環境保全と経営を両立させる「環境経営」の重要度が高まっていることも自家消費型太陽光発電が注目されている背景に挙げられます。

現在日本では、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにするというパリ協定で設定された目標のもと、再生可能エネルギー導入の機運が高まっています。これを受けて、投資家や消費者の間でも、企業に環境への配慮を求める傾向が強まっているのです。太陽光発電など自然エネルギー由来の電力を用いることで、顧客に選ばれやすくなることから、自家消費型太陽光発電を導入する企業は増加傾向にあります。

自家消費型太陽光発電導入のパターン

自家消費型太陽光発電の導入方法には、どのようなパターンがあるのでしょうか。個人で購入する方法や業者と契約する方法など、3つのパターンについて解説していきます。

参考資料

>>kankyosho_pr_jikashohitaiyoko.pdf (env.go.jp)

自社(または個人で購入)

まず、自身で太陽光発電の設備を導入し、運用する方法です。サービス料がかからない、自社で処分や交換が自由、また自家消費しなかった電気を売却できるといったメリットがあります。ただし、他のパターンと比べ初期費用が高額で、メンテナンスも自社でおこなわなければなりません。

オンサイトPPAモデル

次にご紹介するのは、PPA事業者が自社の敷地内に太陽光発電の設備を設置する、オンサイトPPAモデルです。初期費用や維持・メンテナンス費用がかからず、管理や運用も業者に任せられる、初心者にとっては最も手軽な方法になります。ただし、設備は事業者の所有物になるので、設備の移動や処分など、有事の際に伴う対応については、契約前に内容の確認が必要です。

リースモデル

最後に、リース会社から太陽光発電の設備を借りる方法です。オンサイトPPAモデルと同様に初期費用や維持・メンテナンス費用はかからず、余った電気を売ることもできます。ただし、発電しない場合でもリース料を支払う必要があります。

自家消費型太陽光発電の仕組み

自家消費型太陽光発電には、全量自家消費型と余剰売電型という2つの形態があります。

全量自家消費型

全量自家消費型とは、太陽光発電で得た電力をすべて自家消費に回す仕組みのことです。蓄電池と併用することで、発電できない夜間でも発電した電力を使用することができます。電気代とCO2排出量の両方を大幅に削減できるのがこの型のメリットです。

余剰売電型

余剰売電型とは、太陽光発電で得た電力を自家消費に優先的に回し、余った電力を売電に回すという仕組みのことです。電気代を削減しながら売電による収入を得られるため、現状ではこちらの方が普及しています。

投資用太陽光発電との違い

投資用太陽光発電とは、前述で述べた固定価格買取制度を用いた、発電した電力をすべて電力会社への売電に回すシステムのことです。対して自家消費型太陽光発電は、発電した電力を自家消費に回すことを目的としており、その点で投資用太陽光発電とは異なります。

自家消費型太陽光発電導入のメリット・デメリット

自家消費型太陽光発電を導入する前に確認しておくべき、メリット・デメリットについて解説していきます。

メリット

まずはメリットについて解説いたします。自家消費型太陽光発電は、経済面や環境保護の面で利点を多く持っています。

電気料金の削減

電力会社から電力を購入する必要がないため、電気代の節約に繋がります。また、余剰売電型なら余った電力を売ることもでき、発電した電力を余すことなく活かせます。

環境負荷の低減と企業価値の向上

自家消費型太陽光発電を導入することで、事業で用いる電力の再生可能エネルギーの割合が高まり、環境負荷の低減に繋がります。また、導入をCSV(企業の社会的責任)活動としてアピールすることで、環境経営に取り組む企業として顧客に選ばれやすくなり、企業価値が高まります。

非常用電源(BCP対策)

災害時の電力確保に貢献するとして、BCP(事業継続計画)対策としても注目されています。BCP対策とは、企業が緊急事態が起こった際に事業を継続できるよう、あらかじめ立てておく計画のことです。

地震や台風などの災害によって電力供給が止まってしまった場合に備えて、蓄電システムや自家消費型太陽光発電を導入しておくことで、経済的な損害を抑えることができます。

デメリット

環境に優しいだけでなく経済的でもある、魅力的な自家消費型太陽光発電ですが、いくつかデメリットも存在します。

設置費用がかかる

自社で設置する場合、太陽光発電の設備には高額な設置費用がかかります。ただし、PPAモデルの利用や補助金の活用など、費用を抑える方法は多くあります。2022年度の補助金について、次の項でご紹介します。

太陽光発電の設置にかかる費用の内訳については、下記の記事をご参照ください。

発電量が天候に左右される

太陽光発電など自然エネルギーを用いた発電方法では、発電量が天候に左右されてしまいます。太陽光発電では、雨天や曇りの日、夜間は発電することができません。しかし、発電した電力を蓄える蓄電池を取り入れることで、この問題は解決が可能です。

メンテナンス費用がかかる

耐用年数が長くメンテナンスも容易な太陽光発電設備ですが、外に設置するため天候の影響を直接受けてしまいます。そのため、太陽光発電の設備は、FIT法によって定期点検が義務付けられています。推奨されている頻度は、4年に1回以上です。

設置場所が限定される

太陽光発電の設備には、太陽光パネル以外にもパワーコンディショナーや蓄電池などがあります。また、蓄電池を設置する場合は、低温でも高温でもなく、結露しない環境が条件です。屋根や空き地など、必要な設備を設置するのに十分なスペースがあるか、また設置環境の条件は満たしているかを、事前に確認しておきましょう。

自社や家庭の敷地内に設置できない場合は、オフサイトPPAというモデルもあります。地方の未使用の土地などにある大規模な太陽光発電設備から、送電線を介して電力を調達する仕組みです。詳しくは下記の記事をご参照ください。

自家消費型太陽光発電向けの補助金一覧(2022年度版)

太陽光発電の導入時、ハードルとなるのはやはり高額な費用でしょう。しかし、再生可能エネルギーを普及させ地球温暖化を食い止めるために、自治体は太陽光発電を導入する企業に向けて多くの補助金を用意しています。本項では、2022年度に施行される補助金制度を4つご紹介します。

  • 需要家主導による太陽光発電導入加速化補助金

カーボンニュートラルの達成に向けて、需要家が自主的に太陽光発電を導入することを支援する制度です。設備導入費用の2分の1を負担するなどの支援をおこないます。ただし、設備の規模や自己託送ではないことなど、いくつか要件があります。

参考資料
>>shoshin_taka_33.pdf (meti.go.jp)

  • PPA 活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業

オンサイトPPAモデルなどの初期費用がかからない仕組みを用いて太陽光発電を導入する企業に対して、発電量1kWにつき4〜5万円の補助金を支給する事業です。蓄電池を設置する場合は、家庭用なら5.5万円/kWh、事業用なら7万円/kWh支給します。期間は、2021年から2024年です。

参考資料
>>03 PPA活用等による地域の再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業_rev (env.go.jp)

補助金制度のなかには、中小企業に向けたものもあります。以下、2つご紹介します。

  • グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等向けCO2削減比例型設備導入支援事業

コロナ禍を乗り越えて脱炭素に取り組む中小企業を支援するための制度です。太陽光発電のみならず、エネルギー効率の高い空調設備などの省エネ設備全般が対象です。これらの導入に対して、年間CO2削減量×法定耐用年数×5,000円/tCO2を支給、または総事業費の1/2を負担します。

参考資料
>>19 グリーンリカバリーの実現に向けた中小企業等のCO2削減比例型設備導入支援事業_rev17 (env.go.jp)

  • 電動車×再エネの同時導入による脱炭素型カーシェア・防災拠点化促進事業

地方公共団体や民間事業者が、再生可能エネルギー導入と同時に公用車や社用車を電動車に換えることを条件に、補助金を支給する制度です。移動の際に排出される温室効果ガスの削減を目的としています。期間は2021年から2025年で、費用の2分の1または3分の1を援助します。

参考資料
>>PowerPoint プレゼンテーション (env.go.jp)

まとめ|制度を賢く活用し、太陽光発電を導入しよう

発電した電力を自家消費に回す自家消費型太陽光発電には、費用面や環境保護の面でメリットが多くあります。PPAモデルなど初期費用や維持費用のかからない方法や、自治体からの補助金をよく調べ、低コストで太陽光発電を導入しましょう。

またこのwebメディアを運営している、株式会社ECOLOGICAでは、グリーンプロジェクトとして国内外の自社拠点に太陽光発電由来の再エネ電源導入を企画検討されている国内企業に対し、さまざまなサービスを提供、支援をおこなっています。ECOLOGICAは、世界最大級の太陽光専門商社PROINSOグループの日本総代理店です。温室効果ガスの排出量削減手段として、再生可能エネルギーの導入(特に海外拠点の再エネ調達)を検討している、という方は、こちらからお問い合わせください。

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