低炭素社会に向けた取り組みとは?企業や個人がすべき具体例を紹介

低炭素社会とは、温室効果ガス排出量の少ない社会のことです。近年、世界的なSDGsの流れを汲み、地球温暖化や気候変動などの問題に取り組む企業や個人活動家が増えてきました。その中で、低炭素社会に向けた取り組みは必須になります。

本記事では、これから低炭素社会に向けた活動をしたいと考えている企業もしくは個人に向けて、「具体的な取り組みや実践例」をご紹介します。

目次

低炭素社会とは

低炭素社会とは、経済活動や日常生活における環境配慮によって実現する、温室効果ガス排出量の少ない社会のことです。このような社会の実現のためには、再生可能エネルギーの導入や燃料使用の効率化などの取り組みが必要不可欠になってきます。

低炭素社会についての詳しい説明は、こちらのリンクを参照してください。

>>低炭素社会とは|地球温暖化防止のための取り組み

低炭素社会に向けた取り組みの背景

地球温暖化対策は、世界各国が協調しながら、目標を設定し取り組むことを必要とします。現在は、パリ協定を踏まえて、世界全体では温室効果ガスの排出量を2050 年までに少なくとも半減、先進国全体で80%削減する目標が掲げられており、日本の現在の目標は、2030年までに2013年比で46.0%の温室効果ガスを削減することです。
上記の目標を達成するために、再生可能エネルギーや新技術の導入による持続可能な低炭素社会の実現が目指されるようになったのです。
日本においては、2007年の気候変動に関する政府間パネルの発表をきっかけに、地球温暖化の情報が普及し始めました。「低炭素社会」という言葉が初めて登場したのは、同年の環境白書においてです。

低炭素社会を目指すための基本理念

低炭素社会の基本理念

1. カーボン・ミニマムの実現
産業や行政、また国民の生活において、省エネルギー・低炭素エネルギーの推進によって温室効果ガスの排出を最小化(カーボン・ミニマム)することが必要です。また、この最小化された状態を保つ社会システムも構築されなければなりません。

2. 豊かさを実感できる簡素な暮らしへの志向
現在の気候変動の原因は、生活の豊かさを求めた末の温室効果ガス大量排出にあります。消費者自身が、家族やコミュニティとの絆・健康・自然との触れ合いを大切にし、物質的な豊かさよりも生活の質を重視する選択が必要です。

3. 自然との共生
低炭素社会実現には温室効果ガス吸収が不可欠であり、そのためには豊かで多様な自然環境を保全し、再生することが必要です。自然と調和・共生できるような社会を目指しましょう。

低炭素社会に向けた取り組み・実践

低炭素社会に関する取り組みは、企業による大規模なものに留まらず、個人によるものや行政のプロジェクトなど、さまざまな形で実施可能です。ここでは、取り組みの方法及び代表的な事例をいくつかご紹介します。

低炭素社会に向けた取り組み

非化石エネルギー利用による低炭素社会実現

非化石エネルギーとは、太陽光エネルギーやバイオマスエネルギーなど、発電過程でCO2を排出しないエネルギーのことです。これらを用いた製品や技術が普及すれば、経済活動と環境保全を無理なく両立させることができます。
以下、2つの方法をトヨタの事例を挙げて説明します。

低炭素技術を産業や社内に導入

再生可能エネルギーやカーボンミニマム系統電力への変換・新しいエネルギー使用技術の導入により、生産プロセスでの低炭素化を達成します。
トヨタは、「工場CO2ゼロチャレンジ」と称した事業で、2050年までにグローバル工場CO2排出量ゼロを目指しています。目標に向けた取り組みとして挙げられるのは、再生可能エネルギーや水素の活用・塗装機の革新など積極的な新技術の導入です。

低炭素製品の開発シフト

従来の製品からCO2を排出しない再生可能エネルギーなどを用いた製品へと、長期的な視野でシフトしていきます。
例えば、トヨタは「新車CO2ゼロチャレンジ」で、2050年までにグローバル新車の平均CO₂排出量を90%削減(2010年比)する目標を掲げています。目標達成のためには、ハイブリッド車など電動車の技術進化と普及促進、さらに普及の土台となるインフラ整備が必要です。
トヨタのより詳しい取り組みはこちら

>>環境報告書2020 (global.toyota)

化石エネルギ―の効率的な利用による低炭素社会実現

化石エネルギーは、言わずもがな地球温暖化の原因の1つです。しかし、安価であり未だ社会システムの中心に位置するため、まだまだ完全に廃止することは難しい状況にあります。そこで、活動の際に無駄のない化石エネルギーの利用を目指すことで、即自的な環境負荷低減が期待されます。

社内、施設内の節電対策

社内や生産工場内のエネルギー利用を効率化(節電)することで低炭素化を達成します。
例えばライオン株式会社は、ITシステムを活用し機器ごとの稼働状況を把握、得たデータを基に適切なエネルギー管理に努めています。この効率的な節電対策の推進により、2019年度、2年連続で関東経済産業局長から表彰を受けました。

詳しくはこちら

>>https://www.lion.co.jp/ja/csr/env/climate/activity01.php

低炭素製品(CO2排出量低減製品)の開発

先ほど述べた非化石製品はCO2を排出しない非化石エネルギーを用いた製品ですが、対して低炭素製品は、化石エネルギーを使用するもののできる限りCO2排出量を節約した製品です。
日立製作所は、省エネ性能の高い製品の販売拡大に向けた取り組みを行っています。具体的には、生産・流通過程での環境負荷の低い冷蔵庫や洗濯機といった製品の開発及びITシステムの普及が挙げられます。ITシステムは、製品の運転状況把握・安全予測を行い修理人員の移動を減らすことによって、低炭素化に貢献するというものです。

カーボン・オフセットによる低炭素社会実現

現代の技術や社会システムでは、温室効果ガスを完全に排出させないことは不可能でしょう。そこで、カーボンオフセットという概念が注目されています。これは、事業活動や生活のなかで排出されたCO2を削減活動や吸収活動によって埋め合わせようというものです。
カーボンオフセットには、クレジットと呼ばれる、形のないCO2吸収・削減量を国が認証して市場取引できる形にしたものが使われます。クレジットを購入することで、購入分のCO2が吸収されたとみなされ、排出したCO2が相殺される仕組みです。支払った金額は、CO2削減・吸収活動の資金に充てられます。キヤノンはカーボン・オフセットに積極的に取り組んでいる企業の1つです。
キヤノンの一部の複合機では、排出されるCO2分に相当するクレジットを購入し実質的なカーボンオフセットを達成しています。つまり、このようなカーボンオフセットを導入した製品を購入することで、消費者は自動的に低炭素化に貢献できるのです。
それでも削減が困難な場合は、JクレジットやVCS(VCU)などのボランタリークレジットを購入する削減方法もあります。

こちら→ 下記記事をご参照ください。
>>カーボンオフセットとは?事例と用語をわかりやすく解説! (netzeronow.jp)
>>Jクレジット制度とは?導入方法やメリットをわかりやすく解説 (netzeronow.jp)
>>VCSとは?メリットやその他のクレジット制度との比較、企業事例について説明 (netzeronow.jp)

個人の取り組みによる低炭素社会実現

これまで企業による大規模な取り組みを紹介してきましたが、私たち市民が日常生活で取り組めることも多くあります。

1.日常生活での選択

  • 使い捨てのものはなるべく買わないなどしてゴミを減らす
  • ゴミの分別を正確に行う
  • 自家用車ではなく公共交通機関を利用する
  • お風呂の余り水で選択する
  • 温度調節を、できるだけエアコンではなく服によって行う

などが挙げられます。
使い捨てのレジ袋や割り箸、紙コップなどは、輸送段階でも温室効果ガスが排出されるので、使用を控えることで輸送が減りCO2削減効果が期待できます。
また、プラスチックを燃やすことで二酸化炭素が排出されるため、ゴミの分別も非常に有効な対策です。

2.設備の見直し
普段使用している設備や機器を見直すことも重要です。
例えば、車を購入する際に電気自動車を選択する、照明をLEDに替える、家電を省エネ製品に買い替えるといったことが挙げられます。
さらに、省エネ住宅も存在します。「ZEH(ゼッチ)住宅」と呼ばれる、太陽光発電や高断熱浴槽などによってCO2削減に貢献するものです。新居の購入を検討する際には、このような住宅を視野に入れると良いでしょう。

行政の低炭素活動

行政の実施するプロジェクトへの参加や制度の導入でも低炭素社会実現に貢献することができます。

気候変動キャンペーン「Fun to Share」

環境省は2014年3月より気候変動キャンペーン「Fun to Share」を開始しました。低炭素社会実現に向けて、我慢や無理をするのではなく、楽しみながらアクションを起こそうという取り組みです。企業や団体などの知識や技術、取り組みを、Web サイトやSNS、テレビ番組、イベントなどを通して紹介しています。
クールビズや自転車の積極的利用などの活動を拡散することで、環境保全の輪を広げていくことが狙いです。

家庭エコ診断制度

家庭からのCO2排出量は日本の全排出量の約17%を占めており、大幅な削減が求められています。
そこで、環境省は、2014年に各家庭のCO2排出量や光熱費を視覚化し専門家が対策法を提案する「家庭エコ診断制度」を開始しました。環境省が認定した資格試験に合格した「うちエコ診断士」が、「うちエコ診断ソフト」を用いてCO2排出の内訳の診断や他の世帯との比較を行い、家電の使用などについてアドバイスするものです。
いかがでしょうか。低炭素社会実現に向けてさまざまなスケールの方法が存在し、すでに多くの取り組みがなされていることがお分かりいただけたかと思います。

まとめ|低炭素社会に向けた取り組みで社会貢献

低炭素社会は、現在世界全体が目標としている社会の形です。今後、低炭素社会に向けたSDGsなどの取り組みはますます重要性を増していくでしょう。特に、企業はCSR(企業の社会的責任)を意識し、事業活動のさまざまな場面において環境負荷低減の努力をしなければなりません。
しかし、企業のみならず、市民1人1人にもできることも数多くあります。社会の構成員全員が主体となって低炭素社会を目指しましょう。

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